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混合フタバガキ林の群集動態における先駆種の地主と役割

研究課題

研究課題/領域番号 02041071
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関大阪市立大学

研究代表者

山倉 拓夫  大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10089956)

研究分担者 MORSHIDI Bad  Sarawak Forest Department, Forest Gua
SYLVESTER Ta  Sarawak Forest Department, Malaysia, Forest Gua
EARNEST Chai  Sarawak Forest Department, Malaysia, Executive
HUA Seng Lee  Sarawak Forest Department, Malaysia, Assistant
大久保 達弘  宇都宮大学, 農学部, 講師 (10176844)
谷口 誠  大阪市立大学, 理学部, 助教授 (00047309)
BADANG Morsh  Sarawak Forest Department(Malaysia), Forest Gua
TANG Sylvest  Sarawak Forest Department(Malaysia), Forest Gua
CHAI Earnest  Sarawak Forest Department(Malaysia), Executive
LEE Hua Seng  Sarawak Forest Departmen(Malaysia), Assistant
TAN Sylvest  Sarawak Forest Department(Malaysia), Forest Gua
CHAI Ernest  Sarawak Forest Department(Malaysia), Executive
研究期間 (年度) 1990 – 1991
研究課題ステータス 完了 (1991年度)
配分額 *注記
13,500千円 (直接経費: 13,500千円)
1991年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1990年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
キーワード混合フタバガキ林 / 群集 / 種の多様性 / 群集構造 / 群集動態 / 先駆種 / 生活史戦略 / 東南アジア
研究概要

熱帯アジア自然の象微的存在である原生混合フタバガキ林は、巨大な構造、豊度な種組成、大きな局地変異を特徴とする。本研究は1)混合フタバガキ林内に50na大面積調査区の基礎を設定し、2)群集の多様性・構造・動態を解析すると共に、3)先駆種の生活史戦略を比較調査し、フタバガキ群集の中で先駆種が占める地位と役割について生態学的解析を行うことを目的とする。
調査地はマレ-シア国サラワク州ランビル国立公園とし、公園の全域を覆う原生混合フタバガキ林を調査対象とした。このフタバガキ林はフタバガキ科の分布中心であるボルネオの中でも森林が良く保存され、複雑な地形に対応して森林の種組成・構造・動態の局所変異が大きく、各種の比較調査に適している。平成2年10月から野外調査に着手し、研究課題である先駆種の生活史戦略の解明のための調査と並行して、大面積長期観察のための基盤整備に努めた。
調査区設定作業は1)タキオメ-タ(光波距離計内蔵セオドライト)による地形測量、2)水平距離5m毎の測量標識杭埋設作業、3)アルミ製標識ラベル取付による個体識別、4)胸高直径1cm以上の識別個体の毎木調査(種同定・胸高直径測定・個体配置図作製)からなる。地形測量・標識杭埋設作業を平成2年10月に開始し、平成3年12月末に50na調査区囲い込みのための全作業を完了した。これに要した期間と作業量は、それぞれ延べ1年3ケ月、3800日人となった。成果は地形図に取りまとめたが、日本に持ち帰り不可能な、地面に埋設した標識杭も主要な成果である。調査区は標高差で300m以上の落差があり、尾根や谷に留まらず、川や絶壁も含み、従来の調査区で理想とされた均質な調査区とは異なる。大面積調査区設定の秘訣は、異質なハビタツトを数多く、できるだけコンパクトに取り込むことにある。個体識別と毎木調査は平成3年4月から開始し、平成4年3月末までに10naの野外調査を終了した。調査期間内の当初目標を10naとしながら、途中で25naに目標を変更したものの、最終的に終了できた面積は10naに留まった。残る40naの毎期調査は平成4年4月以降も引き続いて行うが、これについては別途資金を必要とする。本研究計画と同じく、本研究計画終了後の調査もサラワク・日本・アメリカの3国共同研究となる予定である。
大面積調査区設定の逐次進行と並行して、先駆種の生活史戦略解明のための調査を行った。調査区内で大きさを異にする50個の典型的ギャップを選び、胸高直径1cm以下の個体にも標識ラベルを取付け、先駆種の生長や個体群動態を調べた。種子動態の調査のために、種子トラップ設置による種子生産の測定と埋土種子密度の測定を行った。先駆種の植物体や種子を日本に持ち帰り、生体成分の抽出やバイオアツセイを試み、植物の被食防衛持質の探索を行った。
ギャップ形成の引金となる成熟木(胸高直径30cm以上)の枯死倒木速度は0.125個体/na/年となり、ギャップ形成速度で0.005ha/na/年および回転時間で200年の数値を得た。ギャップには多くの先駆種が侵入し、極相種の生長に比べ10倍の成長率が測定された。4na内の胸高直径10cm以上の標本木の過去25年間の生長デ-タをロジスチック曲線で近似し、胸高直径1cmに達してから現在の個体サイズに生長するのに必要な年数を推定した。林冠を形成する成熟木が今までの生長に要した時間は100年から738年の範囲にあった。その多くは200年から400年の範囲の値を取る。これに反し、先駆性種の生長は急速に起こるものの、成熟期サイズに達するものはなく、オオバギ属で50年、アカメガシワ属で150年の寿命を持つ個体は存在しなかった。先駆種と極相種の直径生長を決めるロジスチック曲線の2係数(rとk)を求めると、rとkは有意な負の相関を持ち、r〜k戦略の分岐には資源的制約があったことを示唆した。オオバキとアカメガシワの葉には有効な被食防衛物質を確認できなかったが、種皮にはレタスの芽ばえ生長を阻害し、抗菌作用のある物質が存在した。これらの現象は先駆種がギャップに更新を依存し、大量の種子を埋度種子として確保し、被食防衛を動物に依存する事実を反映するものである。また、破壊された熱帯林の初期修復に際して、先駆種の役割は重要であり、本研究の成果は応用的にも基礎情報を提供するものである。

報告書

(3件)
  • 1991 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1990 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 山倉 拓夫: "熱帯林研究ネットワ-クへの道" アニマ. 224. 52-53 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山倉 拓夫: "サラワクの混合フタバガキ林における大面積調査区の設定" 日本熱帯生態学会ニュ-ズレタ-. 4. 1-6 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takuo Yamakura: "Toward an International Research Network" Anima. 224. 52-53 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takuo Yamakura: "Establishment of the Fifty Hectare Research Plot in the Mixed Dipterocarp Forest in Sarawak (In Japanese)." Tropical Ecology Letters. 4. 1-6 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 山倉 拓夫: "熱帯林研究ネットワ-クへの道" アニマ. 224. 52-53 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 山倉 拓夫: "サラワクの混合フタバガキ林における大面積調査区の設定" 日本熱帯生態学会ニュ-ズレタ-. 4. 1-6 (1991)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 山倉 拓夫: "熱帯林研究ネットワ-クへの参加顛末記" アニマ(平凡社刊). 5月号. (1991)

    • 関連する報告書
      1990 実績報告書

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公開日: 1990-04-01   更新日: 2016-04-21  

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