研究分担者 |
J Davies バーミンガム大学, 教授
G Williams ラザフォード研究所, 主任研究員
J M Poutisse トライアムフ研究所, 教授
島村 勲 理化学研究所, 原子物理, 副主任研究員 (30013709)
上村 正康 九州大学, 理学部, 助教授 (10037210)
岩崎 雅彦 東京大学, 理学部, 助手 (60183745)
西山 樟生 東京大学, 理学部, 助教授 (50164611)
三宅 康博 東京大学, 理学部, 助手 (80209882)
坂元 眞一 東京大学, 理学部, 助手 (50215646)
石田 勝彦 理化学研究所, 金属物理, 研究員 (70176189)
松崎 禎市郎 理化学研究所, 金属物理, 研究員 (10134842)
WILLIAMS G. Division Head, ISIS, RAL
POUTISSEU J.M. Professor, TRIUMF
KAMINURA M. Associate Professor, Faculty of Science, Kyusyu University
IWASAKI M. Research Associate, Faculty of Science, University of Tokyo
SAKAMOTO S. Research Associate, Faculty of Science, University of Tokyo
MIYAKE Y. Research Associate, Faculty of Science, University of Tokyo
MATSUZAKI T Research Staff, Metal Physics Laboratory, Institute of Physical and Chemistry Re
ISHIDA K. Research Staff, Metal Physics Laboratory, Institute of Physical and Chemistry Re
DAVIES J. Professor, Physics Department, Birmingham University
MALTRUD H.P. ロスアラモス国立研究所, 研究員
POUTISSEU J. トライアムフ研究所, 教授
JONES S.E. ブリガムヤング大学, 教授
DAVIES J. バーミンガム大学, 教授
WILLIAMS G. ラザフォード研究所, 研究員
鳥養 映子 山梨大学, 工学部, 助教授 (20188832)
MALTRUD H.R. ロスアラモス国立研究所, 研究員
POUTISSOU J. トライアル研究所, 教授
松崎 禎一郎 理化学研究所, 金属物理, 研究員
霜越 文夫 東京大学, 理学部, 助手 (00013409)
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研究概要 |
1.μCFに関連するミュオン移行反応の研究 D-T系μCFの実験研究に不可避的に存在するHe不純物への負ミュオンのd,tからの移行反応の実験研究が行われた。実験は,平成2,3,4年度にわたり,「トライアムフ研究日加協力事業超伝導ミュオンチャネル」において行われた。前半では,液体重水素中に混入した濃度100ppmの^4Heへ(dμ)状態から移行する反応過程を,発生するX線を測定することによって追跡した。この研究において,移行反応が,(dμ)の基底状態から(dHeμ)分子を経由して起こることが初めて明らかにされた。この研究は,μCFに登場する移行反応において(dμ)原子の励起状態と基底状態とから移行する反応過程とを区別して測定した初めての実験として高い評価をうけた。 さらに後半では,同じくトライアムフ研究所において,^3Heと^4Heとを区別して移行反応を測定する実験を行った。その結果,(dHeμ)分子が放射遷移をするほかに,粒子放出遷移をする過程が重要であるとする結果が得られた。また,前半の実験において問題となってした(dHeμ)分子からの放射遷移X線の時間分布が2成分あるのではないかとする疑問に対して,高精度の実験の結果,2成分の存在を完全に否定する実験結果が得られた。 2.μCF現象からの低速負ミュオンの発生に関する研究 ミュオン分子(ddμ)や(dtμ)から核融合が起こる際に,10keV程度の負ミュオンが放出されるという独創的なアイディアに沿って,開発的な準即実験がトライアムフ研究所において3年間にわたって行われた。実験は2K程度の極低温の金薄膜上に1mm厚のH_2に1000ppmのD_2を混入したガスを固化する。そこに数MeVのミュオンビームを導入すると,2eV程度の(dμ)原子が表面から発生することが知られている。そのH_2(D_2)の固相膜の上に数μnのD_2の膜を作ると,その(dμ)が(ddμ)分子を作り,低速の負ミュオンが生まれるという実験が試みられた。この実験は低速負ミュオンの発生実験であると共に,μCFを薄膜中で起こさせるという新しい試みにもなっている。平成4年度の実験で,2μm〜10μmのD_2薄膜中で(ddμ)分子によるμCFが観測され,t+pの分岐に対応する3MeV陽子の観測に成功した。これは低速負ミュオン発生への確実な足がかりであると同時に,極少体積におけるμCF発生の成功ということができる。今後への大きな発展が期待される。 3.μCF理論研究 上記の実験研究に関連して,μCF理論の研究の発展があった。上村等のグループは,前半では複素座標回転法によって,後半では逆過程の散乱断面積の評価によって,(dHeμ)分子の安定性を評価した。その結果(dHeμ)から(Heμ)の粒子放出の確率が大きいことを理論的に示すことに成功した。この成果は,上記に示した実験結果と見事に一致し,理論-実験の協力による大きな成果として内外で高い評価を受けた。 島村等のグループは(dtμ)などの分子が共鳴的に生まれる過程で重要となる[(dtμ)-d]の擬分子について,精密なエネルギー計算を行い,(dtμ)分子が有限の大きさを持つことによる補正が重要であることを指摘した。 4.μCF国際協力将来計画 永嶺が中心となり,世界最強の陽子シンクロトロンを有する英国ラザフォード研究所における大強度パルス状ミュオンビームを用いたμCF研究の次期計画について英国側と協議を行った。この研究期間の間に,新しいミュオンチャネルの建設計画がスタートし,本格的なμCF研究が1994年度からスタート出来る確実な見通しを得るに至っている。
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