研究分担者 |
BENJAMIN ROD Spain国立研究所, 有機化学研究所(スペイン), 教授
JACEK GAWRON Adam Mickiewicz大学, 化学教室(ポーランド), 教授
DAVID St C. New South Wales大学, 化学教室(オーストラリア), 教授
是枝 正人 Michigan大学, 化学教室(アメリカ), 教授
NIZAM U.D. K Aligarh Muslim大学, 化学教室(インド), 講師
NIKOLINA D. Bulgria科学アカデミー, 有機化学研究所(ブルガリア), 研究員
DAVID A. LIG Nevada大学, 化学教室(アメリカ), 教授
BEN L. FERIN Groningen大学, 化学教室(オランダ), 教授
中西 香爾 Columbia大学, 化学教室(アメリカ), 教授
RODRIGUEZ Benjamin CSIC,Institute of Organic Chemistry (Spain)
GAWRONSKI Jacek Adam Mickiewicz University Department of Chemistry (Poland)
KHAN Nizam U.D. Aligarh Muslim University Department of Chemistry (India)
LIGHTNER David A. University of Nevada, Reno Department of Chemistry (USA)
BEROVA Nikolina D. Bulgaria Academy of Science Institute of Organic Chemistry (Bulgaria)
FERINGA Ben L. Groningen University Department of Chemistry (Netherlands)
GAWRONSKI Ja Adam Mickiewicz大学, 化学教室(ポーランド), 教授
BLACK David New South Wales大学, 化学教室, 教授
KASHMAN Yoel Tel Aviv大学, 化学教室(イスラエル), 教授
DUTTA Pradee インド化学生物学研究所(インド), 研究員
SNATZKE Gunt Ruhr大学, 化学教室(ドイツ), 教授
BEROVA Nikol Bulgaria科学アカデミー, 有機化学研究所(ブルガリア), 研究員
SANDSTROM Ja Lund大学, 化学センター(スウェーデン), 教授
FERINGA Ben Groningen大学, 化学教室(オランダ), 教授
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研究概要 |
有機化合物の絶対構造を非経験的に決定する方法として,X線法とならんで円二色法(CD)スペクトル法が有用でる。我々は,「CD励起子カイラリティー法」の拡張として「ねじれたπ電子共役系」の絶対構造決定にπ電子SCF-CD-DV分子軌道法によるCDスペクトルの理論計算が有用であることを見いだし,生物活性天然物および理論的に興味ある光学活性合成有機化合物に適用して,絶対構造を決定した。 1. Columbia大学の中西香爾教授らと共同して,CDスペトル法によるオリゴ糖類の微量構造決定法開発のための基礎研究として,p-methoxycinnamate発色団の電子状態の性質を明らかにした。 2. ネオクレロダン系天然物は昆虫摂食阻害物質として興味ある化合物群である。我々はスペイン国立有機化学研究所のBenjamin Rodriguez教授らと共同で,12-furan-12hydroxyl誘導体の絶対配置をCD法とX線結晶構造解析法によって決定した。 3. 光学活性パイ電子系化合物は将来の分子素子としての応用が期待される。我々はGroningen大学のBen L. Feringa教授らと共同で分子不斉オレフィンの合成,光学分割,CDスペクトル法による絶対立体化学の決定および熱と光によるラセミ化の機構を明らかにした。 4. 我々はさらにLund大学のJan Sandstrom教授らと共同で光学活性架橋ビフェニル系化合物の円二色性スペクトルの理論計算による絶対立体化学の決定を行った。 5. ビスシアニン色素の可視およびCDスペクトルの異常に大きな励起子相互作用。励起子相互作用はCDでは容易に観測されるものの,UVではほとんど観測されていなかったが,我々はColumbia大学の中西香爾教授らとの共同研究でビスシアニン色素のUVで70nmもの異常に大きな励起子分裂を初めて見いだし,励起子理論を実験的に確立した。また理論計算により,その機構を明らかにした。 6. CD励起子法による鎖状ポリオール系の絶対構造決定法の開発。我々はポーランドAdamMickiewicz大学のJacek Gawronski教授らと共同で,光学活性鎖状1,3-グリコール系へCD励起子法を適用し,絶対配置を決定できることを明らかにした。また,鎖状1,2-グリコールおよび1,2,3-トリオール類にも適用できることを明らかにした。さらに立体配座解析からその機構を明らかにした。 7. 光学活性[6,6]-vespireneは9,9-spirobifluorene発色団が側鎖によってねじれることにより光学活性となる特異な化合物である。その絶対配置はCDの励起子機構により決定されていたが,確実ではなかった。我々はより理想的なアントラセンやナフタレン発色団をもつ光学活性9,9′-Spirobifluorene誘導体を合成して,そのCDより絶対立体化学を確立した。 8. 天然物のアトロープ異性。我々はインドAligarh Muslim大学のNizam U. D. Khan博士らと共同で,CDスペクトルの理論計算により,長年の間未決定であった天然の回転異性体であるビフラボンの絶対立体化学を初めて決定した。また,この場合,定性的な励起子法は適用できないことなど,円二色性の機構を明らかにした。 9. 我々は,カルボン酸類の光学分割のプローブとしてカンファーサルタムアミドを用いたHPLC分離が有用であることを見出した。このアミド体は,結晶性が良くX線結晶構造解析に適している。また,イオウ原子の異常分散効果,およびカンファー部分を内部標準として絶対配置を決定できる。 10. 上の方法の応用として,我々は軸不斉スピロ化合物の光学分割と絶対配置の決定に成功した。また長年,正しいと信じられてきた面不斉[8]および[10]シクロファン系化合物の絶対配置が間違っていることを見出し,これらの絶対立体化学を確立した。
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