研究課題/領域番号 |
02041097
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
石森 秀三 国立民族学博物館, 第4研究部, 助教授 (60099950)
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研究分担者 |
八木 祐子 日本学術振興会, 特別研究員 (70212272)
江口 信清 立命館大学, 文学部, 助教授 (90185108)
桜井 哲男 国立民族学博物館, 第5研究部, 助教授 (90110080)
山下 晋司 東京大学, 教養学部, 助教授 (60117728)
橋本 和也 静岡県立大学, 短期大学部, 専任講師
山本 勇次 活水女子大学, 文学部, 助教授 (50114806)
高田 公理 愛知学泉女子短期大学, 教授
大森 康宏 国立民族学博物館, 第3研究部, 助教授 (00111089)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 観光開発 / 社会変化 / 文化変化 / 開発途上国 / 観光産業 / 観光芸術 / 第3世界 |
研究概要 |
1.本研究は、当初、2年計画で申請したが、1年計画しか認められず、しかも当初の申請額1663万円に対して、300万円しか交付されなかったために、8割減額という非常事態に対応して当初計画を大幅に変更せざるをえなかった。 2.本研究は、開発途上国における観光開発にともなう社会的・文化的変化の比較研究を目的としており、ミクロネシア、ポリネシア、アジア地域(韓国、インドネシア、モルジブ、ネパ-ルなど)、アフリカ、カリブ海地域などで比較調査を行なう予定であったが、今年度においては、カリブ海地域(トリニダット・トバコとキュ-バ)、タイ、ネパ-ル、インドネシア、フィジ-、韓国、オ-ストラリアなどで、観光開発にともなう社会的・文化的変化の現地調査を実施した。 3.現地調査にあたっては、まずはじめに国レベルにおける観光開発の実態の把握につとめた。その結果、数多くの開発途上国において、いまや観光が基幹産業になっており、国家政策として「観光立国」化を推進していることが明らかとなった。各国政府は、観光局などをとおして、国際観光推進キャンペ-ンを展開しており、「観光立国」化の推進に力をいれている。また、各国における観光開発政策の類似点と相違点についても、現実調査の成果にもとづいての比較研究を行った。 4.国レベルにおける観光開発の実態調査と並行して、村レベルにおける観光開発にともなう社会的・文化的変化の実態についても、現実調査を行なった。その結果、観光開発が各種の社会的・文化的変化の動因になっていることが明らかになった。社会的変化に関しては、観光関連産業による従業員雇用にともなう伝統的生業形態の変化、男女関係における伝統的役割の変化、世代間における社会的・政治的役割の変化、犯罪の増加や売春などによる伝統的規範の逸脱、伝統的権威構造の変化、地域間における対立の増加、貧富の格差の増大などが、観光開発にともなって生じていることが明らかになった。文化的変化としては、伝統的価値観の変化、伝統的宗教における変化、伝統的芸術における変化などが、観光開発にともなって顕著に生じていることが明らかとなった。 5.今回の調査は、短期間にとどまったので、観光開発にともなう社会的・文化的変化の問題を十分に解明するところまでいたっていないが、各地域において観光開発が深刻な変化をひきおこす動因になっていることが明らかであり、地元の人々はそのような観光開発に否定的な評価を与えがちである。それは、これまでの観光開発が外国企業や中央政府主導で行なわれることが多く、地元の意向が無視されるケ-スが多かったためである。今後とも、日本を初めとする北の先進諸国の人々による国際観光が隆盛になるなかで、南の開発途上国における観光開発がこれまで以上のテンポで進められるはずである。そのさいに、より望ましい形の観光開発のあり方が追及されなくてはならない。そのためには、研究者による客観的なデ-タの積み重ねが不可欠であり、今後とも継続的に観光開発にともなう社会的・文化的変化の調査がなされねばならない。今回の調査は、資金的な制約があったために予備的調査にとどまったが、今回の調査でえた成果を今後にいかすためにも本格的な調査を継続していくことを計画している。 6.本研究は、当初、ヨ-ロッパ社会科学共同研究センタ-が主宰する国際比較調査の一環をになうことを目的としていたが、申請額の8割減額という非常事態のなかで、当初計画を大幅に変更せざるをえず、国際研究機関との共同調査の機会を辞退する結果となった。観光開発にともなう社会的・文化的変化の問題は、世界各国が重視する研究テ-マの一つであり、ヨ-ロッパ社会科学共同研究センタ-は5年計画で国際共同調査を継続中である。この度、その国際共同調査プロジェクトへの参加を再度要請されたので、来年度再び、科学研究費補助金(国際学術研究)に申請を行ない、国際的な期待にこたえる体制を整えることを計画している。
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