研究課題/領域番号 |
01J10802
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | MAR-FISH / 硫酸塩還元細菌 / 生物膜 |
研究概要 |
本研究は、マイクロオートラジオグラフィー(MAR)と蛍光in situハイブリダイゼーション法(FISH)を組み合わせたMAR-FISH法により、生物膜内における硫黄関連細菌の特異的検出・同定および基質資化特性の評価を微生物細胞レベルで同時に行い、下水処理生物膜内における硫酸塩還元細菌および硫黄酸化細菌の役割および重要性を明らかにすることを目的とした。14年度は、13年度に確立したMAR-FISHの実験系および実験条件を実際の下水生物膜に適用し、さらに硫酸塩還元細菌の菌体密度の深さ方向分布を生物膜成長過程において追跡した。その結果、有機物、特にプロピオン酸の分解において硫酸塩還元細菌の中でもDesulfobulbusが重要であることが示された。生物膜の成長過程において硫酸塩還元細菌をFISH法と微小電極により追跡した結果、硫酸塩還元細菌およびその優占種であるDesulfobulbusは菌体密度と活性を増加させながら、膜深部から表層へ徐々に移動し、最終的には表面から僅か約300μmの領域で高い菌体密度と活性を示した。このように硫酸塩還元細菌が生物膜表層に存在することは、13年度の研究で明らかにした酸素存在下においてもプロピオン酸を利用したDesulfobulbusの多様な代謝能によって裏付けられるものであった。また液本体中では硫化水素が検出されなかったことから、相当量の酸素が生成された硫化水素の酸化によって消費されていると考えられた。生物膜内における硫酸塩還元細菌の有機物酸化への寄与は計算によりおよそ20-30%に及ぶことが推定され、下水生物膜内の有機物除去における硫酸塩還元細菌をはじめとする嫌気性細菌の重要性を示すものであった。
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