研究課題/領域番号 |
02044060
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山本 巖 (山本 巌) 信州大学, 繊維学部, 教授 (60021169)
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研究分担者 |
SIMON Jacque ESPCI大学, 教授
藤本 哲也 信州大学, 繊維大学, 教務員 (90209099)
太田 和親 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70160497)
JACQUES Simo ESPGI大学, 教授
SIMON Jacges ESPCI大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1991年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1990年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | フタロシアニン錯体 / テトラピラジノポルフィラジン錯体 / 半導体 / 超電導体 / カラムナー液晶 / 一次元 / カラムナ-液晶 / ディスコティック液晶 / 有機金属錯体 / πーアクセプタ- / πードナ- / フタロシアニン / ピラジノポルフィラジン |
研究概要 |
大環状化合物であるフタロシアニンやテトラピラジノポルフィラジンなどポルフィラジン類における遷移金属錯体のディスコティック液晶の例は極めて少なく、その液晶性に及ぼす中心金属や周辺置換基の影響についてはほとんど明らかになっていない。本研究では、種々のディスコティック液晶性ポルフィラジン遷移金属錯体の合成法を開拓し、その液晶物質が示す特異な物性について研究を行った。 先ず、8本の直鎖アルキル基を付与したテトラピラジノポルフィラジン及びそのCu,Ni,Co錯体の合成及び物性について研究を行った。(図1)その結果、メタルフリ-体はhexagonalーdisordered columnar(D_<hd>)mesophaseを、そのすべての金属錯体はrectangularーdisordered columnar(D_<rd>)mesophaseを持つことを見いだした。またメタルフリ-体及びCu,Ni錯体が最初のπアクセプタ-性ディスコティックカラムナ-液晶となることを明らかとしたとした(表)。 さらに、側鎖に枝分かけ置換基として2ーethlhexyl基を付与したメタルフリ-体及び銅錯体も合成した。その結果、この置換基の排除体積効果によって、これらはテトラピラジノポルフィラジン系では初めて等方性液体相を有し、メタルフリ-体はD_r相と液晶物質中最初のtetoragonal disordered columnar(D_<tet.d>)mesophaseとを発現した。銅錯体も未確認の構造を持つ液晶相を持つことを明らかにした。 次に、ディスコティックネマチック液晶相の発現を目的とし、コアの周辺に立体障害として8本のnーalkoxyphenyl基を付与したフタロシアニンメタルフリ-体とその銅(II)錯体の合成と液晶性について検討を行った。(図2)その結果メタルフリ-体はD_<hd>相を銅錯体はD_<rd>相を、持つことを見いだした。この銅錯体はフタロシアニン銅錯体の中でD_<rd>相を与える最初の例である。 さらに前述の化合物のフェニル基めメタ位にさらにもう1本アルコキシ鎖を付与したoctakis(dialkoxyphenyl)phthalocyanineとその銅(II)錯体を合成しその液晶性を検討した。(図3)その結果、これらの化合物はフタロシアニン系では極めて珍しく等方性液体相を有し、D_x相とD_<rd>相を持つことを明らかとした。さらにおもしろいことにこれらの化合物の2つのD相はDーD相転移の過加熱に基づいて二重融解挙動を示した。このような液晶の二重融解挙動は本研究おいて初めて発見された。 以上の成果をもとに、さらに様々なディスコティック液晶性Pz誘導体を合成し、それらの化合物が示す物性を測定した。即ち、πアクセプタ-性の良好なPz誘導体を得る貫に、ピラジン環の窒素原子内に酸素原子が配位したPz誘導体4aの合成を試みた(図4)。その結果、酸素原子の2つ配位した化合物4bを得た。この化合物はrecutangular disordered columnar(D_<rd>)液晶相を有し、酸素原子の配位していない化合物よりもπアクセプタ-性の向上していることを見いだし、我々の考えが正しい事を立証した(E^<1/2>_<red>=0.33V C_<12>PzM(M=H_2:1a,Cu:1b,Ni:1c)の還元電位)。 次に、長鎖置換基Pz誘導体の形成するカラムナ-液晶相に対する立体障害のもたらす影響を調べることを目的として、nーdodecylphenyl基をあるいは、nーdi(dodecyl)phenyl基をPz環に導入した金属錯体(図5・中心金属:Cu,Ni)を合成した。その結果、全ての誘導体5aおよび5b,6a,6bは、それぞれ2種類のディスコティックカラムナ-液晶相を示すことを見いだした。誘導体5aと5bは室温でD_<tet.d>相を示すが一方6aと6bは室温でD_h相を示すことがわかった。そして、6bは室温でD_<hd>相を示すが、6aは室温でD_<ho>相を示すことも見いだされた。このように化合物5と6は置換基と中心金属をわずかに変えただけで液晶構造が敏感に変化することを明らかにした。
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