研究分担者 |
RICHTER O. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 助教授
SOTONA M. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 教授
MACH R. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 教授
MAILING L. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 教授
ZOFKA J. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 教授
山田 泰一 高知女子大学, 家政学部, 助手 (70200722)
糸永 一憲 宮崎医科大学, 教授 (90029546)
若井 正道 大阪大学, 理学部, 助手 (20028228)
池田 清美 新潟大学, 理学部, 教授 (40011548)
村岡 光男 千葉大学, 教養部, 教授 (20028096)
MAJLING L. チェコスロバキア科学アカデミー, 原子核研究所, 教授
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研究概要 |
1.(K^-,π^-)と(π^+,K^+)によるハイパ-核生成反応については,第1段階として,p殻で配位混合波動関数を解き,アイコナ-ル近似により詳細な励起関数の解析を行い発表した.さらに次の段階として,スピン反転相互作用を含む素過程の振幅を用いることにより,進んだ枠組みの理論計算を実行した.それにより,反応の励起関数だけでなく,生成されたハイパ-核の各状態における偏極率を詳しく予測することができた.たとえば ^<13>Cで大きな偏極が得られることやGeV領域の(K^-,π^-)反応が偏極生成で有望である.また,高エネルギ-研究所における初のA^<12>C偏極実験デ-タ(江尻らECHOグル-プ)を比較検討した. 2.スピン反転成分の大きな(γ,K^+)反応についても,単純配位だけでなく混合配位での計算を可能にしp殻標的核の場合に反応断面積と励起関数および偏極率を解析した.非正常パリティ状態が選択的に励起されるので,他の反応と比較することとあわせて,ハイパ-核構造の分光学的研究に有用であることを示した. 3.有効型近似をしない本来のπ核間光学ポテンシャルを採用し,対応した繰り込み効果を考慮して,軽い系から重い系にいたるハイパ-核の中間子的崩壊の理論計算を系統的に実行した.重い系でもほぼ一定(0.5%以上)崩壊確率があることが期待され,定量的な測定実験の重要性を指摘した.また,軽いΛおよびΛΛハイパ-核(質量数A=3〜6)の崩壊に対して重要となる非束縛の3体連続終状態の取扱について,カッパ-・パイエルス法を適用した計算方法を提起し,現実的連続πスペクトルを算出した.連続状態でもシャ-プで有用な場合がありうることを示し議論した.いくつか存在する実験値にたいしては,十分比較し得る理論崩壊確率を得た. 4.軽いハイパ-核(Σ^4He,Σ^7Li,Σ^9BeおよびΛ^7Liなど)の高励起状態を含めて,クラスタ-模型と殻模型の双方からの解析を行い,Σ^-原子の結果やYNG有効相互作用の性質を踏まえた多面的検討が進んだ.特に軽いΣハイパ-核に対して,芯となる原子核とΣ粒子のそれぞれの荷電多重項を結合させて完全な配位で解析が行われた.その中で,Σと核との間の相関は単純なLane型の相互作用ではなく,強いスピン・アイソスピン結合が低い束縛状態の実現に重要な役割を果していることが明らかされ,Σ^7Liの実験的観測が興味あることを示した. 5.高エネルギ-研究所で行われたE176,E224実験に対応して,Ξ粒子の吸収によるダブルΛ複合核生成および破砕(多体クラスタ-崩壊)の過程について,フェルミガスと局所密度近似を応用し,また統計力学の手法を適用して理論的モデルを提起し,各種のΛー,ΛΛーハイパ-核が生成される確率を算出した.特に軽いダブルΛハイパ-核の生成分布の予測は,今後明らかになるであろう実験結果との比較が注目される. 6.高エネルギ-研究所で発見されたダブルΛハイパ-核の事象(E176)と関係してΛーΛ相互作用の性質を検討した. 7.相対論的高エネルギ-の重イオン核衝突におけるハイパ-核やH粒子(一般にストレンジネス)の生成確率について系統的な理論計算を行い,Dubna共同原子核研究所での開拓的な実験結果と成功的な比較をするとともに,各種の予測値を与えた.
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