研究分担者 |
JOANNE Grunb テキサス大学ヒューストン校公衆衛生学部, 助教授
MILTON Z. Ni テキサス大学ヒューストン校公衆衛生学部, 教授
R.SUE McPher テキサス大学ヒューストン校公衆衛生学部, 助教授
DARWIN R. La テキサス大学ヒューストン校公衆衛生学部, 教授
STEPHEN P. F スタンフォード大学医学部, 助教授
JOHN W. Farq スタンフォード大学医学部, 教授
岩谷 昌子 国立健康, 栄養研究所成人・健康栄養部, 研究員 (50193777)
松村 康弘 国立健康, 栄養研究所成人・健康栄養部, 室長 (60181757)
伊達 ちぐさ 大阪市立大学医学部, 助教授 (60047389)
吉池 信男 国立健康, 栄養研究所成人・健康栄養部, 研究員 (80240232)
山口 百子 国立健康, 栄養研究所成人・健康栄養部, 室長 (00118655)
山本 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00220476)
中山 健夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70217933)
STEPHEN p. Fortmann Stanford University School of Medicine, Associate Professor
JO Anne Grunbaum School of Public Health, The University of Texas, Associate Professor
MCPHERSON R. テキサス大学, ヒューストン校・公衆衛生学部, 助教授
NICHAMAN Mil テキサス大学, ヒューストン校・公衆衛生学部, 教授
LABARTHE Dar テキサス大学, ヒューストン校・公衆衛生学部, 教授
FORTMANN Ste スタンフォード大学, 医学部, 助教授
FARQUHAR Joh スタンフォード大学, 医学部, 教授
土田 満 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00163824)
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研究概要 |
わが国の介入地区においては,無作為抽出標本を用いたベース・ライン調査が完了し,今後,経年的に,生活習慣,循環器疾患・がんのリスク・ファクター,および死亡の推移について,対照地域と比較しながら観察していく体制が整った。本年度は,特に,米国において先行している介入方法に準じ,脳卒中,虚血性心疾患,肺がん,胃がん等の発症予防を目的とした健康教育プログラムを開始した。すなわち,減塩・低脂肪摂取にむけての食事指導,肥満・高血圧改善のための運動指導,および節酒・禁煙指導を,小集団を対象とした健康教室により実施し,当該地区に有効な指導プログラムを確立するとともに,教室参加者の中から地域のソーシャル・ネットワークにおけるオピニオン・リーダーの養成につとめた。各健康教育プログラムにおいては,その効果を厳密な方法で評価するために,対象者を無作為に2群に分け,交互法による介入実験を行なった。その結果,介入によるリスク・ファクターの改善としては,6週間の減塩指導は,2.8gの食塩摂取量(24時間蓄尿による推定値)の減少と,正味3.9mmHgの収縮期血圧の低下をもたらした。また,10週間の運動指導(主として,ウォーキング)は,体重,血清コレステロール値には.有意の変化をもたらさなかったが,収縮期血圧については,正味7.5mmHgの低下が観察された。同様に,4週間の節酒指導は,正味4.0mmHgの収縮期血圧の低下をもたらしたまた,血清コレステロール低下のためのプログラムは,比較的長期間の指導期間を要し,6カ月間の積極的介入により,14mg/dlの低下が観察されたが,対象者のコンプライアンスという点で,問題を残した。禁煙指導については,対象者に対して検査結果等の改善を具体的に示すことが困難であり,喫煙という行為の強い習慣性とあいまって,中・長期的にコンプライアンスを維持することは,個人および小集団に対する指導では困難であった。 以上の健康教育プログラムが,当該地域において有効である(effi-catious)ことが確認され,次の段階として,より一般化された指導プログラムが,より多くの対象者に対して実施され,地域全体に対してどの程度効果的(effective)であるかの評価を開始したところであるこれには,対照地域および米国の介人地域との比較分析,行動科学的評価,経済的評価としての費用-効果分析も含まれる。また,この指導プログラム参加者が,地域のソーシャル・ネットワークにおいて,オピニオン・リーダーとして活躍する基礎はすでに整っており,地域全体でのキャンペーン活動も始動した。さらに,食生活を中心とした個人レベルでの生活指導プログラムも完成しつつあり,個人・小集団・地域全体の3つの単位をターゲットとした総合的な介入の効果は,今後経年的に実施される無作為抽出標本による横断調査により,対照地域との比較から,明らかにされるであろう。 また,生活習慣の中で日米間の比較が最も困難であった食事調査については,昨年度に完成されたプロトコールにより,小中学生に対して食物摂取頻度調査を実施した。特に,小児においては,脂肪摂取量および摂取パターンに日米間で大きな差異が観察された。このことから,小児を含む家族単位での介入を,今後進めるにあたっては,わが国独自の栄養指導の方向性を探ることが必要であろう。また,食事,運動・飲酒・喫煙などの生活習慣は,幼少期からの生活環境に大きな影響を受けることが予想される。小児期における,生活習慣およびリスク・ファクターの把握,さらに適切な健康教育は,“成人病発症"というエンド・ポイントからは時間的に遠い時期にありながらも,集団レベルでの“成人病"予防という観点から今後ますます重要となってくるであろう。
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