研究課題/領域番号 |
02044010
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康夫 東北大学, 理学部, 教授 (00013483)
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研究分担者 |
武田 全康 東北大学, 理学部, 助手 (70222099)
ANDREAS Mage ラウエ, ランジバン研究所, 研究員
池田 宏信 高エネルギー研究所, 教授 (90013523)
吉沢 英樹 東京大学, 物性研究所, 助教授 (00174912)
加倉井 和久 東北大学, 理学部, 助手 (00204339)
山田 和芳 東北大学, 理学部, 助手 (70133923)
西 正和 東京大学, 物性研究所, 助手 (90156034)
山田 安定 東京大学, 物性研究所, 教授 (00028101)
MAGERL Andreas Institute Laue Langevin, Physicist
MAGERL Andre ラウェ, ランジバン研, 研究員
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 偏極モノクロメ-タ- / ボイスラ-単結晶 / JRRらM原子炉 / 反射率 / 偏極度 / 零研場ポラリトメトリ- / 偏極中性子 / 国際化 / ホイスラ-単結晶 / 偏極中性子モノクロメ-タ- / 偏極アナライザ- / 中性子分光装置 / 新しい偏極解析法 / 日本原子力研究所 / 高エネルギ-物性子研究所 / 協力研究 / 偏極中性子散乱 / 偏極子 / ホイスラ-結晶 / 反射効率 |
研究概要 |
日本原子力研究所JRR3M原子炉が運転を開始した日本の中性子散乱研究として新しい時代に導入した。何故ならJRR3M原子炉はビ-ム実験を主目的とした中性子研究炉で,実験に使用できる中性子強度は従来のJRR2に於ける装置と比較すると約10倍以上となり、世界の一流の中性子源の仲間入りをしたからである。しかし乍ら中性子の有効利用を考える時、どうしても良質の偏極中性子をとり出さなければならない。その一方法としてホイスラ-単結晶を用いた偏極モノクロメ-タ-の使用が存在しているが,現在のところラウエランヂバン研究所が最も意欲的にその開発研究に取組んでいる。そこで我々は同研究所に共同研究を申し込み、偏極モノクロメ-タ-の開発研究への参加を計画した。今回国際学術研究の援助によって実現の運びとなった。 平成2,3年の両年に亘って東大物性研究所西助手がラウエランヂバン研究所に滞在し、フランス側の共同研究者である同研究所モノクロメ-タ-部長であるマ-ゲル博士の研究室でホイスラ-単結晶育成から偏極モノクロメ-タ-の作成迄の全ての工程に携った。ホイスラ-偏極モノクロメ-タ-の最大の利点は高い反射率が得られる為結果的に強い中性子が使えるが、質の良い偏極ビ-ムを得る為には徴妙な成分比を制御することによって、反射中性子の偏極度をあげる必要があり、この調整が困難である為に開発研究が必要とされている。中性子モノクロメ-タ-として理想的な均質で大きな単結晶育成がその第一の条件であり、この技術は既に達成されている。しかし乍ら偏極子として反射中性子の偏極度を上げる為にホイスラ-構造(長周期規則格子)を実現させなければならないが、この構造は〓転移〓630℃より高い温度でしか秩序化しない為に熱処理条件を制御する必要がある。その上で更に反射強度を上げる度にモザイク制御や反射面を曲面化して反射中極子を焦る工夫や更にモノクロメ-タ-の厚さの最適化等多くのパラメ-タ-の最適条件を出来るだけ満足させなければならない。西助手は一年間の滞在によってほゞ現在では世界最高と思われる性能の良いホイスラ-偏極モノクロメ-タ-の作製に成巧すると共に、開発技術を修得した。既に2組のホイスラ-偏極モノクロメ-タ-,アナライザ-はJRR3Mに設置された東北大と東大物性研が運転する2台の中性子合光等に取り付ける準備が進んでいる。更に将来我が国で偏極モノクロメ-タ-の開発を進める計画には西助手が指導的役割を担って〓れるものと期待している。 昨年ラウエランヂバン研究所のHFR(高〓中性子炉)が停止しこの停止が約3年続くことが〓〓された。この長期間の原子炉停止に供って日本側の研究者の渡仏を取り止めて、フランス側の共同研究者が日本に訪問することゝなった。マ-ゲル博士は東北大に2ケ月間滞在し、その間JRR3H原子炉に設置された東北大中性子分光装置を使い、偏極モノクロメ-タ-の性能試験を始め、数々の中性子散乱実験を行った。その間、日本の中性子散乱施設の訪問や研究者との討論をし、将来の協力研究の可能性を持ってその訪問を終えた。その後、タセ博士が短期間東北大学に滞在した。タセ博士は零研場ポラリトメトリ-と自ら命名した新しい偏極中性子実験法の創始者で,この方法によって従来とは異なる偏極中性子実験により新しい磁気構造解析〓出来る道が開かれる。原始的な段階は終了しており今後より実用化に向けて開発研究が必要な段階にあり、共同研究を考えている。ラウエランヂバン研究所のHFRが利用出来ないのでJRR3Mの利用を考えているが,その為の準備として今回日本を訪問し,将来の研究計画を飾ることと同時に日本の中性子散乱研究施設を視察した。 日友の中性子散乱研究は初めにも書いたように、今や世界一流の施設を利用出来る機会に恵まれたが、残念乍い利用態勢が未成熟であり,かつ欧米と比較にならない閉鎖性によって国際化が遅れている。これを機会に日本の中性子散乱施設をより国際化したいと考えているが,この国際学術研究によってその芽が出ることになったのは代表者としてこの上もない喜びと同時に補助金が有効に使用出来たことに感謝している。
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