研究課題/領域番号 |
01J08519
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 長崎大学 (2002) 早稲田大学 (2001) |
研究代表者 |
守屋 孝洋 長崎大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 体内時計 / 時計遺伝子 / 視交叉上核 / レポーター遺伝子 |
研究概要 |
24時間の生体リズムを作り出す体内時計は、視床下部の視交叉上核(SCN)に存在しており、その1つ1つの神経細胞内ではんPeriod (Per)遺伝子などの時計関連遺伝子が形成する転写-翻訳のネガティブフィードバックループが展開され、概日リズムを生み出していることがわかってきた。体内時計は同調機構によって自身の周期を外界の環境サイクルに同期しているが、この同調の仕組みについては明らかになっていない。 そこで時計関連遺伝子の中でも光によって誘導されるPer遺伝子に着目して研究を行った。昨年度の研究では、Per1:ルシフェラーゼトランスジェニックマウスの脳薄切片を用い、グルタミン酸受容体の1つであるNMDA受容体が一過的なPer遺伝子の転写発現を誘導し、光同調シグナルを中継していることを明らかにした。しかしながら、網膜から視交叉上核にいたる神経終末からはグルタミン酸のほかにもニューロペプチドであるPACAPなども存在し、さらに中脳からのセロトニン神経も投射している。そこで視交叉上核のPer遺伝子の発現レベルと行動リズムの活動開始位相を指標にしてこれら伝達物質の作用を調べた。その結果、PACAPは濃度依存的に視交叉上核のPer遺伝子発現を上昇させ、その作用は行動リズムの位相後退作用と相関していた。これらの作用はNMDA受容体アンタゴニストで拮抗されたことから、グルタミン酸シグナルとPACAPシグナルが協調しあって時計遺伝子の発現とそれに続く位相リセットを惹起しているといえる。さらにセロトニン作動薬が光による時計遺伝子の発現を時間的に延長させることにより、同調を調節することも明らかになった。これらの研究は体内時計の同調が複数の神経伝達物質の協調作用によってなされており、Per遺伝子の時間的発現変化がこれら作用の共通機構として関与していることを示唆するものである。
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