研究課題/領域番号 |
01J08152
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川俣 大志 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クラスター / 負イオン / 赤外光 / 振動分光 / 水素結合 / 芳香族 |
研究概要 |
芳香族分子は水などの極性溶媒による溶媒和によって初めて負イオンとして存在することができるものが多く、その電荷分布と負電荷を保持するための水素結合ネットワーク構造に関して多くの興味が持たれている。そこで本年度も引き続き、芳香族分子-水クラスター負イオンの振動分光法を開発することを目的とした。そして、ベンゾニトリル-水から成る系に適用し、幾何構造および電荷分布の決定を試みた。 振動分光に用いる赤外光、つまり3μm帯の発生には、2台のレーザーを組み合わせた差周波発生法を利用しているが、用いる波長によって赤外光への変換効率が違ってくる。また、負イオンの生成量は中性クラスターの場合と比較して非常に少ないために、より高強度な赤外光源が必要であった。したがって、今回の開発では、Nd^+:YAGレーザーの基本波(1064nm)と色素レーザー(757-810nm)とを組み合わせることで、従来の約2倍の赤外光強度を達成した。 実際に適用したベンゾニトリル-水クラスター負イオンBnt(H_2O)_1^-について、振動スペクトルから以下のことがわかった。1)水分子のFree OHおよびニトリル基へのイオン性σ-水素結合に帰属されるバンドが現れた。後者はO-H変角振動の倍音とのフェルミ共鳴によって、バンドが2本に分裂し、その強度は前者の約3倍以上であった。2)ベンゼン環のC-H伸縮振動の相対強度は、Free OHとイオン性σ-水素結合OH振動の中間であり、中性および正イオンクラスターの傾向と大きく異なる。光電子分光の結果と併せると、水分子がC-N三重結合と同軸上に位置する幾何構造が支持され、余剰電荷はニトリル基の窒素原子に局在していると結論した。
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