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中国江南・華南地方での古代稲作農耕文化の農学及び考古学的調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 02041107
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
研究機関佐賀大学

研究代表者

和佐野 喜久生  佐賀大学, 農学部, 教授 (40039342)

研究分担者 陳 文華  江西省社会科学院, 副院長
劉 軍  淅江省文物考古研究所, 副所長
游 修齢  淅江省農業大学, 教授
安 志敏  中国社会科学院, 考古研究所, 研究員
旺 済英  淅江省博物館, 副館長
張 谷曼  福建省農学院, 園芸系, 教授
〓 江石  江蘇省農業科学院, 教授
佐藤 洋一郎  国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助手 (20145113)
藤原 宏志  宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
宮嵜 貞巳  佐賀大学, 農学部, 教授 (40039326)
菅谷 文則  橿原考古学研究所, 調査課, 課長
樋口 隆康  橿原考古学研究所, 所長
SU Koseki  Koso Provincal Science Academy of Agriculture
研究期間 (年度) 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
キーワード稲作農耕文化 / 中国古代農耕遺跡 / 弥生稲作農耕遺跡 / 有明農耕文化圏 / 稲の渡来説 / China
研究概要

本学術調査は農学、考古学および民族学の異なる専門分野から、古代中国の稲作および稲作農耕文化の起源・伝搬ついて中国での現地調査と考古文献・資料によって総合的な研究・解析を行い、それが日本の稲作農耕文化および国家の誕生、形成さらにはその発展にどのように貢献し影響したかを日中の専門家の協力によって明らかにするために行ったものである。
すでに従来からの研究によって中国の古代稲作の発祥の地が長江流域にあることは明らかであるが、まだその場所を特定するには至っていない。また、日本への稲作および稲作農耕文化の渡来については、長江下流域からの直接的渡来説および淮河・黄河下流行からの朝鮮半島経由渡来説が重要視されて来たが、いずれがより可能性が高いかについてはまだ検証されるに至っていない。本学術調査員の幾人かはすでに1989年から長江下流域に分布する古代農耕遺跡についての農学および考古学的調査を行っている。研究代表者の和佐野は、日本の古代稲作の発祥の地として従来から言われていた玄海灘に面した菜畑(唐津市)および板付(福岡市)の両遺跡のみではなく、吉野ケ里遺跡(佐賀県)を中心とした古代有明海稲作農耕文化園が存在していたことを炭化米の形状比較調査から明らかにしてきた。さらには、1990年の現地調査によって8箇所の中国の新石器時代の炭化米・籾の正確な接写写真撮影をとることができたことから、多くの新しい知見を得ることができた。すでに、調査結果のデ-タと写真はすべての関係者に送付し、現在は共同して報告書の作成中である。また、プラントオパ-ルに関する研究は、藤原・佐藤によってすでに1989年から中国の研究者との間で共同調査研究を行ってきたが、1990年の現地調査からは大きな研究成果をあげ、現在はデ-タの解析中である。
長江の最上流域の雲南省に新石器時代晩期、紀元前千年前後の8箇所の稲作農耕遺跡があり、炭化した籾・米および稲の籾殻・穂の圧痕などが石斧・石包丁・土器類と一緒に発掘されている。また、雲南省の南部地方には野生稲の自生地があり、その周辺には多種多様な在来の稲品種の栽培がみられ、いろいろな少数民族が古くから伝承されてきた農法と農機具によって多種多様な環境の農耕地に原始的な農業を営んでいると報告されている。さらに、雲南省地方からその隣接の貴州省にわたる雲貴高原にも多種多様な在来の稲品種と古い農法が残されていると言われている。さらに、長江の中流域の湖北・湖南省には紀元前2千年から5千年にわたる30数箇所の新石器時代の農耕遺跡が分布し、炭化した稲の籾・米・籾殻、籾殻圧痕、稲稈およびいろいろな農耕具や農具、調理用土器が発掘されている。また湖南省は野生稲の分布北限地帯としても大きな注目を集めているところである。長江流域に始まった稲作は、人々の交易による交流や時には戦いの後の民族の移動に伴ってその分布範囲を拡大し、その一部は中国大陸の東部沿岸域を北上し淮河・黄河の下流域に達したと考えられる。これらの華北地域の稲作農耕遺跡には紀元前2千年から5千年の新石器時代の稲籾およびその土器片圧痕が発掘されている。最近の山東および遼東半島の新石器時代の遺跡から発掘された炭化籾・米の調査から、すでに紀元前2千年にはかなりの低温と高緯度の長い日長下でも開花できる感温性の稲品種が分化していたことが分かった。華北の東部沿岸域は朝鮮半島の付け根にあたり、稲の日本への北方渡来説を考える上での重要な情報を提供することになる。これらの黄・淮河の下流域に分布する9箇所の古代農耕遺跡を中心にして、朝鮮半島の数箇所を含めた高緯度地帯の主要稲作農耕遺跡についても、今後に3研究分野からの総合的な調査を行うことは大きな意義があると考えられる。以上のように、1990年の日中共同の総合的学術調査は部分的に大きな成果を得ているが、現地調査が中国全土に及んでいないこと、及び考古学領域での日中共同の学術調査研究には十分な相互理解が必要であることから、本研究課題の解明にはさらに数年の継続現地海外調査が必要であろう。研究成果の一部の報告は、1991年中には関係学会誌に行う予定である。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要

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公開日: 1993-08-12   更新日: 2016-04-21  

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