研究課題/領域番号 |
02041003
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 大二 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30001655)
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研究分担者 |
JONES H.G. ケベック大学, 教授
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
鈴木 啓助 東京都立大学, 理学部, 助手 (60145662)
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
JONES H. Gerald University of Quebec
H.G Jones ケベック大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1990年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | カナダ東部 / 森林小流域 / 融雪水の酸性化 / pH / 融雪熱収支 / 融雪流出機構 / 雪ライシメ-タ / 酸性融雪水 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、積雪中における酸性物質の量が多いカナダ東部において、融雪の機構を積雪内部まで立ち入った物理的化学的両側面から検討し、酸性の強い融雪水がいかに形成されるかを明らかにすることである。 研究対象流域は、カナダ東部のケベック州モンモレンシ-にあるラバル大学付属演習林内の小流域である。対象流域はケベック市の北約60kmに位置し、流域面積は1.22km^2で、標高は777mから991mである。流域全域が、balsam firとwhite birchの極相林に覆われている。 1990年4月下旬から5月上旬の融雪期に現地調査を行ない、森林植生や積雪の分布状態・雪質等を調査し、実験流域の選定を行なった。本流域を選定した理由として、共同研究者のJonesによってすでに予備調査がなされていたことと、流域の出口に60゚三角堰が設置されていたことも重要な要因である。 1990年10月下旬から11月上旬にかけては、積雪期・融雪期の観測を行なうための機器の設置を行なった。設置機器は次の通りである。 (1)河川:圧力式自記水位計、自記水温計、自記pH計、自記電導度計、自動採水器 (2)雪面熱収支:全天日射計、風向風速計、気温・湿度計、積雪深計、地温計=すべてデ-タロ-ガによる長期記録 (3)積雪ライシメ-タ:融雪水の量および質を計測するためにライシメ-タ(4m^2)を作成し、流量計、pH計、電導度計、自動採水器を設置 (2)、(3)に関しては、融雪に及ぼす森林の影響を定量的に見積もるため、林内と林外に全く同じ機器を同じ構成で設置した。 1991年3月下旬には、融雪前の河川水および積雪の調査を行なった。今冬期の最深積雪深は約150cmで、最低気温はー36.2℃を記録した。 1991年4月から5月にかけては、上記(1)、(2)、(3)の各項目を集中的に観測するとともに、積雪については下記のような調査を行なった。 (4)森林内外の定点(複数)での積雪深、積雪水量、平均密度の測定ー毎日、朝と夕 (5)積雪断面観測(層構造・密度・含水率)ー毎日、朝・昼・夕 (6)積雪内部融雪水の採取ー毎日、朝から夕まで連続的に (7)森林内外での積雪の全層および部分層の採取ー数日間隔 (8)降水の採取ー日降水量ごと (9)採取した降水、河川水、積雪、融雪水の試料は、ケベック大学において濾過し、pH・電導度、陰イオン濃度を測定した。 (10)サンプルの一部は保存液を添加した後日本に輸送し、都立大において分析を行なった。 以上の調査研究の結果、これまでに明らかになったことは次の通りである。 1.積雪深は、冬期間を通して林内の方が林外よりも大きい。一方、積雪水量は4月下旬まで林外の方が林内よりも多い。その後は林外の方が融雪速度が大きいために逆転し、林内の方が大きくなる。 2.前項の差異を生ずるのは、林内では日射量が少ないことと風速が小さいことによる。 3.積雪中の陰イオン濃度は、全イオンとも林内の方が高い。 4.積雪から流下する融雪水の水量は、林内・林外とも日変化が明瞭である。量的には林外の方が多い。 5.積雪から流下する融雪水のpHは、林外では日変化が明瞭であるが、林内でははっきりしない。 6.河川流量は、融雪にともなう日変化が明瞭であるが、対象融雪期の最大流量は降雨によってもたらされた。 7.河川水のpHは、流量の変化に対応して日変化を示す。最低のpH値は最大流量時で、約5.0まで低下した。
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