研究課題/領域番号 |
02041051
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日高 敏隆 京都大学, 理学部, 教授 (70014892)
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研究分担者 |
ABANG Abdul サラワク州森林局, 主任研究員
DARID Labang サラワク州森林局, 主任研究員
太田 英利 琉球大学, 理学部, 助手 (10201972)
疋田 努 京都大学, 理学部, 助手 (40135512)
松井 正文 京都大学, 教養部, 助教授 (40101240)
LABANG David Research Officer, Forest Department, Sarawak
BIN ABANG ABDUL KARIM Ab Research Officer, Forest Department, Sarawak
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1990年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 湿潤熱帯 / 昆虫類 / 両生類 / 爬虫類 / 生活史 / 行動 / 進化 / 動物相 |
研究概要 |
1979年以来、京都大学を中心とする調査班は東マレ-シア、サバ州、サラワク州において、湿潤熱帯の昆虫・小動物の行動戦略の研究を続けてきた。1990年は、1989年から始めたサラワク州の調査を継続し、これまでサバ州で得た成果と対照しつつ、湿潤熱帯における変温性動物の行動の基本戦略の特異性と行動様式を含めた進化の様相の明らかにするために調査を行なった。サラワクにおける調査はサラワク森林省の森林研究課と国立公園・野生生物課をカウンタ-パ-トして行なわれた。1990年度の調査地はニア-地区のニア-国立公園とランビ-ル国立公園の低地の原生林、クラビット高地の山地森林、および南部のクチンに近いセラピ山である。現地調査には松井正文が調査隊長となり、疋田努に加え、二人の大学院生、林光武、荒谷邦雄が研究協力者として参加した。さらに現地のサラワク森林局の研究員David LabangとAbang Adbul Hamidが調査に参加した。調査期間は平成2年12月12日から平成3年2月13日である。 今回の調査では昆虫、両棲類、爬虫類を中心に行動学、生態学的調査を行なった。両棲爬虫類については核学的な調査も行なわれた。また、森林省の研究員との共同研究としてサラワクの動物相調査をおこなった。現在持ち帰った資料、標本を基に、詳しい分析が行なわれており、1989年調査については、すでにいくつかの論文が投稿中あるいは印刷中となっている。 調査は多岐に渡っているので、以下に項目別に記す。 1.クワガタムシ類の生活史と生息場所 今回の調査では、あらたに13属約50種約350個体のクワガタムシ成虫、幼虫、蛹、卵を採集し、特に幼虫期の生息場所と生活史についての資料を得た。 2.クロツヤムシ科甲虫の生息場所とコロニ-構成 亜社会性のこの甲虫については、すでにサバ州において調査を行なってきたが、今回のサラワク州の調査で、6属約19種が採集され、そのコロニ-構成が調査された。 3.トビトカゲの社会行動と活動周期 前年度に引き続き、トビトカゲDraco volansを補獲してあらたに30個体にマ-キングし、その社会行動を観察した。また、日周活動についての資料も得た。 4.ウツボカズラのなかで繁殖するカエルの生態 前回の調査でウツボカズラの壷の中から、カエルのオタマジャクシと卵を発見した。色今回はさらに詳しい調査をおこない、このカエルMicrohyla bofneensisが壷にはいって産卵するのを確認するなど、新たな知見を得た。 5.カエル類の体温生態学 38種216個体のカエル類について体温デ-タを得た。前回の調査と合わせて分析を行なう予定である。 6.熱帯のトカゲ類の体温生態学 トカゲ類の体温生態学については、すでにサバ州で調査を行ない、デ-タのまとめも行なっているが、前回に引き続きサラワク州の調査においても、捕獲時にほとんどの個体についての体温デ-タの記録をとった。32種161個体について体温デ-タが得られた。 7.カエル類の鳴き声の研究 今回の調査では27種のカエル類について繁殖期の鳴き声の録音に成功した。ソノグラフによる詳しい解析を行なう予定である。 8.両棲爬虫類の核型調査 今回はトカゲ類12種18個体、カエル類30種71個体について、現地で骨髄細胞をエ-アドライまたはフレ-ムドライ法により核型資料を得た。トカゲ類については約60個体を生きてまま持ち帰り、核型資料を得た。現在資料の染色、分析を行なっている。 9.サラワク州の両棲爬虫類相調査 今回の調査ではトカゲ類約38種、ヘビ類18種、カエル類約51種が採集された。現在分類学的な検討を行なっている。
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