研究分担者 |
馬 瑾 中国国家地震局, 地質研究所, 教授
馬 宗晋 中国国家地震局, 地質研究所, 教授
蘭 迎春 中国国家地震局, 地震研究所, 助手
謝 正章 中国西安市国家地震局, 地震局長
呉 器麟 中国国家地震局, 地震研究所, 教授
蔡 惟〓 中国国家地震局, 地震研究所, 助教授
袁 一凡 中国国家地震局, 工程力学研究所, 助教授
竹内 章 富山大学, 教養部, 助教授 (20126494)
尾池 和夫 京都大学, 理学部, 教授 (40027248)
嶋本 利彦 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20112170)
山内 常生 名古屋大学, 理学部, 助手 (80022713)
柳沢 道夫 東京大学, 地震研究所, 講師 (90012947)
石井 紘 東京大学, 地震研究所, 教授 (30004386)
松波 孝治 京都大学, 防災研究所, 助手 (70027291)
瀬尾 和大 東京工業大学, 総合理工学部, 助教授 (30089825)
伯野 元彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (10016321)
YUAN Yifan Institute of Engineering Mechanics State Seismological Bureau, P. R. China Assoc
MA Zohnjing Institute of Geology, State Seismological Bureau P. R. China, Professor
CAI Weixin Institute of Seismology, State Seismological Bureau, P. R. China, Associate Prof
LAN Yingchun Institute of Seismology, State Seismological Bureau, P. R. China, Research Assoc
XIE Zhengzhang Seismological Bureau of Xian Director
WU Yilin Institute of Seismology, State Seismological Bureau, P. R. China, Professor
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研究概要 |
昭和60年10月には,北京において測地学審議会の代表団と中国国家地震局の代表団が協議をおこない,それに基づいて,同年11月の日中研究協力検討小委員会で日中地震予知共同研究の検討が重ねられた。その決定に従って,東京大学地震研究所が中心となって,昭和62年から平成1年度までの3年間日中共同研究が実施された。本国際学術研究は,上記の共同研究を引き継いで単年度でなされたものである。研究経費は全て本科学研究費補助金によって賄われ,共同研究は,以下に要約されているように,4つのテ-マについてなされた。 1.唐山地域におけるサイスミックマイクロゾ-ニングの研究 中国唐山地域は1976年の唐山地震で甚大な被害をうけており,その際の震害分布をサイスミック・ゾ-ネ-ションの立場から明らかにしておくことは今後の震災予防にとって重要であろうと考えられている。このような観点から日中共同研究の一環として昨年度までの3年間には,人工地震を用いた地下深部探査が唐山市の北西に位置する玉田地域で行われ,大局的な地下深部構造に関する基礎資料が蓄えられてきた。本研究では,同一地域で微動測定を実施することによって,地盤震動特性の局地的な変化を把握しようと試みた。もしこのような簡便な手法が適用可能であれば,対象地域の局地的(ミクロ)な地盤特性が評価でき,前年度までの大局的(マクロ)な地盤特性の評価と併せて当地のサイスミック・ゾ-ニングの具体化に貢献できるものと考えられる。なお本研究は今年度で終了するが,この成果は京都大学防災研究所と中国国家地震局工程力学研究所が中心となって次年度から同一地域で開始される「強震動予測に関する研究(仮題)」に引き継がれるものと期待している。 2.中国と日本の水管傾斜計による比較・観測研究 武漢にある国家地震局地震研究所は中国における地殻変動連続観測のデ-タ全体を取り扱っている。特に水管傾斜料に関しては中国で開発したFSQ型の水管傾斜計が使用されている。地震研究所では最近,震研90型の水管傾斜計を開発した。異なるタイプの計器により比較観測することにより,観測精度・信頼性が向上するとともに計測器の改良にも役に立つと考えられる。今回中国内陸部の「宜昌」観測所に震研90型の水管傾斜計を持ち込みセットし比較観測を開始した。現在まで良好なデ-タが得られており,デ-タの蓄積を待ち解析を進める予定である。 3.渭河盆地の地震活動と地殻構造の研究 西安市地震局との共同事業として,渭河盆地の周辺に地震観測機器を設置し,高倍率の観測を継続中である。3年以上の連続観測の結果,渭河盆地周辺の地震活動は現在きわめて低いこと,銅川観測点の周辺では微小地震活動がやや活発であること,などが判明した。この共同観測は今後も続ける予定である。地下構造を推定し,とくに日本の地下構造との比較をおこなうため,長周期微動の観測を上海地域と西安地域で試験的におこなった。その結果,中国では長周期微動の振幅が海からはるかに離れた渭河盆地でも十分に観測できるだけの大きさであり,日本よりも微動の振幅の減衰率が低い可能性が高いことが判明した。大陸地殻と島弧の地殻の比較をおこなう上で興味深い結果である。また,渭河盆地における最近発生した地震のあとを調査し,過去の地震に関する資料を収集した。 4.山西地震帯の活構造とネオテクトニクスの研究 山西地震帯は,16世紀から17世紀にかけて地震活動の活発であった地域である。本研究では,山西地震帯の活構造と第四紀地質構造に関する野外調査,ならびに同地域の地震テクトニクスの実体の解明に必要な文献・資料の収集をおこなった。同地域は,地表に正断層群が発達しているにも関わらず,横ずれ型の地震が起こる地域である。山西地溝で最後に残った大同火山群の活動が約10万年以降停止していることからも,起震応力場が最近変化した可能性があることが認められた。今後は,同地域周辺のサブプレ-トの構成・渤海ホットスポットなどを中心とした上部マントル降起部の存在などに注目して,同地域のテクトニクスを再検討する必要がある。
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