研究分担者 |
WEI Stephen 香港大学, 歯学部, 教授
石 四箴 上海第2医科大学, 口腔医学院, 教授
たん 輝 北京医科大学, 口腔医学院, 教授
小椋 正 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (00059362)
長坂 信夫 広島大学, 歯学部, 教授 (30064827)
祖父江 鎮雄 大阪大学, 歯学部, 教授 (60029973)
小野 博志 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (80013879)
神山 紀久男 東北大学, 歯学部, 教授 (20013881)
WEI Stephen H. Y. Unniversity of Hong Kong, Faculty of Dentistry, Professor
SHI Sizhen Shanghai Second Medical University, School of Stomatology, Professor
DENG Hui Beijing Medical University, School of Stomatology, Professor
石 四〓 上海第二医科大学, 口腔医学院, 教授
〓 輝 北京歯科大学, 口腔医学院, 教授
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研究概要 |
日本国内においては、小児における口腔疾患の広範な疫学的調査は、昭和40年代の小児ウ蝕の激増期より出発したものがほとんどである。従って初発の時点からその軌跡をたどり口腔疾患の成立について考察を加えることは既に困難な状況にある。一方、中国においては、近年社会経済的環境が著しく変容し、小児の口腔疾患の著しい増加が予想されている。また中国における一人っ子政策により、小児の口腔保健に対する保護者の要求は、ますます高まるばかりである。しかしながら、中国における歯科医師数は、現在のところ人口10万人に対して1名という比率である。従って今後予想される幼小児の口腔疾患に的確に対応することは、きわめて困難な状況にあろう。 そこで中国人小児の口腔疾患に関して中国人研究者と日本人研究者とが共同で実態調査を行い、その結果を日本における過去の推移状況と比較検討することにより、口腔疾患の成立に関して考察を加えるとともに、今後の中国における口腔疾患増加への対応策の策定に資することを目指した。この研究プロジェクトは同時に、同じ東洋系民族として、ほぼ同様の文化を共有しながら、異なった社会経済的背景を有する中国人と日本人との間で、両国の小児歯科専門家が共同で調査することを通し、今後の両国間における歯学を通じた学術交流を発展させる絶好の機会にしうることが期待されるところであった。 中国側の小児歯科学専門家としては,北京医科大学口腔医学院のたん輝教授・上海第2医科大学口腔医学院の石四箴教授ならびに香港大学のStephen H.Y.wei教授がそれぞれ地域の研究調査に参加して,口腔内検診,口腔機能検査,食生活調査に協力した。この他にも,各大学の歯科医師,看護婦,歯科衛生士,歯科技工士および歯科助手など多数が本調査に参加し,調査活動を通じて日中間の国際交流を深めることができた。 調査は,中国大陸のなかで高度に都市化している北京市と,伝統的な農村的生活習慣を維持している四川省楽山市水口郷村及び水水道のフッ素化が既に導入され生活様式も西洋化されている香港の3地域で行なわれた。本調査に協力してくれた小児は,各地域の幼稚園・小学校・中学校に通う3歳児,6歳児,12歳児および15歳児の子供達であった。さて北京市での調査は,平成2年9月に,四川省楽山市郊外の水口郷村での調査は,北京での調査にひきつづき同年10月に行なった。また香港での調査は,同年12月に行なった。平成3年の9月〜10月にかけては、中国本土および香港からたん教授,石教授及びWei教授が来日され,鹿児島大学・大阪大学・東北大学及び東京医科歯科大学を訪問した。そして各大学において、これらの調査資料の分析法および分析結果などについての討議を行なった。 具体的には,東北大学の神山教授とは、集団調査方法の確立とウ蝕罹患状態の調査分析結果について討議した。東京医科歯科大学の小野教授とは,歯列および歯の大きさの調査分析結果について討議した。大阪大学の祖父江教授とは、口腔疾患の疫学的調査結果について討議した。広島大学の長坂教授とは、食生活の実態調査結果について討議した。鹿児島大学の小椋教授とは、咬合力と咀嚼様式の調査結果について討議した。詳しい研究成果については、研究成果報告書に報告している。同じ中国大陸の漢民族の小児の間でも、口腔内疾患状態などいくつかの点で地域差をみとめることができた。また3歳・6歳・12歳および15歳と小児の成長発育に伴なった歯列咬合状態の変化や咀嚼能率の変化および口腔軟組織の変化などを明らかにすることができた。
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