研究分担者 |
ALAN CHAIT ワシントン州立大学, 医学部 代謝学教室, 教授
荒井 秀典 京都大学, 医学部, 助手 (60232021)
村上 元庸 京都大学, 医学部, 助教授 (10157761)
長野 豊 京都大学, 医学部, 助手 (80228048)
CHAIT Alan Department of Medicine, School of Medicine. University of Washington
CHAIT Alan ワシントン州立大学, 医学部・代謝学教室, 教授
GOLDSTEIN Jo テキサス州立大学, 医学部・分子遺伝学教室, 教授
成宮 周 京都大学, 医学部, 助教授 (70144350)
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研究概要 |
平成2年度に引き続き,酸化LDL受容体の単離の実験を行っているが,マウスのマクロファージでは,その材料が得にくいことから,ウサギのマクロファージ,あるいはクッパー細胞に材料を変えて,まず酸化LDL受容体の諸性質の検討を行った。 ウサギ腹腔マクロファージ及びクッパー細胞を用いた変性LDLのデダラデーション競合阻害実験の結果,酸化LDLだけに特異的な受容体は腹腔マクロファージに存在せず,クッパー細胞には存在することが明らかになった。そこで両細胞の膜蛋白で,酸化LDL及びセチルLDLを用いたリガンドブロッティングの実験で,それらの受容体の検索を行った。その結果,両細胞において,児玉らが精製したスカベンジャー受容体に相当すると考えられる約230KDaの蛋白及び約175KDaの蛋白がともに,酸化LDL及びアセチルLDLに結合することが明らかになった。さらに酸化LDLと特異的に結合し,アセチルLDLとは結合しない約140KDaの蛋白の存在がクッパー細胞で認められた。この蛋白はウサギ腹腔マクロファージには存在せず,酸化LDLに特異的な受容体である可能性が考えられるため,現在この蛋白の単離を試みている。 平成3年度研究中に,LDLのみならずHDLみも酸化されること,さらに酸化HDLは泡沫細胞からのコレステロールeffux作用が消失することを発見し報告した(PNAS 1991 88p.6457)。本年度はさらにHDLがタバコ煙によっても変性修飾を受けること,さらにタバコ煙修飾HDLはやはりコレステロールeffux作用が消失すること,その際構造蛋白アポA-Iが重要であることを新たに見い出し検討中である。本年度酸化LDLの諸性質を検討している際に,その成分のうち,リゾフォスファチジルコリン(LSO-PC)が重要であることに気づき,LSO-PCの各種血管壁構成細胞への影響を検討した。主にマクロファージの泡沫化に本研究は焦点をあてているので,流血中の単球がいかにして血管壁へ侵入し,泡沫化するかという観点からのアプローチで,LSO-PCの内皮細胞への影響から検討した。結果として,単球の接着因子であるICAM-1の発現が誘導されること,さらに単球の走化因子であるMCP-1が発現誘導されることを新たに見い出し,その機序を検討している。つまり,この問題は大きなテーマであり,その発展が期待されるので,さらに国際共同研究のプロジェクトを組みたいと考えている。リポタンパクリパーゼについては,現在Chait博士と研究を継緒しているが,まだまとまった成果には至っていない。
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