研究課題/領域番号 |
02041069
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
桜井 倬治 京都府立大学, 農学部, 教授 (40074025)
|
研究分担者 |
荒山 裕行 名古屋大学, 経済学部, 助教授 (60191863)
佐藤 豊信 岡山大学, 農学部, 助教授 (40144737)
宮崎 猛 京都府立大学, 農学部, 助教授 (50115945)
加賀瓜 優 京都大学, 農学部, 助教授
清水 哲郎 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (40132344)
武部 隆 京都大学, 農学部, 助教授 (30093264)
嘉田 良平 京都大学, 農学部, 助教授 (90111947)
河村 能夫 竜谷大学, 経済学部, 教授 (10121625)
山口 三十四 神戸大学, 経済学部, 教授 (90030684)
加賀爪 優 京都大学, 農学部, 助教授 (20101248)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1991年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 水質汚染 / 持続可能な農業 / 水銀行 / 大気汚染 / 食品安全性 / 逆都市化 / 地域経済構造 / 貧困率 / アメリカ農業の持続可能性 / 日米農業関係 / 土壌・水資源保全 / 農村社会 / 持続可能農業 / 低投入・持続可能農業 / 土壌保全 / 農薬 / 化学肥料 / 1990年農業法 / 飲料水・食品の安全性 |
研究概要 |
桜井、河村、武部、清水、加賀瓜、荒山の6名は本研究費により、また山口、宮崎の2名は他の在外研究費によりアメリカ合衆国での本調査を実施した。嘉田、佐藤の2名は、国内での各研究課題に関連する文献や資料を収集して、研究を行った。これらの研究による当該年度の実績は、以下の4点にまとめられる。 (1)桜井と荒山は、アメリカ合衆国における農薬やチッ素肥料による水質汚染の実態をとくにネブラスカ州の地下水を事例に分析した。その結果、環境保護庁が飲料水に含まれる化合物農度のガイドラインとして設定している最大汚染水準および健康上の助言水準を上回る検出井戸割合が少なくなかった。水質の非特定汚染源である農地における水質保全対策として、持続可能な農業の奨励・普及が政策的に推進されており、農薬や化学肥料の使用削減が進んできている。持続可能な農業は極めて学際的な側面をもち、統合的判断を要する問題であるが、環境保全に資する持続可能な農業を確立することは、農業を国民的に再評価するための大きな課題である。有機農産物と比較すると持続可能な農業の生産物には今のところ価格プレミアムがないが、資源の保全的活用による農業生産拡大への制約を考慮すれば、中長期的には農産物価格の上昇は不可避である。この点を踏まえた日米農業関係のあり方および日本農業の再編を考慮することが、重要である。 (2)山口、河村、宮崎は、アメリカ合衆国の3州において実態調査を行い、地域農業の衰退と地域経済構造・農村社会の変化動向とを明らかにした。環境問題に対する州民の関心が高く、6年連続の旱ばつが続くカリフォルニア州では、大気汚染防止のためのわら焼き規制と水質保全のための農薬使用規制、および食品安全行政による残留農薬規制とが連邦政府に比較して厳しく州政府により実施されている。加えて旱ばつにより不足する都市用水と魚類保護のための環境保全用水への需要が増加しており、州政府の水銀行制度により農業用水の他用途への転用が恒常化しつつある。環境保全のための規制行政の下で同州農業は限られた資源を有効に活用する持続可能な農業への移行が不可避の状況にあり、生産量でみた地域農業は多くの作目について衰退しており、貧困率の高い農村が比較的多い。人口密度の比較的高いニュ-ヨ-ク州では、人口が都市から農村に移動する逆都市化傾向が近年顕著である。農村部の住宅開発により優良農地が急速に減少しており、景観保全や遊水機能等の公益機能を有する農地保全が政策課題になっている。逆都市化により農村の経済構造が変化しており、収穫面積でみた地域農業は総じて衰退傾向にある。観光産業が比較的発達しており、自然条件の豊かなフロリダ州では、作目別・地域経済構造別にみた農村の多様化が進行している。このように自然・社会経済的立地条件の多様なアメリカ合衆国では、持続可能農業のあり方が地域毎で異なっている。 (3)式部、清水、加賀瓜は、i)持続可能な農業に関する研究事業の名称がLISAから、1990年農業法の下でのSAREに変更されると同時に、事業内容が拡充されたこと、ii)国定有機農産物基準の作成や使用農薬の農家記録の強化などの食品安全性に関する連邦行政が拡充されたこと、iii)カナダとの北米自由貿易協定に加えて、メキシコとの同協定が交渉されており、北米ブロック内での農産物流通の拡大が進行しつつあること、などを明らかにした。 (4)嘉田と佐藤は、国内での文献研究から、アメリカ合衆国における持続可能な農業と土壌・水資源保全政策とについて、さらに詳細な研究を行った。
|