研究課題/領域番号 |
02041034
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
寺嶋 秀明 福井大学, 教育学部, 助教授 (10135098)
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研究分担者 |
ディンガ レアシ コンゴ科学調査環境省, 研究協力課, 課長
カララ ンセヤ 自然科学研究センター, 生物部(ザイール), 研究員
安溪 遊地 (安渓 遊地) 山口大学, 教養部, 助教授 (50149027)
佐藤 弘明 琉球大学, 医学部, 助手 (40101472)
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (50115789)
丹野 正 弘前大学, 人文学部, 教授 (30092266)
DINGA-REASSI J. Ministere de la Recherche Scientifique et Environnement, Direction de la Coopera
ディンカ゛ レアシ コンゴ科学調査, 環境省・研究協力課, 課長
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1991年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1990年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 中央アフリカ / 熱帯多雨林 / 狩猟採集民 / 漁撈民 / 焼畑農耕民 / 生態人類学 / 民族植物学 / 民族動物学 / コンゴ / バンベンガ(アカ)・ピグミ- / 生業活動 / 植物利用 / アフリカ / 伝統文化 / エスノサイエンス / デ-タベ-ス / バンツ-語 |
研究概要 |
本研究の目的は、アフリカの熱帯多雨林で生活する狩猟採集民、漁撈民及び焼畑農耕民の生態と文化の特性を伝統的な自然認識と資源利用の仕組みを通して明らかにし、人間の生活環境としての熱帯多雨林がもつ可能性を探究することである。この目的のために、平成2年度及び3年度の2ヵ年にわたって中央アフリカのザイ-ル国及びコンゴ国において長期住み込み調査を主体とした現地調査をおこなった。 平成2年度はザイ-ルに日本人研究者3名を派遣し、現地研究者と共同して同国北部のイトゥリの森及び中部のルアラバ川流域の熱帯多雨林帯において現地調査をおこなった。イトゥリの森では狩猟採集民レセ・ピグミ-の動植物に関する認識と利用、ならびに彼らの狩猟活動が動物個体群に及ぼす影響等に重点をおいた調査をおこなった。その結果、この地域に棲息する200種余の哺乳類、鳥類等の動物相に関する知識と利用に関する詳細な民族科学的情報を得たほか、狩猟対象の目録と各々の捕獲量、自家消費量と交換にまわす量、交換のレ-ト等、適正な狩猟圧の水準を算出するのに必要なデ-タを得た。また、同地域で新たに150種余りの植物を採集し、それらの方面、食用、薬用等に関する300余りの用例を収集した。これらの動植物に関する情報は学名の同定が完了次第、一定のフォ-マットにしたがって整理し、「アフリカにおける動植物利用に関するデ-タベ-ス」に収められる。次に、ザイ-ル国ルアラバ川流域では、ソンゴ-ラ及びオンボ等の焼畑農耕民、漁撈民について、熱帯多雨林における河川、スワンプ、森林などの多彩な環境利用脇の比較調査をおこない、物々交換を介した諸生業の相互依存関係のメカニズムやその生態学的、民族学的意義仰明らかにするとともに、同地域の植物や魚類、哺乳動物に関する民族科学的情報を収集した。コンゴ国北部のウエッソ州では、現地研究者とともに狩猟採集民のバカ族(バンベンガ族)の予備的な調査をおこない、スワンプを含む湿性林における人口分布や狩猟活動、植物利用について多くの資料を得ることができた。この地域における人類学的な調査はこれまでほとんどおこなわれていないので、これらの資料は、今後の調査を進める上で貴重な資料となる。 平成3年度においては、ひきつづきザイ-ル国及びコンゴ国において現地調査を進める予定であったが、ザイ-ル入国直後に同国の政情が悪化し、国外退去を余儀なくされたために、日本人研究者5名全員がコンゴ国北部のリクアラ州において焼畑農耕民モンドンゴ族、及び狩猟採集民のアカ(バンベンガ)族の比較調査にあたった。まず、2名がウバンギ川支流のモタバ川流域における農耕民及び狩猟採集民の分布調査をおこなった後、最上流域において狩猟採集民のアカ族の狩猟活動、採集活動、動植物の認知に関する予備的な調査をおこなった。さらにザイ-ルより転進した3名及び現地研究者1名が、モタバ川中流域の焼畑農耕民の集落において、焼畑の開墾面積、作物、作付様式、収量、休閑期間、植生回復状況等に関する生態人類学的な予備調査をおこなったほか、スワンプにおける水位の変化を利用した漁撈活動や、各種のやし類を中心としたスワンプの植物利用、蛋白源としての動物の狩猟等に関する深い資料を収集した。また、モタバ川流域では合計400種余りの植物を採集し、それらの方名、利用法に関する情報を集めた。なお、コンゴ国北部の熱帯多雨林帯においては現在、USーAid(アメリカ政府の対外援助機関)や世界銀行などの援助により、自然保護の計画が進行中であるが、そのなかで長年この地域に住んできた住民の生活をどうするかが大きな問題となっている。本調査によって得られた資料は、これらの保護計画において、人間活動と共存できる自然保護を実現するための基礎資料として利用される予定である。
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