研究分担者 |
古川 彰 中京大学, 社会学部, 助教授
今井 一郎 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50160023)
高井 正成 京都大学, 霊長研, 特別研究員
米本 昌平 三菱化成生命科学研究所, 室長
河合 明宣 京都大学, 農学部, 講師 (90195024)
日上 耕司 京都大学, 霊長研, 特別研究員
菅 典道 京都大学, 医学部, 助手 (50186160)
増田 敦子 信州大学, 医短, 講師 (70165710)
榊原 吉一 千葉大学, 医学部, 講師 (50092060)
スン 乗庸 中国第三軍医大学, 教授
遠藤 克昭 京都大学, 医学部, 助手 (30025613)
木村 弘 千葉大学, 医学部, 助手 (20195374)
瀬戸 嗣郎 島根医科大学, 医学部, 講師 (00196974)
松林 公蔵 高知医科大学, 医学部, 講師 (70190494)
増山 茂 千葉大学, 医学部, 助手 (00219354)
松沢 哲郎 京都大学, 霊長研, 助教授 (60111986)
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 助教授 (10009649)
戸部 隆吉 京都大学, 医学部, 教授 (70025641)
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
本田 良行 千葉大学, 医学部, 教授 (30019525)
T.M. アマッチャ トリブバン大学, 医学部, 助教授
TARA Man Amatya Associate Professor, Inst. of Medicine & Teaching Hospital, Tribhuvan University
CHENG Yong Shun Professor, The Third Military Medical School of China
すん 乗庸 中国第三軍医大学, 教授
アマッチャ T.M. トリブバン大学, 医学部, 助教授
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50027497)
楊 雄里 上海生理研究所, 所長
平田 和男 京都大学, 医学部, 助手 (00201731)
土 登 チベット自治区, 衛生庁, 副庁長
孫 新甫 チベット医学科学研究所, 所長
木田 光郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (80023654)
堀 了平 京都大学, 医学部, 教授 (40001036)
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研究概要 |
1. フンザ地域住民の老年者の「健康度」について 長寿者が多いと伝えられるフンザ地域において,昨年にひきつづき,老年者の「健康度」に関する医学・疫学的調査を実施し,以下の結果を得た。(1)フンザ地域の75歳以上の老年者は,認知・行動機能,とりわけ行動機能において,75歳以上の日本人老年者に較べて優れた成績を示した。(2)フンザ地域の老年者では,日本と異なり,女性に比して男性の方が,認知・行動機能において優れていた。(3)老年者における「主観的幸福度」の調査では,フンザ男性が,日本人老年者の男女とほぼ同様の値を示したのに対し,フンザ女性ではより低い値を示した。これは,当該地域における女性の社会的地位を,反映しているものと考えられる。(4)フンザ地域高所住民において,動脈血酸素飽和度は,副交感神経機能指標と正相関を示し,低酸素が副交感神経活動を抑制している事実が判明した。(5)フンザ地域各村落別の年齢と収縮期血圧との相関関係は,近代文明の浸透度の薄くなるにつれて相関計数は低下し,血圧・年齢相関にライフスタイルの影響が反映していることが確かめられた。 2. 南米ヴィルカバンバ地域における老年者の「健康度」について フンザとともにやはり長寿地域として伝えられる南米エクアドル共和国ヴィルカバンバにおいて,老年者の「健康度」に関する医学・疫学的調査を実施し,以下の結果を得た。(1)老年者の健康度を標価するための数種の指標は,すべて,日本,フンザと同様にヴィルカバンバでも年齢と有意の相関を示し,かつ,年齢が高くなるにつれてばらつきが増大した。このことにより,我々が採用している指標は,老年者の国際的機能標価にも有用であることが確かめられた。(2)ヴィルカバンバにおける75歳以上の老年者の行動機能は,75歳以上の日本人老年者に較べて,同等もしくは,指標によっては日本人老年者より低い値を示した。(3)ヴィルカバンバ老年者のbody mass index は,日本人老年者のそれに比して非常に大きく,ヴィルカバンバ老年者は,日本人老年者よりも肥満傾向にあることが判明した。(4)Visual Analogue Scale による主観的な「健康度」,「経済状態」,「幸福度」に関する調査では,ヴィルカバンバ老年者では,日本人老年者に比して,みずからを不健康,貧しい,不幸ととらえていることが明かとなった。 3. ヒマラヤ地域およびアンデス高地における小児の実態について ネパールヒマラヤに居住する小児,ネパール首都部に住む小児,ならびに日本人小児に加えて,アンデス地域ヴィルカバンバならびにチチカカ湖周辺地域在住の小児に関する血圧,体格学的各指標,血清脂質のデータを集積した。その結果,ネパール高所に居住する学童は,ネパール首都部ならびに日本人学童に比して,収縮期血圧,拡張期血圧ともに平均値が高かった。アンデス地域の小児に関する結果は現在解析中である。小児の発達ならびに成長の度合には,遺伝生物学的側面以外に,自然環境と民族の文化,それに近代文明の流入にともなうライフスタイルの変化などが影響している可能性が考えられ,今後この点を明らかにしていく必要がある。 4. 高所民族の循環・呼吸応答の研究 重慶高山病研究所ならびにサラ人民病院において,高地居住民と平地居住民に関する気圧変化と低酸素変化に対する循環・呼吸応答の比較的資料を収集した。
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