研究分担者 |
胡 坦 中国藏学研究中心, 教授
特布信 内蒙古大学, 教授
侯 精一 中国社会科学院, 語言研究所, 副所長
季 ロン 中国社会科学院, 語言研究所, 教授
照那欺スト 中国社会科学院, 民族研究所, 研究員
新谷 忠彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (90114800)
加藤 直人 日本大学, 文理学部, 助教授 (90130468)
石橋 崇雄 国士館大学, 文学部, 助教授 (50184560)
西澤 治彦 武蔵大学, 人文学部, 助教授 (80218148)
諏訪 哲男 (諏訪 哲郎) 学習院大学, 文学部, 教授 (00129222)
中見 立夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20134752)
斯波 義信 国際基督教大学, 社会科学科, 教授 (00039950)
梅田 博之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20014459)
LI Rong Chinese Academy of Social Sciences
JUNAST Chinese Academy of Social Sciences
HOU Jing-yi Chinese Academy of Social Sciences
TOBSHIN Nei meng gu University
特布 信 内蒙古大学, 教授
ほう 精一 中国社会科学院, 語言研究所, 副所長
季 ろん 中国社会科学院, 語言研究所, 教授
照那 斯すと 中国社会科学院, 民族研究所, 研究員
特布信 内蒙古大学, 教授
李 〓 中国社会科学院, 語言研究所, 教授
照那斯〓 中国社会科学院, 民族研究所, 研究員
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研究概要 |
研究代表者及び各研究分担者は,当該年度が最終年度にあたるため,全員各々の研究を成果としてまとめる方向で中国の南北を軸とする広域的な調査活動を行い,調査漏れや疑問点をできるだけ少なくするよう努力した。 北方班の梅田は,朝鮮族を中心に,中国東北部のツングース系民族と漢族との言語文化接触について研究を行ってきたが,今年度は吉林省廷辺朝鮮族自治州を中心に,朝鮮族の言語と漢族の言語との接触について記述的研究を行った。自治州の朝鮮語は世代間の差異が著しく,音韻,語彙,文法の各方面にわたって差異の抽出に重点をおいて調査を行った。中見は,モンゴル族の社会文化変容と移動について,文書史料とフィールド・ワークの成果の統合をめざした。内モンゴル〓安館で所蔵文書の調査をし,北京の第一歴史〓安館において,モンゴル・満州関係文書の収集をした。さらに,中見は,モンゴル文書館所蔵清朝・ボグド・ハーン政権期史料につていほぼその全容をあきらかにした。加藤は満州族の社会文化変容を歴史学の立場から研究した。一昨年の青海の仏教寺院の現状の把握,塔児寺での経典印刷所の見学,西寧での佑寧寺の実態調査僧院の活動状況の視察についで,今年は,エベンキ,オロチョン,ダウールの3つの民族の自治旗が存在する中国内蒙古自治区のフルンブイル盟を訪れ,これらの民族の現状,歴史認識を調査した。今回の調査からは,今まで不明であった3つの民族を一括する「ソロン」が実体のあるのであり,区分することが困難であることが判明した。石橋は今年度も引き続き,遼寧省の満族自治県でヌルハチの旧老城を調査したほかに,省図書館を中心に文献調査を行い,旗地則例満文本や乾隆初期の満文本を調査した。北京では満州八旗社会の変化を調査した。 華中班の欺波は,安〓省地区の合肥を中心に人口移動と社会変化の調査を行い,新たなデータを得た。さらに,寧波で郊外への人口移動と市場の分布について調査を行った。中嶋は,研究の必要から,北方班に移った。山西省の方言を二種引き続き調査した。北京においてシボ族のインフォーマントから満州語の学習と言語調査を行い,満州語と北京語との言語と文化の接触についての研究を行った。また北京図書館と民族研究所においては,満州語文献調査を行った。最近では満州語の詳しい文献目録が公刊されており,日本では見られない文献の所在が容易にわかるようになった。ローマのバチカンの図書館だけに存在すると思われていたものも実は北京にあることもわかった。8月には北京で国際満学学術シンポジュウムも開かれた。この学会を通じて中国の学者との交流,研究の動態がわかったことも収穫であった。 南方班の諏訪は,納西族文化と周辺諸民族文化との相互関係の解明を目指しているが,今年度は,引き続き,雲南省紅河地区で焼畑農耕に従事するタイ族の集落を訪問し,主として,生業形態と諸儀礼の実態把握に努めた。また,麗江地区では,聞き取り調査によって,言語における漢民族文化の浸透の実状把握を試みた。西澤は,昨年度は開封を訪れて,回族と漢族との相互関係について聞き取り調査を行い,漢族との複雑な状況におかれている回族の現状を把握した。今年度は南京の回族社会の実態調査を行った。市内にある清真寺を中心に訪れて,アホンから話を聞き,回族の家庭を訪問して聞き取り調査を行った。かれらの生活や商業活動とその範囲,ネットワークを把握できて,南京の回族の社会の全体像が理解できた。新谷は,雲南省の富寧においてミヤオ・ヤオ系の言語調査を行った。とくに注意を引いたのは,各方言を比較して声調の一致性が観察されることで,これは離れたタイやラオスの同系言語でも一致するのである。歴史的にも声調分裂の様子は,一致性が看取され,比較言語学のデータを提供してくれる。 分担者以外で菅野裕臣(東京外国語大学,教授)が研究に加わった。これは,分担者の一人が,予定していた調査ができず,その役割を担ったものである。菅野はモスクワに行き,ロシアの朝鮮人の社会と言語の変容の調査について科学アカデミーと協議した。(50字×36行)
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