研究分担者 |
OTTO SALVIGS ノルウェー極地研究所(Norsk Polarinstitutt), 教授
澤口 晋一 明治大学, 文学部, 非常勤講師 (00222026)
梅本 亨 明治大学, 文学部, 講師 (20201957)
松岡 憲知 (松岡 知憲) 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10209512)
平川 一臣 東京都立大学, 理学部, 助教授 (40126652)
下川 和夫 札幌大学, 女子短期大学部, 教授 (70206225)
森脇 喜一 国立極地研究所, 地学, 助手 (50033501)
MIURA Hideki Tokyo Metropolitan University, Graduate Student
HASEGAWA Hirohiko Meiji University, Graduate Student
SALVIGSEN Otto Norsk Polarinstitutt, Professor
SALVIGSEN Ot Norsk Polarinstitutt, 教授
小野 有五 北海道大学, 環境科学研究科, 教授 (70091890)
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配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1992年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
今年度は,3年間にわたるスバルバール調査のまとめとして,継続調査項目の最終研測および研測装置の撤去・現場復旧作業,ならびにこれまでの研究から必要となった補足調査を実施した。 1.ラインダーレン(Reindalen)調査地(1)初年度から隆起速度を計測する目的で測量を継続している谷底のピンゴについて,最終的な測量を行った。その結果,このピンゴの中核部は現在は成長段階から消滅過程に進んでおり,氷体の成長は下流側に移動して,新たに小さなピンゴを形成しつつあることが再確認された。(2)メルコルフィエレット(Merckollfjellet)山の山麓斜面において、雪崩による岩屑移動によってできるavalanche boulder tongueの地形計測を行った。また,その内部構造を観察し,構成する礫の大きさや重量などを測定した。さらに,この構造の表面に観察される特徴的な微地形についても調査を行った。その結果,当地域の山麓斜面における物質移動に雪崩が大きく貢献していることが定量的に確認できた。(3)前項のやや上流に位置する氷食谷斜面において,予め埋設しておいたグラスファイバー製のチューブを発掘し,その変形を計測することによって斜面の物質移動量を測定した。斜面の表層堆積物の凍結・融解に伴うジェリフラクションによって,2〜4cm/年の早さで地表付近の物質が下方へ移動していることがわかった。 2.カップリンネ(Kapp Linne)調査地(1)山地から海岸段丘上に広がりつつあるソリフラクションローブ全体の動きを捉えるために測量を行い,地形図を作成した。変化の定量的な把握は,前回作成の地形図を基に計測中である。(2)ソリフラクションローブの末端部付近に設置した自記歪計・自記地温計を発掘してデータを回収した。またペンキラインの変形の計測も行った。同時に末端部から計測装置の設置場所までのトレンチを掘削し,活動層の厚さなどの定量的データを含む内部構造の調査を行った。(3)平坦な段丘面上に発達する大型ポリゴンの地下内部構造を掘削調査した。また前回の調査時に設置した自記地温計のデータ回収を併せて実施した。 3.ヘルベチアダーレン(Helvetiadalen)調査地本研究の中心的な調査地域であるアドベントダーレンの氷河後退後の地形発達を考察するための比較調査地域として,「川中島ピンゴ」下流で合流するヘルベチアダーレンを選び,空中写真による地形判読結果を補足するたれの現地踏査を行った。 4.アドベントダーレン(Adbentdalen)調査地(1)河岸段丘上の微地形と地質,表層堆積物,植生などの関係を細かく調べて調査地全域の地形学図を作成した。また,数カ所においてトレンチを掘り,表層の構造を把握するとともに,土壌調査を行った。今後,土壌試料の分析結果等が出揃ったところで地形発達史的な検討を加えていく予定である。(2)河岸段丘面上に発達するポリゴンの掘削調査を行った。掘削は1990年夏に自記地温計・歪計を埋設した地点で行った。歪計による亀裂活動(幅の拡大)の時系列データと地温の時系列データを比較すると,その冬の最低地温を記録した前後に亀裂幅の最大値を記録していることがわかった。(3)活動中であることを示す記録のある「川中島ピンゴ」の再調査を実施したところ,隣接して直径約30m,比高約2mのフロストマウンドを発見した。内部が氷であることは掘削によって確認した。昨年の調査時には存在していなかったものである。(4)スコールテン(Skolten)山の北斜面(傾斜15〜30℃)に設置したメッシュ上の堆積物の体積を測定し,活動層のグランドによって,1年間あたり186.3cm^3/m^2の物質移動があったことを確認した。(5)調査地に最も近いモイサル氷河(Moysalbreen)とグロットフィエル氷河(Glottfjellbreen)の合流点付近において,氷上堆積物やモレーンなどの分布調査を行った。
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