研究課題/領域番号 |
02041006
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤原 滉一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (00001503)
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研究分担者 |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助手 (20187230)
石井 寛 北海道大学, 農学部, 助教授 (10002057)
石城 謙吉 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (20001802)
柿沢 宏昭 北海道大学, 農学部, 助手 (90169384)
清水 収 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
松田 彊 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (30002075)
春木 雅寛 北海道大学, 環境科学研究科, 助手 (40113609)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | サハリン / 森林管理 / 木材生産 / アカエゾマツ / グイマツ / 淡水魚 / 遺伝子保存 / 流域保全 / 南サハリン / エゾマツ / 森林火災 / 木材経済 / 森林保全 |
研究概要 |
1.極東の森林管理組織の動向 1966年より1988年までは、 連邦閣僚会議ー国家森林委員会ー共和国林業省(森林委員会)ー地方林業管理局ーレスホ-ズの組織で、森林の大部分(一部はコルホ-ズ等の所有)を管理していた。1988年3月、極東の森林のうち面積で約1/2、とくに高蓄積の森林を対象に、木材生産・利用組織である 林産工業省ー総合レスプロムーレスプロムホ-ズに貸与され、森林委員会は監督権のみとなった。これは木材生産とその利用を一体化し、生産と利用の効率化をねらったものであった。しかし、生産性はあがらず、一方で森林の保全を軽視した伐採が各地で進行したため、1991年には、1988年3月以前の体制に戻すという動きもあった。しかし、急速な政治・経済危機のため、森林管理組織は不安定な地位におかれている。 1991年秋には、ロシヤ共和国の森林省は、「生態及び天然資源省」に再編されたと言われ、サハリン州では、州経済部門の中に編入する方向との情報がある。 2.極東の木材生産及び林受工業の動向 1975〜1985年の極東の木材生産量は、年約35×10^6m^3で、その40%はハバロフスク州、サハリン州は10%、3〜4×10^6m^3であった。 製材は極東の各地方で生産されているが、合板・パ-ティクルボ-ドは沿海地方、また、紙・パルプはサハリン州というように、製品によっては著しく産地が片寄っている。 これらの木材加工業の1985〜1989年の生産量をみると、増産の方針が度々提起されているにもかかわらず、停滞傾向を示し、木材の伐採量も増加しているとは思われない。停滞の原因は、労働力不足・生産・輸送手段の不備、独特の縦割システムの非効率などにある。これらの抜本的な対策なしに木材生産量を確保するならば、掠奪的伐採が各地で進行することになろう。 3.サハリンの森林保全上の課題 サハリンの森林は、極東の面積では1.5%であるが、木材生産量は10%である。加えて、日本時代より伐採利用が進み、現在もサハリン州内の6つのパルプ工場の原木供給のため伐採が行われている。政治的混乱の中で、保全や再生を軽視した天然資源利用が増大する傾向にあり、森林も最も開発の容易な天然資源である。旧森林管理局関係者や一部の地域住民が、環境や森林保全のため努力しているが、大きく期待することはできない。 資源利用とは別に、10^3〜10^4haの山火事が頻発し、それは森林資源のみではなく、流域保全にも大きな負荷を与えている。また、虫害や冠雪害も無視できない。 更新・保護など保全に関する技術は、個別には北海道より進んだものもあり、経験交流や共同研究の可能な分野である。 4.サハリンの生物相の記載と遺伝子保存 サハリン州の自然は急速に破壊され、変わりつつある。しかし、森林や水生生物の生態系はまだ各所に残っていて、これらの一部を記載した。また、樹木種子の一部は、採取したり寄贈をうけたが、交換等により今後も継続的に取得できる条件をつくった。 森林の構造は下記のものを帯状区法で記載した。 (1),北限のアカエゾマツ林(本邦でははじめて) (2),南限のグイマツ林 (3),北限のエゾイタヤ林(北緯50度) (4),海岸林(南部東海岸) (5),トドマツ林(南及び中部) (6),エゾマツ林(中部) 淡水魚については、オプチハ川(落帆川)中・下流部、オロロフカ川(気屯川:ポロナイ川支流)上流部、ピルヴォ川上流部で調査した。ワカサギ・イトヨ・トミヨ・ハナカジカ・ウグイ・イトウ・アメマス・オショロコマ・サクラマス・カラフトマスが、北海道とは異なる生息状況を示した。また、同地域で哺乳類についても採取と記録を行った。移入の歴史の浅いアカシカがサハリン全域に生息域を拡大していた。 なお、ヨ-ロッパを本拠とするイエスズメが生息域を東に進め、ハバロフスクで繁殖していることを確認したが、サハリン中南部での生息は認められなかった。 5.今後の緊急な課題 1),ポロナイ川流域の生態系の調査と、一部の保全区域の設定 シュミットラインが、この流域を通っているが、現在流域の東部山地の森林伐採が進行し、今世紀中には伐りつくされる状況である。 2),カラマツ類など主要北方樹種の分布と生態特性の解明 グイマツ問題は、依然としてロシヤ側とは見解が一致していない。同じ問題が多くの樹種にもあり、環境問題を含めて早急に着手する必要がある。 3),極東の森林資源保全の方策(共同研究) 土地利用の在り方、地域経済の自立などを主にして。
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