高エネルギ-ガンマ線用高分解能望遠鏡の開発とガンマ線天体の南天での観測

• 研究課題/領域番号: 02044034
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 木舟 正 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40011621)
• 研究分担者: 戎崎 俊一 東京大学, 教養学部, 助手 (10183021) ; PATTERSON J. アデレード大学, 講師 ; 尾田 汎史 神戸大学, 理学部, 助手 (00030768) ; 小早川 恵三 神戸大学, 理学部, 教授 (00031287) ; 須田 英博 神戸大学, 理学部, 教授 (30011555) ; 水本 好彦 神戸大学, 理学部, 助教授 (20219653) ; 藤本 真克 天文台, 助教授 (90107475) ; 原 忠生 国立弓削工業高専, 教授 (60013413) ; CLAY R.W. アデレード大学, 講師 ; 松原 豊 東京工業大学, 理学部, 助手 (80202323) ; 谷森 達 東京工業大学, 理学部, 助教授 (10179856) ; 垣本 史雄 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00092544) ; 藤井 浩文 (藤井 啓文) 高エネルギー研究所, 助教授 (60013439) ; 河辺 征次 高エネルギー研究所, 助教授 (10044786) ; 渡瀬 芳行 高エネルギー研究所, 教授 (70018662) ; 政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587) ; 村木 綏 名古屋大学, 太陽地球研究所, 教授 (70013430) ; 林田 直明 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (50114616) ; 手嶋 政広 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40197778) ; CLAY R.W アデレード大学, 講師 ; GREGORY A.G. アデレード大学, 講師
• 研究期間 (年度): 1990 – 1991
• 研究課題ステータス: 完了 (1991年度)
• 配分額: 13,500千円 (直接経費: 13,500千円); 1991年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円); 1990年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
• キーワード: 高エネルギ-ガンマ線天文学 / 高エネルギ-天体物理学 / 解像型チェレンコフ望遠鏡 / チェレンコフ光 / 空気シャワ- / 宇宙線の加速 / 宇宙線の起源 / 宇宙の高エネルギ-現象 / 高エネルギ-ガンマ線星 / 天体の高エネルギ-現象 / 中性子星 / X線星 / パルサ-

研究概要

平成2年度は3.8m口径の望遠鏡をオ-ストラリアに移転設置すると共に、望遠鏡を設置するための現地での準備作業、望遠鏡に接続される光電子増倍管カメラ、電子回路の開発製作を行った。電子回路などを格納する計測室、望遠鏡を保護する移動式の格納庫は国際共同研究の相手側であるアデレ-ド大学によって建設され、2年度末にほぼ受入準備が整った。平成3年1月末に望遠鏡はオ-ストラリアに到着し2月に組み上げられた。
平成3年度はまず、組み上げ後の鏡面精度、星の追尾による望遠鏡の姿勢の測定などを7月、8月に行いさらに現地での夜光測定を行った。11月からは、望遠鏡に接続される電子回路、電子計算機などの輸送、接続を行い、平成4年1月にこれらの全システムが完成し、帆座のパルサ-、活動的銀河センタウルスΛなど高エネルギ-ガンマ線を放出している可能性の高い天体の試験的な観測を開始した。得られたデ-タは現地および日本において早速解析が進行中である。
現在までに明らかになった成果と今後行われるべき問題点は次のようにまとめられる。
1.解像型チェレンコフ望遠鏡が予定どおり建設されて世界で2台目、南半球で最初の稼働を開始した。カメラの光電子増倍管1本あたりの視野は最も解像度に優れた0.15°×0.15°の大きさである。シムレ-ション計算で予想されていた形状に一致した宇宙線のチェレンコフ像が観測デ-タとして得られている。
2.チェレンコフ光の到着時間情報をもつ解像型望遠鏡は本研究のものが最初である。夜光の到着時間は一様な分布をもつ筈であるが、これを実験的に確かめ夜光雑音を排除する見通しを得た。
3.直径2.5°のカメラの視野は当初の計画より縮小されているが、ガンマ線がつくる楕円形のチェレンコフ像〜0.5°×1.5°より大きく、像全体を捉える観測を実施するための要求を満たしている。望遠鏡によるチェレンコフ像が期待どおり得られていることによりこれが実証された。しかし、ガンマ線の検出有効面積の拡大、宇宙線による雑音の識別能力の改善などのために今後視野の拡大の実現に努める必要がある
4.夜光雑音の強度は自然条件で決る標準的な値として知られている、1m^2および1ステラヂアンの立体角あたり、10^<ー8>秒の間に大体800個の光電子数程度であり、予想どおり観測地(オ-ストラリア、ウ-メラ)が十分暗い事が判明した。
5.デ-タを取得するための最適の実験条件を選択し、宇宙線やガンマ線のエネルギ-の検出しきい値を決定することは今後の問題点としての鼓されている。現在観測中のデ-タの解析結果を吟味しつつ、必要に応じデ-タ較正のための適切なテスト観測を行って行く必要がある。
6.アデレ-ド大学の望遠鏡との同時観測は3月の観測から開始された。複数の解像型望遠鏡による同時観測が観測の精度をさらに飛躍的に改善することをシムレ-ション計算は指摘している。新設の望遠鏡を加え現有の望遠鏡とアデレ-ド大学の望遠鏡を合わせて3台の望遠鏡による観測を行う計画を持っている。来年度以後、2台の同時観測のデ-タを解析しつつこの計画の実現を図りたい。平成4年1月末に米国スミソニアン研究所においても最近2台目の望遠鏡が新しく完成しその際開催された会議に参加した。デ-タの解析手法などについて外国での状況と密接に連絡を維持しつつ、我々のデ-タの解析、今後の望遠鏡の改良開発を行って行く必要がある。

研究成果

• [文献書誌] T.Hara: "Plan of Observing Southern VHE γ-Ray Sources with the Imaging Cerenkov Telescope" Astrophysical Aspects of the Most Energetic Cosmic Rays World Scientific. 463-464 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Kifune: "Imaging Telescope and CANGAROO,What can be added to High Energy γ-Ray Astronomy?" Astrophysical Aspects of the Most Energetic Cosmic Rays World Scientific. 240-245 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Tanimori: "Recent Status of CANGAROO Project" ICRR-Report-256-91-25.25. 1-14 (1991)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] S.Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project 3.8m Telescope" 22nd International Conference,Dublin,Dublin Institute for Advanced Studies. 2. 607-610 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] S.Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project" 22nd International Conference,Dublin,Dublin Institute for Advanced Studies. 2. 611-614 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] J.R.Patterson and T.Kifune: "An International Astrophysical Observatory at Woomera:Project CANGAROO"" to appear in the Journal of the Physical Society of Australia and new Zealand.(1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T. Hara: "Plan of Observing Southern VHE gamma-Ray Sources with the Imaging Cerenkov Telescope" Astrophysical Aspects of the Most Energetic cosmic Rays (World Scientific). 463-464 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T. Kifune: "Imaging Telescope and CANGAROO, What can be added to High Energy gamma-Ray Astronomy ?" Astrophysical Aspects of the Most Energetic Cosmic Rays (World Scientific). 240-245 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T. Tanimori: "Recent Status of CANGAROO Project" ICRR-Report-256-91-25.25. 1-14 (1991)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] S. Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project 3.8 m Telescope" 22nd International Conference, Dublin, Dublin Institute for Advanced Studies,. 2. 607-610 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] S. Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project" 22nd International Conference, Dublin, Dublin Institute for Advanced Studies,. 2. 611-614 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Hara: "Plan of Observing Southern VHE γーRay Sources with the Imaging Cerenkov Telescope" Astrophysical Aspects of the Most Energetic Cosmic Rays World Scientific. 463-464 (1990)
• [文献書誌] T.Kifune: "Imaging Telescope and CANGAROO,What can be added to High Energy γーRay Astronomy?" Astrophysical Aspects of the Most Energetic Cosmic Rays World Scientific. 240-245 (1990)
• [文献書誌] T.Tanimori: "Recent Status of CANGAROO Project" ICRR-Report-256-91-25.25. 1-14 (1991)
• [文献書誌] S.Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project 3.8 m Telescope" 22nd International Conference,Dublin,Dublin Institute for Advanced Studies. 2. 607-610 (1992)
• [文献書誌] S.Ebisuzaki et al.: "The CANGAROO Project" 22nd International Conference,Dublin,Dublin Institute for Advanced Studies. 2. 611-614 (1992)
• [文献書誌] J.R.Patterson and T.Kifune: "An International Astrophysical Observatory at Woomera:Project CANGAROO"" the Journal of the Physical Society of Australia and New Zealand.(1992)
• [文献書誌] P.G.Edwards et al: "CANGAROO Project" Proceedings of Michigan Warkshop,Ann Arbor,USA. (1990)
• [文献書誌] T.Hara et al: "Observation Plan of TeV GammaーRays in the Southern Sky" Proceedings of Kofu Workshop on Astrophysical Aspect on Most Energetic Cosmic Rays.
• [文献書誌] T.Kifune: "Imaging Telescope and CANGAROO, What can be added to VHE Gamma Ray Astronomy" Proceedings of Kofu Workshop on Astrophysical Aspect on Most Energetic Cosmic Rays.
• [文献書誌] T.Tanimori: "CANGAROO PROJECT" Proceedings of 5th Workshop on Elementary Partiele View of the Universe.