研究課題/領域番号 |
02041016
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坂上 澄夫 千葉大学, 理学部, 教授 (40002521)
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研究分担者 |
川辺 鉄哉 千葉大学, 理学部, 助手 (60009389)
柳田 寿一 九州大学, 理学部, 教授 (70037183)
ALDANA Manue ペルー国立地質鉱山治金研究所, 技師
CARRASCO Rau ボリヴィア国立地質調査所, 地質技師
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 中部アンデス / 古生代後期 / 紡錘虫 / コノドント / タルマ層群 / コパカバ-ナ層群 / ペル- / ボリビア / 古生物群集 |
研究概要 |
研究代表者は研究分担者と共に1980年以来隔年で3回にわたって「アンデス中部地域の古・中生界の生物層序学的研究」をおこなてきたが、今回は「アンデス中部地域の古生物後期古生物群集の解明」として1990年現地調査、1991年調査総括をおこなった。今回の調査の目的は2つあった。1つは最近のコノドント研究の進展に伴ない、コノドントの資料を加えて検討をおこなうことで、地域的にはペル-国タルマ市近傍の中部石炭系タルマ層群のコノドント試料の採集とボリビア国西部チチカカ湖周辺の分布するコパカバ-ナ層群のコノドント試料の採集である。2つ目はコパカバ-ナ層群の時代論について我々のこれまでの結論を再検討することで、とくにSuarezーRiglos et al.(1987)がコノドントによる研究によって主張するコパカバ-ナ層群中に石炭系と二畳系の境界を設けることの妥当性を検討することである。 ペル-国のタルマ層群中から採集した30個のコノドント試料からその抽出を試みたが残念ながらコノドント化石は発見し得なかった。 ボリビア国のコパカバ-ナ層群からのコノドント解析用試料については研究続行中である。このコパカバ-ナ層群は下部のTriticites帯、中部のPseudoschwagerina帯、上部のEoparafusulina帯に三分され、Dumbar and Newell(1946)以来すべて下部三畳系と考えていた。が、SuarezーRiglos et al.(1987)はコノドントによる生層序学的研究をおこない、4群集帯(assemblage zone)に分帯し、下位の2帯を石炭系最上部(Virgilian)に位置づけた。この2帯は我々のこれまでの研究を含め従来の研究者が二畳系最下部と認定してきたTriticites ZoneあるいはTriticites nitens Subzoneにほぼ相当すると考えられる。 わが国ではこれまで一般に紡錘虫による属帯ではPseudoschwagerina帯の基底を石炭系と二畳系の境界としながらも、層位学的関係を加味してPseudoschwagerina帯の最下部にしばしばPseudoschwagerinaを含まずTriticites群集で特徴づけられる部分をおいた。コパカバ-ナ層群におけるPseudoschwagerinaの最初の出現はヤウリチャンビ、アンコライメス、マルチデではコパカバ-ナ層群の基底からほぼ25ー40m上位から、クヤ-ビ、ヤレプパタでは基底から240ー280mからであり、それにより下位はTriticitesによって特徴づけられている。このことはわが国での上部石炭系から下部二畳系にかけての層序関係とよく類似しており注目に値する。 したがって、現段階ではTriticites帯(Triticitesを含み、Pseudoschwagerinaを含まない部分)を石炭系としておくが、我々が以前調査し収集した試料と今回とくにコノドント解析用の試料を加え、コパカバ-ナ層群中に石炭系と二畳系の境界を引くとすれば、どこにどのような生層序学的根拠に基づいて決めるべきかを総合的に検討していきたいと考えている。 堆積構造、堆積環境についてチチカカ湖周辺の石炭系ー二畳系には4つの層相シ-クエンスが識別され、それぞれの特徴と生層序との関係は下位から以下の通りである。第1シ-クエンスは細〜中粒のレンズ状砂岩からなり、tidal channelやlongshore barの堆積物が認められ、その堆積環境はforeshoreからupper shorefaceが考えられる。Sakagami(1986)の石炭系に相当する。第2シ-クエンスは石炭岩、泥質石灰岩、石灰質泥岩とそれらに抉在する薄い泥岩からなり、ヤウリチャンビとアンコライメスに分布し、Triticites帯に対応する。クヤ-ビ、ヤンプパタ、マチルデの本帯はスランプ構造で特徴づけられる再堆積石灰質岩相が観察され、クヤ-ビ、ヤンプパタではその層厚は100mに達し、そこに2つのユニットが識別される。第3シ-クエンスは石炭岩、泥質石灰岩、泥岩と緑色、灰緑色、白色苦灰質泥岩からなる。このシ-クエンスは全ル-トに分布するが、緑色岩相はクヤ-ビとヤンプパタでその層厚が卓越する。第4シ-クエンスは主に苦灰岩、石灰岩、石灰質泥岩、珪質泥岩からなる。これらの堆積物はshorefaceからtidal flatに沈積したと推定される。このシ-クエンスは2つのサブシ-クエンスの繰り返しからなり、下位はSakagami(1986)のPseudoschwagerina帯に、上位はEoparafusulina帯に対応しているように見える。
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