研究分担者 |
FERIDUN CILI イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
METIN AHUNBA イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
ZEYNEP AHUNB イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
MUFIT YORULM イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
青木 孝義 長崎大学, 工学部, 助手 (10202467)
中井 泉 筑波大学, 化学系, 講師 (90155648)
篠野 志郎 日本城郭研究センター, 城郭研究室, 室長 (20108210)
石川 浩一郎 石川工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (50232252)
河辺 泰宏 愛知淑徳短期大学, 家政学科, 助教授 (70195139)
佐藤 達生 (伊藤 達生) 大同工業大学, 建設工学科, 助教授 (40131148)
真下 和彦 東海大学, 工学部, 教授 (80096263)
加藤 史郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023303)
飯田 喜四郎 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80022987)
YORUIMAZ Miifit Prof., Technical University of Istanbul
AHUNBAY Zeynep Prof., Technical University of Istanbul
CCLC Fevidun Prof., Technical University of Istanbul
AHUNBAY Metin Prof., Technical University of Istanbul
METIN Ahunba イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
ZEYNEP Ahunb イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
MUFIT Yorulm イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
FERIDUN Cili イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
石川 浩一郎 石川工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (50168192)
CULU Feridun イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
AHUNBAY Meti イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
AHUNBAY Zeyn イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
YORULMAZ Muf イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
高原 健一郎 東京大学, 工学部, 日本学術振興会特別研 (40222088)
五島 利兵衛 大同工業大学, 工学部, 教授 (70041572)
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研究概要 |
平成4年度は本研究最終年度にあたるので,これまでの調査結果を踏まえて史料調査,実測調査,細部調査,構造調査,建築材料分析を行ない,その成果を研究報告会で発表した。 史料調査としては,フォッサーティ以後のハギア・ソフィア大聖堂修復史を整理し,特に1950年以降の修復工事についてイスタンブール国立資料館保存の史料を精査した。同資料館の文書保管状況が悪く,史料研究の能率は低かったが,特にドーム内面,テュンパヌムの内装修復について未公開の史料を得ることができ,これについての考察は現在論文として準備中である。 実測調査では,ハギア・ソフィア大聖堂に関して,中央ドーム,ペンデンティヴ,南北大アーチとテュンパヌム,および4本の主ピアについて写真測量を実施した。調査団の日程および調査対象の都合から,これに先立ってエディルネのセリミエ・モスクで中央ドームと上部支持構造の写真測量を実施した。セリミエ・モスクのドームはハギア・ソフィア大聖堂と同規模であり,建設年代は大きく異なるものの,構造上,形態上の比較研究の対象と考えられる。ハギア・ソフィア大聖堂の中央ドームについては,すでに初年度に写真測量を実施したが,対標の設置方法と観測方法にやや問題があり,図化の段階で図化機の特性から型状解析に必要なデジタル・メッシュ・データを得ることができなかった。今回の測量では,その後の経験を生かして誤差を少なくし,デジタル・メッシュ・データが得られた。この結果,大聖堂の主たる架構構造である東西半ドーム,中央ドーム,ペンデンティヴの実測が完了したことになる。主ピアについては写真測量を行なったが,目的は各部位の外向き変位の測定であり,代表点のみの図化になる予定である。デジタル・メッシュ・データによる形状解析は,調査帰国後に開始し,東測半ドームについて結果が得られた。同半ドームの仮想中心点からの半径差および垂直断面での曲率を視覚化することにより,殻面が基部の窓の上付近で急に内測に迫り出し,頂部でも大きな曲率をもつ尖頭形状に近い形であることが半明した。 細部調査はドーム基部のコーニス,リブ基部を対象とし,コーニス石の仕上げ状況,表面傾斜角,リブのモザイク仕上げ状況を詳細に記録した。コーニス石の仕上げと傾斜角は建設・再建年代にほぼ対応しており,特にドーム崩落後(10世紀,14世紀)の再建部分と創建時の殻面の境界点および接合方法を明確にする上で重要なデータになると思われる。考察結果は研究報告会で発表された。 構造調査は,第一,二年度の一点常時微動測定の結果を参考にして,振動モードを得るために二点同時の常時微動測定を実施した。測定対象はハギア・ソフィア大聖堂,ハギア・イレーネ聖堂,スレイマニエ・モスク,ミフリマーフ・モスクである。ハギア・ソフィア大聖堂の二点測定では,一つのピックアップを南西主ピアのギャラリ一階に,他のピックアップをドーム・コーニスの8点,第2コーニス上5点に設置し,北西主ピアについても同様の測定を繰り返した。ハギア・ソフィア大聖堂の固有振動数は南北方向2.12HZ,東西方向1,87HZと測定され,固有周期約0.5秒は,過去の地震がこの周期付近で大きなエネルギーをもつことから,同大聖堂の耐震強度の評価にとって重要である。他の測定値は,南北・東西の順でハギア・イレーネ聖堂(2.37,2.62),スレイマニエ・モスク(3.5,3.25),ミフリマーク・モスク(2.62,2.12)であった。 ハギア・ソフィア大聖堂,およびそれと同年代の建築材料を含むイスタンブール市壁から採取した微量のサンプルを帰国後いくつかの物質化学的分析法(ICP発光分光分析,赤外線吸収スペクトル,TG-DTA熱分析,粉未X線回析分析,蛍光X線分析など)によって分析し,特にレンガについては,組成と焼成年代とのあいだに密接な相関が得られ,今後未知年代の建築材料の同定にとって有効な指標となることが予想される。 以上の調査研究成果を公表するため,トルコ側研究分担者のうち3名を招き,平成5年3月20,21両日にわたって日本建築学会建築会館ホール(港区芝)で学術研究報告会を開催した。本報告会は日本建築学会,建築史学会,日本イコモス国内委員会,トルコ大使館の後援を受け,参会者は第一日180名,第二日110名を数え,盛会であった。発表講演のプログラムおよびレジメは添付の通りである。
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