研究課題/領域番号 |
02044071
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
宮本 忠 三重大学, 人文学部, 教授 (50071113)
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研究分担者 |
KELLOW A.J. ディーキン大学, 社会科学部, 上級講師
BATES G.M. タスマニア州議会, 上院議員
FOWLER R.J アデレード大学, 法学部, 上級講師
中舎 寛樹 三重大学, 人文学部, 助教授 (10144106)
佐伯 富樹 三重大学, 人文学部, 教授 (50065223)
BATES Gerry M. M. H. A. for Franklin, Parliament of Tasmania
KELLOW Aynsley J. Senior Lecturer, School of Social Sciences, Deakin Unuversity
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 流域 / 塩害対策 / 潅漑 / 土地利用 / 州際問題 / コミュニティ |
研究概要 |
1.研究の目的 本研究の目的は、オ-ストラリアのマ-レ河における開発・環境保全の実態および法制度・行政システムとそれらの将来像を、現地の共同研究者と共同して、諸機関、諸施設におけるヒアリング調査、資料収集、討論、現地実態調査を行うことにより実証的に明らかにすることにあった。 2.研究の実績 以上の目的を達成するため、以下の諸機関、諸施設において研究者および技術者多数から、マ-レ河に関する連邦および州政府の環境・土地利用政策、塩割の状況と対策、州際問題、コミュニティ政策等につき、自然科学および社会科学的観点から説明を受け、資料の提供を受けるとともに、今後の計画のあり方、問題点等につき意見を交換した。 (1)大学関連研究機関 (1)アデレ-ト大学法学部、同大学環境・政策ユニット、同大学環境教育センタ-、(2)オ-ストラリア国立大学連邦財政関係調査センタ-、同大学政策科学部、同大学資源及び環境研究センタ-、同大学日豪研究センタ-、(3)ディ-キン大学社会科学部、(4)タスマニア大学環境学センタ-、同大学南極及び南洋研究センタ-、(2)州政府関連組織 (1)ビクトリア州総理府塩害局、(2)南オ-ストラリア州環境・計画省環境部、同州土木・水供給省、(3)タスマニア州農業省、(3)政府間機構 マ-レ・ダ-リング流域委員会、(4)地方自治体関連機関 オ-ストラリア地方自治体協会、(5)非政府間機講 グリ-ニング・オ-ストラリア(環境保護団体)、(6)現地実態調査 (1)南オ-ストラリア州ベリ、レンマ-ク周辺におけるマ-レ河潅漑用水管理施設、塩害防止施設、潅漑等の実施現地、(2)ベリ周辺地域・アデレ-ド間約200キロのマ-レ河流域 3.研究の成果 研究の結果、主として以下のことが明らかとなった。 (1)塩害を中心とする流域環境破壊の深刻性と潅漑を中心とする土地利用政策推進の困難性 (2)州際間の行政政策・法制度の相違の調整の困難性、環境保全政策に関する予算配分調整の困難性 (3)流域保全・開発に関する地方自治体の役割の低下と連邦政府の役割の増大 (4)流域保全・開発政策の推進に際しての各種の地域コミュニティの役割の重要性と環境教育の重要性 (5)広域的河川の環境保全・開発政策の立案・実施における多方面の研究者の結果の必要性 以上から次のようなことがいえる。 (1)マ-レ河では現段階においては塩害対策、農業のための潅漑等、初期的な流域開発が中心となっているが、今後は飲料水対策、工業用水対策、森林保護等をも取り込んだ総合的な対策が必要であり、そのためには地下資源等の調査を含む全流域の環境調査の実施とその成果をふまえた総合的な将来計画を立案する必要がある。 (2)広域的河川における種々の水環境の変化に対応した行政システム・法制度を確立するためには、個々の地方自治体や州レベルのみでこれに対処することには無理があり、また利害がかなり相違し、対立するので、これらの団体の意見を調整し、統合的な計画を策定、実施するために、流域全体に関わる法冷の制定およびはば広い問題を取り扱うための調整機関を連邦レベルで設けることが効果的である。 (3)その際には、当該調整機関と州・地方自治体のレベルの管轄権限、予算等についての明確な取り決めが必要であり、また調整機関には現在の塩害局のように塩害対策だけにとどまらないはば広い権限を付与すべきである。 (4)流域の環境保全・開発の実施に際しては、各地方自治体に役割を持たせてゆくよりも各種のコミュニティ(利益共同団体、生活共同体等)を活用し、これに対する農業指導、環境教育等を促進することによって流域の将来像に対する認識を醸成することが効果的である。
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