研究概要 |
昨年度に引き続き、希土類モノプニクタイドの純良試料育成を行い、LaSb, CeSbに加えてPrSb, GdSbにおいても、残留抵抗比(RRR)500前後の純良試料を得ることができた。また、ESR及びサイクロトロン共鳴測定システムの改良を行い、100GHzを超える高い周波数でも金属の測定で高感度の測定が行えるように整備した。CeSbのサイクロトロン共鳴測定を昨年度に引き続き行い、また、PrSb, GdSbにおいても新たにサイクロトロン共鳴のシグナルを観測した。得られた結果を以下にまとめる。 1. CeSbのサイクロトロン共鳴を30〜200GHzの広い周波数範囲で精密に行い、磁気相ごとに有効質量を見積もった。結果は0.3〜1.5moの範囲であり、バンド計算の値よりはかなり大きく、dHvA効果の有効質量と同様にサイクロトロン共鳴から見積もられる有効質量も大きなエンハンスメントを受けていることが明らかとなった。 2. PrSbにおいて、サイクロトロン共鳴のシグナルと、磁気プラズマ波に関係するドップラーシフトしたサイクロトロン共鳴を観測した。ドップラーシフトしたサイクロトロン共鳴は、昨年度CeSb, LaSbでも観測されており、以前の結果を強く確証する結果を得ることができた。サイクロトロン共鳴に結果からは、PrSbにおいても有効質量のエンハンスメントが効いていることがわかった。 3. GdSbにおいて、サイクロトロン共鳴のシグナルを観測した。GdSbにおいては、有効質量の増大は見られなかった。また、Gdの不純物クラスターに由来するESRシグナルが低温で奇妙な振る舞いを示すことを見出した。その原因の解明は今後の課題である。
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