研究課題/領域番号 |
02041092
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
長谷川 強 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (00039942)
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研究分担者 |
浅見 和彦 成蹊大学, 文学部, 教授 (40102173)
樹下 文隆 国文学研究資料館, 文献資料部, 助手 (70195337)
岡 雅彦 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (20044729)
松野 陽一 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (50005823)
小峯 和明 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (70127827)
SHINDO Kyozo National Institute Japanese Literature Asi. Prf.
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | パリ国立図書館 / ギメ美術館 / チェスタ-ビティ図書館 / 近世版本 / 奈良絵本 |
研究概要 |
本研究では、平成2年9月と3年3月の二度にわたってパリを中心とした予備的な調査を試みることができた。後者は年があけてからの追加予算が配分されたことによるものである。 いずれも限られた日程であったため、必ずしも計画通り充分に遂行すことができなかったが、その概要は以下の通り、まず昨年9月からまとめておこう。 1.パリ国立図書館について:本調査ではパリ国立図書館を主要な調査対象として予備調査を試みたが、資料が写本室と版画室とにわかれており、今回はおもに版画室にある近世版本の調査を中心に行った。特定コレクションにはデュ-レ・コレクション(版本が約1,300点蔵)をはじめ、ロベ-ル、ルボ-ディなどのコレクションがあり、総数は3,000点あまりに及ぶことが判明した。とくにデュ-レ・コレクションは質が高く、日本では知られていない古浄瑠璃をはじめ、貴重な資料が多数所蔵されている。この目録はデュ-レ自身が1900年に国立図書館から出版した仏語版があるのみで、日本から来た研究者が個人的な専門や関心から一部を紹介したにすぎず、その全貌はつかめていなかったものである。 今回の調査では、すでに紹介されていた一部の目録の誤りを訂正するのに時間を要し、また1日の閲覧が十二点に限られるなどの制約があったため、約100点程度の調査しかできなかった。 また写本室には、幕末の長崎出島の歴代の商館長達のコレクションがあり(ティチング、シ-トボルト、ストゥレル、ルスエルなど)、これ以外にも奈良絵本やキリシタン版なども多数所蔵それていた。時間の余裕がないため、個々の資料の調査が充分できなかったが、一部を除いて日本に紹介されていない貴重な資料が多くみられた。 2.ギメ美術館について:ここも美術館と図書館に分かれているうちの図書館におもむき、実態の全く知られていない和古書類について調査したが、目録がないため、図書カ-ドを一枚づつ繰っておもなもののメモをとったにとどまった。大半は近世の版本で、絵本の類、仏書の類がとくにめだった。蔵書の質については資料を直接見ていないので、判断が付かないが、点数だけはかなりあることが判明した。 3.予備調査に同行して頂いた佐藤悟氏の情報によって、ダブリンのチェスタ-ビ-ティ-図書館の調査と詳細な目録の刊行を図書館側が要請していることを知り、その後、図書館の潮田淑子氏と書簡を交わして調査の内諾を得た。 以上がまず9月に赴いた時の経過報告である。以下に3月の調査について記す。 1.パリ国立図書館をはじめ、パリの公共図書館はフランス在住の研究者や図書館司書からクレ-ムがつき、事前に充分意思疎通をはからないとその後の調査に支障をきたす恐れが大いに出てきたため、当館館長が直接パリに赴いて図書館の責任者や大学研究者との折衝をはかった。パリ国立図書館の小杉恵子氏、パリ大学のジャクリ-ヌ・ピジョ-氏、コレ-ジュ・ド・フランスのベルナ-ル・フランク氏、パリ国立東洋言語文化研究所のオリガス氏、フジモリ氏、高等研究院のロッタ-・モンド氏、ギメ美術館の清水圭子氏ら等々と会見し、パリにおける日本文学研究の状況及び国文学関係の資料の所蔵に関する情報を得、今後の足掛かりを得ることができた。また、東洋言語文化研究所の図書館とギメ美術館はおよその資料の所蔵状況をつかむことができた。 2.ダブリンのチェスタ-ビ-ティ図書館は潮田淑子氏の全面的な支援のもとに、わずか2日間ではあったが、奈良絵本を中心とする資料を六、七十点ほど調査することができた。できれば、今後さらに調査を継続して詳細な目録を刊行する方向にもっていければと考えている。 この種の総合的な調査では、図書館側の対応の如何が大きく左右するため、事前の折衝がとくに重要であることを痛感した。パリの調査はさらに時間が必要であろうと思われる。
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