配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
1.孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)脊髄において発現が増加している新規分子Dorfinを同定した.Dorfinは,孤発性および家族性ALSの脊髄運動ニューロンに特異的に出現するユビキチン化封入体に局在していることを見出した.DorfinはRING-finger/IBRドメインを有するユビキチンリガーゼであることを明らかにし,家族性ALSの原因である変異型SOD1を基質の一つとして特異的にユビキチン化して,変異SOD1による神経細胞障害を防御することを報告した.Dorfinは野生型SOD1とは相互作用せず,コンフォメーション異常をきたす変異型SOD1を特異的に認識することより,細胞質内において蛋白質品質管理を担っていることが推定された.孤発性ALSにおいてもDorfinが局在したユビキチン化封入体が存在することから,孤発性ALSにおいてもコンフォメーション異常をきたした蛋白質が発症の原因となっている可能性があり,今後Dorfinの基質蛋白質の同定が孤発性ALSの病態解明に重要であると考えられた. 2.変異型SOD1による家族性ALSにおいては,変異型SOD1のミトコンドリアへの移行にともなうシトクロームcの放出とそれに続くカスパーゼの活性化が運動ニューロン障害に重要であると考えられているが,Dorfinは変異型SOD1のユビキチン・プロテアソーム経路での分解を促進することにより,ミトコンドリアへ移行する変異型SOD1を減少させ,シトクロームcの放出やカスパーゼの活性化を抑制し,神経細胞保護作用を発揮することを明らかにした. 3.Dorfinは,ALSのみならずパーキンソン病,レビー小体性痴呆,多系統萎縮症などの?-synucleinが中枢神経系に蓄積する疾患(?-synucleinopahy)においても,神経細胞・グリア細胞内に出現するユビキチン化封入体に局在していることを明らかにした.?-synucleinopahyにおいては,?-synucleinとともにユビキチン化封入体の主要な構成成分であるsynphilin-lを,Dorfinのユビキチン化基質として同定した.DorfinがALS,?-synucleinopahyなどの神経細胞の細胞質内にユビキチン化封入体を形成する疾患において,ユビキチン化封入体形成,神経細胞保護に広く関与している可能性が示唆された. 4.synphilin-lのankyrin-likeリピート,coiled-coil領域およびATP/GTP結合領域を含む中心部分が単独で培養細胞内に凝集体を形成し,細胞毒性を有することを明らかにした.?-synucleiとともにsynphilin-lの凝集・蓄積が?-synucleinopahyの病態に関与していると考えられた.
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