研究課題/領域番号 |
02044009
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
後藤 健 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (30186887)
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研究分担者 |
桑山 秀人 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (40125399)
CARRE Isabel ニューヨーク州立大学, 解剖学部, ポスドク
LAVAL Martin アンジェ大学, 植物分子生物学部, 教授
JOHNSON Carl バンダービルト大学, 生物学部, 助教授
LAVAL-MARTIN Danielle L. Univ Anger, Prof
CARRE/ISABEL イザベル ニューヨーク州立大学, 解剖学部, ポスドク
LAVALーMARTIN ダニエル アンジェ大学, 植物分子生物学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | Chlamydomonas reinhardtii / Euglena gracilis / 概日リズム / NAD^+キナ-ゼ / Ca^<2+> / カルモジュリン / 細胞分裂周期 / 光走性 / ビタミンC / Chiamydomonas rheinhardtti / Circadian rhythm / NAD^+ kinase / calmodulin / Cell cycle / Phototaxis / Phaseーshift |
研究概要 |
1.NAD^+キナ-ゼの概日リズム:NAD^+キナ-ゼ活性の測定に必要とされるNADP(H)の定量法を著しく改善した。次に、緑色鞭毛藻ユ-グレナ野生株のNAD^+キナ-ゼ活性が概日リズムを示すこと、またこれが概日的細胞分裂周期リズムには依存しないことを明らかにした。更に、本NAD^+キナ-ゼは、Ca^<2+>/カルモジュリン依存性をもたないこと、酵素速度論的に二種類のアイソザイムからなることも明らかとなった。Ca^<2+>/カルモジュリンに対するこの非依存性は様々なin vitro条件で確かめたが、細胞内でもそうであるかについては今後の課題である。また、ユ-グレナの葉緑体欠損変異株でも、Ca^<2+>/カルモジュリンの依存性を認めることはできなかった。その代わり、この変異株からは、NAD^+キナ-ゼに阻害的な未知の因子が抽出された。一方、緑藻クラミドモナスに於てもNAD^+キナ-ゼ活性の概日リズムを検出することに成功したが、その先の研究は課題(3)の遂行以後に行なうのが懸命との判断から、中断した。 2.Ca^<2+>/カルモジュリンの役割:ユ-グレナの概日的細胞分裂周期リズムに対する、Ca^<2+>/カルモジュリン阻害剤W7とそのアナログW5の効果を比較することにより、この概日リズムを制御する計時機構にCa^<2+>/1ルモジュリンが関与していることが強く示唆された。一方、緑藻クラミドモナスに於ける概日的光走性リズムに対するW7の効果も、クラミドモナスの計時機構にCa^<2+>/カルモジュリンが関与するという仮説を支持した。 3.細胞分裂周期と概日リズム:近年、細胞分裂周期に関する分子的理解は急速に進展している。また、ユ-グレナで最も顕著なように、細胞分裂周期はしばしば概日リズムの性質を示す。そこで、両者の制御関係を詳しく調べることによって、概日リズムの背後にある時計機構(自律振動機構)の分子的実体を解明する道が開ける、との展望のもとに研究を行なった。まず、ユ-グレナに於ては、光強度の増大するにつれ、細胞分裂周期それ自身の速度は増加するが、概日的細胞分裂周期リズムの速度は逆に減少すること、したがって、細胞分裂周期はこの概日リズムの精製要因とはなりえないことが明らかとなった。むしろ、概日リズムが細胞分裂周期のタイミングを制御しているとの結論を得た。また、antiーPSTAIRを用いてp34ーcdcキナ-ゼの活性変動を追い、Gl/S転換期に最大となるような概日リズムを示すとの示唆的証拠を得た。これにより、細胞分裂周期と概日リズムの関係を分子的に理解する道の第一歩が築かれたと言ってよい。一方、クラミドモナスでは今まで細胞分裂周期と概日リズムとは基本的に無関係だとする見解が強かったが、本研究では、生理的な様々な条件下で概日的細胞分裂周期リズムを検出することに成功した。しかも、培養温度を系統的に変化させることによって、細胞分裂周期の速度を変化させ、このときの概日的細胞分裂周期リズムの速度を調べたところ、両速度は全く無関係であることが判明した。このことより、細胞分裂周期は概日リズムの制御を受けていることが、クラミドモナスでも明らかとなった。更に、概日的光走性リズムの様々な周期変異株を用いて、その概日的細胞分裂周期リズムの周期を測定し、両概日リズムが同一の計時機構によって制御されていることも判明した。 4.ビタミンCの概日リズム:ユ-グレナでは酸素障害の防御にビタミンCが深く関係していることが明らかとなっている。また、近年細胞分裂周期との関係でも注目されている。本研究では、ユ-グレナのビタミンC濃度が概日リズムを示すことを明らかにした。更に、この概日的ビタミンC濃度リズムが、概日的光合成リズムによっても、また概日的細胞分裂周期リズムによっても生成されないことを明らかにした。これにより、概日リズムの適応価値似たいする理解が進んだとともに、このリズムの生成要因を探ることによって概日時計の分子機構の理解の道も広げることになろう。
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