研究概要 |
1)スチレン(A)とグルコースを有するビニルモノマー(B)のA-B-A型トリブロックコポリマーの合成を、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)を用いたリビングラジカル重合により行った。まず、ジエチルベンゼンのα位に2分子のTEMPOが付加した2官能性開始剤を合成し、これを用いてグルコースを有するモノマーの重合を行った。生成物はTEMPOを両停止末端に有する糖修飾ポリマーであった。続いて、この糖修飾ポリマーを用いてスチレンの重合をクロロベンゼン中で行った。排除体積クロマトグラフィー(SEC)および^1H NMRスペクトルを用いた分析から、生成物は糖を有するトリブロックコポリマーであった。このトリッブロックコポリマーはランダムコポリマーよりも種々の溶媒に溶けにくい傾向がみられた。その理由として、分子間での会合によりネットワーク構造を形成しやすいことなどを考えた。 2)β-シクロデキストリン(CD)を有するTEMPO付加体を合成し、これを用いてスチレンの重合を行った。SEC、^1H NMRスペクトル、および薄層クロマトグラフィーを用いた分析より、生成ポリマーは開始末端にCDを有するポリスチレンであった。またCDに7分子のTEMPO付加体が結合した開始剤を合成し、これを用いてスチレンの重合をクロロベンゼン中で行った。SEC、^1H NMRスペクトル、静的光散乱、および動的光散乱を用いた分析より、生成ポリマーはコアにCDを有し、7本のアームからなる星型ポリスチレンであった。これらのCD含有ポリスチレンは、ポリスチレンの良溶媒中で自己組織化することを示した。
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