研究分担者 |
CHAMBERS All Alberta Research Council, 主任研究員
ROY Chiustia Lavcl大学, 化学工学科, 助教授
WATKINSON Pa British Columbia大学, 化学工学科, 教授
FURIMSKY Edw CANMET, 主席研究員
SILVESTON Pe Waterloo大学, 化学工学科, 教授
三浦 孝一 京都大学, 工学部, 助教授 (40111942)
阪田 祐作 岡山大学, 工学部, 助教授 (70032951)
新井 邦夫 東北大学, 工学部, 教授 (10005457)
松永 利昭 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (40006309)
鈴木 俊光 関西大学, 工学部, 教授 (70026045)
富田 彰 東北大学, 非水研, 教授 (80006311)
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研究概要 |
本研究の目的,日本とカナダの研究者が協力して,カナダに大量に産出する亜瀝青炭,褐炭の新しい高度利用技術を開発する点にある。さらに,それを通じて日加両国により緊密な信頼・協力関係を構築して,石炭資源の輸出・輸入国として将来に渡って科学技術交流を続けていく途を開くことをも目的としている。本研究は単年度申請であるが,内容的には昭和62,63年度に実施した「日本ーカナダ共同学術研究ー石炭高度利用プロセスの開発」と,平成元年度実施の「日本ーカナダ共同学術研究ー複合的変換プロセスによる石炭の総合利用」に続くもので,本年度は4年間の研究を総括し,今後の新しい展開の展望を切り開くことを大きな目的とした。そのために,4年間の研究を総括する研究集会をバンク-バ-で開催することとし,新年度早々からそれに向けての準備を両国で開始した。日本側では,カナダ訪問を単に研究集会参加にとどめるのではなく,広くカナダの石炭利用技術開発の現況,さらには石炭鉱業の状況を調査するのに好機会であるとの位置付けの下に訪問計画を作成した。さらに,今回の訪問調査は企業関係者にとっても極めて有意義であると考えられたので,石炭関連の企業研究者に参加を呼びかけたところ,4名の参加を得ることができた。そして,9月23日より10月4日の日程で,日本側研究分担者の内の6名と上記の企業関係者4名の併せて10名がカナダ訪問調査を実施した。調査の概要を以下の記す。 9月23〜25日は,British Columbia大学で開催された日加合同研究集会に参加した。カナダ側からは,大学,政府機関,民間併せて21名の参加があり,両国より併せて23件の研究発表が行われた。そのうち,日本側参加者による発表は9件であった。副学長R.Miller博士は歓迎の辞の中で,カナダ政府が向う4年間に2400万ドルを日加の大学間共同研究に支出する決定をしたことを紹介し,一層強力な共同研究の推進を強調された。研究発表は,文部省の重点領域研究における石炭研究の紹介,石炭チャ-のガス化反応性の検討,触媒ガス化機構の解明,真空熱分解,新迅速熱分解法,超臨界ガス抽出,高温脱硫剤の開発等の本等の本共同研究で得られた成果と,日加両国で進行している石炭ガス化による水素製造,IGCCプロジェクトの紹介,BC州の石炭資源の紹介と多岐に渡った。別途開催された会合では,今後の共同研究の進め方について議論された。カナダ側は上記の政府の援助に基き,何等かの型で共同研究を継続したいとの強い意向を示した。日本側では,より実質的な共同研究の推進のために,平成4年度に装いを新たにした共同研究の実施を文部省に申請することにした。 バンク-バ-での研究集会出席後,アルバ-タ州政府研究所(ARC),コ-ルバレ-炭鉱を経営するLuscar Sterco社,Waterloo大学,それにカナダ連邦政府エネルギ-・資源研究所(CANMET)を歴訪した。ARC,CANMET,Waterloo大学は,British Columbia大学と共に本共同研究のカナダ側の拠点であった。ARCとCANMETでは石炭研究施設を見学するとともに,石炭セミナ-を開催した。ARCでは,アルバ-タ州の石炭資源の現況,石炭利用技術開発の状況を詳細に視察することができた。Luscar Sterco社では,2ケ所の露天掘りピットと選炭施設を見学できた。雄大なロッキ-山脈の麓に位置する本炭鉱の見学は,日本側参加者に大きな感銘を与えた。カナダ西部炭の多くま我国に輸出されており,今後のエネルギ-安定供給確保のためにも日加両国の一層緊密な協力関係構築の必要性が痛感された。CANMETでは,IGCCプロジェクトを支援する気流層ガス化装置,低品位炭の高効率燃焼ボイラ-,Coーprocessing等に関する最新の研究設備を見学する機会を得,カナダ政府の指向する方向を察知できた。 このように,本共同研究の締めくくりとしての訪問調査を成功裏に終えることができた。本調査の成果は,過去3年の成果を併せて157頁に及ぶ報告書にまとめ,関係諸機関・研究者に配布した。平成4年度からは,より実質的な共同研究を実施すべく準備を進めている。文部省ならびに関係各位の一層の御理解と御協力をお願いする次第である。
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