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セピック丘陵を中心としたニュ-ギニア高地周縁地域の民族学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02041101
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

吉田 集而  国立民族学博物館, 第2研究部, 助教授 (90099953)

研究分担者 ティト アドニス  インドネシア文化庁, 歴史・文化局, 研究典
ズルヤニ ヒダヤ  インドネシア文化庁, 歴史・文化局, 研究員
川崎 一平  藤田学園保健衛生大学, 非常勤講師
豊田 由貴夫  亜細亜大学, 経済学部, 助教授 (20197974)
熊谷 圭知  阪南大学, 経済学部, 助教授 (80153344)
斉藤 尚文  中京大学, 社会学部, 助教授 (10170523)
吉本 忍  国立民族学博物館, 第2研究部, 助教授 (10124231)
ADONIS Tito  Staff of Directorate General History and Traditional Values, Directorate General
HIDAYA Zulyani  Staff of Directorate General History and Traditional Values, Directorate General
研究期間 (年度) 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1990年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
キーワードパプアニュ-ギニア / セピック丘陵 / 民族誌 / カプリマン族 / バヒネモ族 / ヤビオ族 / イワム族 / カクラ族
研究概要

1.計画の全体について
本計画は、インテンシブとエクステンシブな調査を組み合わせて、その成果をより大きくしようと図ったものである。すなわち、これまで、パプアニュ-ギニアのセピック川と中央高地とにはさまれた高地部周縁部において、インテンシブな調査を行ってきた。それは、7人の調査者による、異なった支流における異なった民族を対象にしたインテンシブな調査であるが、今回においても、それを更に継続している。そして、異なった7つの支流を調査地域とするため、セピック川流域においては、全体としてエクステンシブな調査計画ともなっている。今回においては、それをセピック川流域以外にも広げようとする予備調査を加えている。すなわち、インドネシア領イリアン・ジャヤにおけるアスマット地域の調査である。ニュ-ギニアにおける高地周縁部の文化の、より一層のエクステンシブな調査を図ったものである。
2.セッピク川流域での調査
今回の計画により、継続してきた各民族の、個々の民族誌的調査はほぼ完了した。すなわち、カプリマン族、バヒネモ族、ヤビオ族、イワム族(ワヘイ族は前回で終了しているので、今回は除いている)の5族については、それぞれの調査者が報告を書く予定である(ワヘイ族については、学位論文としてすでに発表している)。カプリマン族では、特に民族移動が重要なトピックである。この地域では、小人口の多くの民族が混住しており、これらの民族の移動の歴史、更に民族相互の関係が重要である。バヒネモ族はやや孤立した民族で、しかも近代化の影響の少ない民族である。そのため、伝統的な文化を調査・観察することができ、特に儀礼や神話の調査に焦点を合わせた。当初予定のガホム村だけでなくイガイ村をも調査地に加えることによってバヒネモ族の全体像がよりよく把握することができた。ヤビオ族については、近年になって急速にキリスト教化が進みつつある小民族で、なお伝統的文化を聞き出せる状態にあり、かつての社会組織、儀礼などと、現在の状況とを比較するような社会人類学的調査が行われた。イワム族は先の民族に比べるとやや大きな民族で(人口1400人)、外界との接触の歴史も他の民族と比較して長く(1956年以来)かなりの文化変容をきたしているが、生業形態や呪術的思考は元の形をよく残している。それらの調査とともに、現在での粉争の解決の仕方に彼らの文化を読み取る試みがなされた。マリ族については調査の継続を図ろうとしたが、マリ族全員が上流の金鉱の試掘のために雇われて移動してしまい、調査の続行が不能になった。そこで、以前に手をつけたことのあるカクラ族に変更して調査を行った。ここでは、歌や踊りが売買の対象になっており(売買によって、歌や踊り、呪術などが伝播してゆく)、セピック川流域での文化の相似性の理由の一端が理解できるトピックを調査することができた。ただし、カクラ族の調査はまだ未完成であり、継続が望まれる。
これらの個々のインテンシブな調査を通じて、セピック地方における高地周縁部の一般的特徴をかなりの部分まで明らかにすることができた。特に、各民族における口承伝承を元にした民族移動の分析によって、一般的には高地から低地へと移動してきたことが明らかになってきたし、一方で支流間の移動(川に沿う移動ではなく、歩行困難と考えていた熱帯低湿地林の中を徒歩で移動している)もかなりの頻度で行なっていることも分かってきた。更に、さまざまな有形無形の文化要素がある方向を持って伝播されいきたことも明らかになり、この高地周縁部の文化の相似性と特殊性の状況とその理由をかなりの程度まで理解できるところに達した。
3.イリアン・ジャヤでの予備調査
インドネシア側のさまざまの制約のため、当初予定していた地域にまで入ることができなかった。アスマット族そのものを調査は、イリアン・ジャヤの中ではよく調査されている民族であり、彼らの文化にはそれほど興味を持っていなかった。むしろ、ウルンブウェ川の上流部の予備調査を行ないたかった。それにより、高地周縁部の文化の比較を計画していたが、結果としてはアスマット族の村を見るにとどまった。それはサゴヤシ文化の比較という点では成果があったと考えているが、それ以上に、伝聞だけではあるが、ウルンブウェ川上流部にはいまだに外界と接触を避けている民族がいることが分かった。こうした未接触民はパプアニュ-ギニアではすでに在せず、なお手づかずの「未開」社会を観察できる可能性があること知った。イリアン・ジャヤにおける文化人類学的調査の重要性をあらためて認識した。ただし、政治的な状況は、調査を円滑に行うにはなお困難な状況にあり、関係当局と情報の交換を測りつつ、次の機会を捜したいと考えている。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (20件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (20件)

  • [文献書誌] Yoshida,Shuji: "Folk Classification of Cultivated Plants among the Iwam,East Sepik." Senri Ethnological Studies. (1991)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshida,Shuji: "Concept of Time and Numeral Classifiers among the Iwam,East Sepik." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] 吉本 忍: "インドネシアにおける手織機の類型論的研究ー(2)型式展開ー" 国立民族博物館研究報告. (1991)

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  • [文献書誌] Saito,Hisahumi: "We are One Flesh:Ethnic Group,Village,and Fanily of the Society without the Word for Family." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Kumagai,Keichi: "Migration and Shifting Settlement Patterns among the Kapriman People of the East Sepik Province,Papua New Guinea." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Toyoda,Yukio: "To Which Bird Do You Belong?:‘Totemic'Belief in Mari,Papua New Guinea." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] 川崎 一平: "男を食う女たちーパプアニュ-ギニア、バヒネモの神話分析" 歴史と講造ー文化人類学的研究ー. 18. 1-15 (1991)

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  • [文献書誌] 川崎 一平: "知識・儀礼・精霊小屋ーバヒネモ族の知識の構造ー" 南山大学人類学研究所叢書. (1991)

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  • [文献書誌] Kawasaki,Ippei: "A Dialogue of the Bahinemo Mythology" Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] 吉田 集而: "密通の民族誌ーニュ-ギニア・イワム族の男と女" 平凡社, (1991)

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  • [文献書誌] Yoshida, Shuji: "Folk Classification of Cultivated Plants the Iwam, East Sepik." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Yoshida, Shuji: "Concept of time and Numeral Classifiers among the Iwam, East Sepik." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Yoshimoto, Shinobu: "Typological Studies of Indonesian Handlooms : (2) Development Types" Bulletin of National Museum of Ethnology. (1991)

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  • [文献書誌] Saito, Hisahumi: "We are One Flesh : Ethnic Group, Village, and Family of the Society Without the Word for Family." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Kumagai, Keichi: "Migration and Shifting Settlement Patterns among the Kapriman People of the East Sepik Province, Papua New Guinea." Senri Ethnological Studies. (1991)

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  • [文献書誌] Toyoda, Yukio: "To Which Bird Do You Belong? : 'Totemic' Belief i the Mari, Papua New Guinea." Senri Ethnological Studies. (1991)

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      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawasaki, Ippei: "Women Who Eating Men : An Analysis of the Bahinemo Mythology." Rekishi to Kozo (History and Structure). 18. 1-15 (1991)

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      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawasaki Ippei: "Knowledge, Ritual, and Spiritual House ; Structure of Knowledge among the Bahinemo Speaking People." Nanzan Studies in Cultural Anthropology. (1991)

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      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Kawasaki Ippei: "A Dialogue of the Bahinemo Mythology." Senri Ethnological Studies. (1991)

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      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshida, Shuji: Heibonーsha. Ethnography of Adultery : Ethnography of Man and Woman of the Iwam, Papua New Guinea, (1991)

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公開日: 1990-04-01   更新日: 2016-04-21  

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