研究課題/領域番号 |
02041053
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長島 順清 大阪大学, 理学部, 教授 (90044768)
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研究分担者 |
瀧田 正人 大阪大学, 理学部, 助手 (20202161)
幅 淳二 大阪大学, 理学部, 助手 (60180923)
杉本 章二郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (20044753)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | シンチレ-ションファイバ- / 軌跡検出器 / イメ-ジインテンシファイア- / マルチチャンネルプレ-ト |
研究概要 |
本年度は、シンチレ-ションファイバ-を使った軌跡検出器の開発状況について,米国において調査研究を行なってきた。これによって明かとなった、世界の開発の現状を以下にまとめてみる。 軌跡検出器として、シンチレ-ションファイバ-を用いるためには、読み出しシステムの構成にもよるが、30ミクロン程度まで細くしたファイバ-が望ましい。数年前まで、この直径を実現することは、ガラスファイバ-でのみ可能であった。プラスチックファイバ-では、シンチレション光をこの径のファイバ-内に閉じ込めておくことが出来ず、深刻なクロスト-クの問題を引き起こすのである。一方、ガラスファイバ-では、十分な減衰長を確保できず、実用的な大きさの検出器を製作するうえで、困難があった。 最近になって、プラスチックファイバ-に添加する新しいWLS(wave length shifter)が開発されて、状況は、一変した。PMP(1ーphenylー3ーmesitylー2ーpyrazoline)と呼ばれるこの物質は、極めて大きなスト-クシフトを有しているため、30ミクロン程度のファイバ-内で、シンチレ-ション光の十分な吸収が期待できるほど高濃度に添加しても、大きな減衰長が期待できる。これによって、マイクロプラスチックファイバ-で実用になる軌跡検出器を構成することが、現実味を帯びてきた。最近の報告によると、PMPを添加した30ミクロンのマイクロプラスチックファイバ-にたいして、9photon/KeVの光量と、30cmの減衰長を達成している。 実用器の製作に際してさらに開発研究を必要とするのは、次の諸点であろう。 1)ファイバ-間のアイソレ-ション PMPの添加によってクロスト-クの問題は、ほぼ解決したものの、依然として吸収を逃れたシンチレ-ション光によるノイズヒットは、軌跡分解能の質を落している。マイクロプラスチックファイバ-の束の製造法に適した、EMA(Extramural Absorber:ファイバ-間をうめる吸収物質)の開発が望まれる。 2)光信号のゲ-トとデレイ 現在のところマイクロプラスチックファイバ-の束に形成された「像」は、多段のイメ-ジインテンシファイア-で増幅された後、CCDカメラ等によって、処理されている。CCDのファ-ストクリアには、少なくとも1マイクロ秒を要するから、その前段でイベントレ-トを100KHz程度まで下げてやる必要がある。同様の要請が、イメ-ジインテンシファイア-の後段にあるMCP(マルチチャンネルプレ-ト)の飽和への配慮からもあるため、イメ-ジインテンシファイア-の前段に於ては、何らかの光情報のゲ-トならびにデレイができなければならない。これに対する決定的な解決は未だめどが立ってはいず、今後の大きな課題である。 3)画像情報の速い読み出し CCDカメラからの情報は、標準的な1メガピクセル程度の画像にたいして、その処理におよそ10ミリ秒を要する。実用的な軌跡検出システムを想定すると、この100倍ほどの画像情報を処理することになるため、デ-タ収集に1秒をも要することになる。従って実用化に際しては、各CCDチップにたいしてそれぞれにDSP(デジタルシグナルプロセッサ-)を装備して、画像情報の圧縮等の並列処理をしていかなくてはならないであろう。これに関しては、民生分野において、すでに様々な高速の画像処理機器が開発されているために、それほどの困難はないであろう。
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