研究課題/領域番号 |
02042003
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | がん調査 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大野 竜三 名古屋大学, 医学部, 助教授 (70093002)
大野 龍三 (1991) 名古屋大学, 医学部, 助教授
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研究分担者 |
RIEHM Hansjo ハノーバー大学, 医学部, 教授
BUCHNER Thom ミュンスター大学, 医学部, 教授
朝長 万左男 長崎大学, 医学部, 教授 (40100854)
藤本 孟男 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10037442)
RIEM Hansjog ハノーバー大学, 医学部, 教授
BUCHUER Thom ミュンスター大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ドイツ連邦共和国 / 白血病 / 共同研究 / ミュンスタ-大学 / ハノ-バ-大学 / 化学療法 / 治療戦略 |
研究概要 |
現在、白血病の化学療法は世界でドイツ連邦共和国が最も進歩しており、全国的共同研究グル-プを組織し、超強力化学療法を中心とするその治療戦略には目を見張るものがある。 本研究では、ドイツおよび日本の成人・小児白血病治療共同研究グル-プが、両国共同研究による白血病の治癒的治療戦略の開発を目指し、同一プロトコ-ルでの国際的共同治療が可能が否か、ならびに、両国の白血病の特性を比較検討することにより、ヨ-ロッパで開発される治療薬や治療法が我が国にも適応しうるか否かを調査研究した。まず、ミュンスタ-大・ハノ-バ-医大・ベルリン大・フランクフルト大を訪問してセミナ-を開催し、成人・小児白血病治療の治癒的治療戦略の開発につき討論し、白血病治療共同研究グル-プの運営形態、活動状況ならびにその治療戦略の立案方法等を視察しつつ、治癒的治療戦略の開発につき討論し、同一プロトコ-ルによる国際的共同治療の可能性を検討した。 ドイツの白血病治療共同研究形態は日本のそれとやや類似した所があり、大学の研究者個人に統計解析を含めたかなりの負担が負わされており、研究遂行課程の意見交換は大いに参考になった。しかし、両国共通プロトコ-ルによる治療の可能性については、プロトコ-ル案の作成に毎回かの会議が必要であろうこと、および、ドイツ癌学会のプロトコ-ル委員会の承認を得なければならないことが判り、二年間の短期間での実現は困難であることが判明した。そこで、成人では日本方式の、小児ではドイツ方式による治療法を各々の国で、パイロットスタディとして実施することとした。 一方、日本と同じような経済的・医学的バックグランド持つドイツで、急にこの様な優れた『がん』臨床研究がなされるようになった経緯と、治癒的治療戦略がどの様に立案され、どのように実行されているかを調査した。 ドイツでは、Bundesministrium fur Forschung und Technologie等3省が共同したKrebsbekampfungが1979年に開始された。治療面では、その成績を国際レベルに向上させるには何がなされるべきかがまず考察された。最重要視されたのが、臨床研究を正しくをデザインし、統計学的に十分な解析をするためのbiostatiticsであり全国5大学に統計センタ-が設置された。治療研究は米国のように共同研究グル-プに助成金を出す方式とは異なり、がん種別のプロジェクト研究方式を採用した。そして、統計学者はプロトコ-ル立案時から参画した。 がん種別のプロジェクト研究をサポ-トする方式は、厚生省がん研究助成金とやや似た所がある。通常4〜7年が一期であるが、2期以上続けているのが多い。助成は統計センタ-との契約金、会議のための費用と交通費、診断センタ-の費用、秘書等であり、参加施設には原則的に配分はない。成人急性骨髄性白血病治療研究グル-プの予算は年間3600万円、成人急性リンパ性白血病グル-プは年間4600万円、慢性骨髄性白血病は年間2200万円であり、厚生省がん研究助成金グル-プの4〜7倍の規模である。参加施設はドイツ全国の約60施設で、3年間で400〜500名程度を集積するこの分野では世界最大の治療研究グル-プを形成している。 日本政府の「がん制圧10ヵ年総合戦略」が開始されたのは、1984年であるが、がん遺伝子等の基礎研究分野が重視された。ドイツではバイオ分野以上に治療研究分野に研究費が注ぎ込まれており、今回の調査で、なぜ、ドイツのがん臨床研究が、ここ数年の内に、世界のトップレベルになったのかを十分理解することが出来た。 ドイツの約1.5倍の人口を持つ日本では、症例数は十分ある訳であり、システムさえ整えられれば、世界のどこにも負けない臨床研究ができることは間違いなかろう。日本も最適な治療手段の開発研究にも、人件費を含む十分な研究費を配分することが必要がある。 さらに、日独血液学者間の白血病診断一致率をFAB分類をもとにして、200症例において検討したが、各亜分類の一致率は85%と極めて高く、診断法に関しては両国間に差はないことが判明した。ただし、日本においては急性前骨髄球性白血病が、ドイツでは急性単球性白血病の比率が高いことが判明した。
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