研究課題/領域番号 |
02044082
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本庶 佑 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (80090504)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (50212220)
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00162694)
セベリンソン エバ ストックホルム大学, 准教授
SEVERINSON Eva Karolinska Institute
エバ セベリンソン ストックホルム大学, 准教授
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 抗体遺伝子 / クラススイッチ / 遺伝子組換え / germline転写物 / インタ-ロイキン4 / 環状DNA |
研究概要 |
我々は、リンフォカイン等の刺激が免疫グロブリンのクラススイッチ組換えに先立ってその標的となる遺伝子領域の転写を活性化し、それによって積極的に標的となる遺伝子の染色体領域を開かれた構造に変化させ、組換え酵素系の接近を可能にしているのではないか、また転写物もトランススプライシング反応の一方の基質として多重アイソタイプの同時発現に寄与しているのではないかとの仮説を唱え、それを支持する以下に述べるような実験結果を得た。 1.ヒトγ3遺伝子のgermline型転写物産生を調節する領域に、インタ-ロイキン4に反応して転写を活性化するエンハンサ-部分が存在することを示した。LPSならびにインタ-ロイキン4で刺激されたマウスひ臓細胞から環状DNAを高度に精製して作製したライブラリ-より組換え点を含むクロ-ンを単離することによってクラススイッチを組換えが同一DNA分子内の介在配列の環状欠失によって起こることを初めて証明した。この解析は更にインタ-ロイキン4がγ1遺伝子へのSーS組換え自身を活性化している、即ち組換えの調節に直接的に関わっていることも明らかにした。 2.ヒト膜型μ鎖トランスジェニックマウスに於いて、内在性(マウス)の抗体H鎖遺伝子の組換えならびに発現が完全に排除されているにもかかわらず、LPSとILー4により刺激・培養されたひ臓細胞の2〜8%がヒトIgMとマウスIgGの二重アイソタイプを同時発現しうること、またこのひ臓細胞集団中にトランスジ-ン可変部と内在性(マウス)定常部が結合したmRNA(トランスmRNA)を発現するものが存在することを発見し、このトランスジェニックマウスにおいては異なった染色体間におけるクラススイッチ組換えもしくはトランススプライシングが起きていることを示した。次に、この二重アイソタイプ産生細胞を二色蛍光抗体による同時染色によって検出し、セルソ-タ-によって分取した。またこのマウスとcーmyc遺伝子を導入したトランスジェニックマウスとの交配によって生まれた子孫に生じたリンパ腫(12種)を収集した。これらから、DNA及びRNAを抽出し、RNA中のトランスmRNA発現をPCR法、RNase protection法によって検討したところ、分取した二重アイソタイプ産生細胞ならびにproーB細胞リンパ腫のひとつにおいてヒト導入遺伝子と同時にトランスmRNAの発現が確認された。更にこれらの細胞のDNAのサザンブロット法による解析の結果、このトランスmRNAの発現は遺伝子の組換えを伴っていないことが判明した。以上のことからトランスmRNAが遺伝子の組換えなしに発現していること、さらにトランススプライシングによって抗体の多重アイソタイプ同時発現が起こっていることがほぼ証明された。現在トランススプライシングと密接に関連するgermline転写物の発現の分子機構を明らかにするために、インタ-ロイキン4で刺激されたマウスひ臓細胞に由来する発現型cDNAライブラリ-を作製し、このライブラリ-よりgermline型転写物産生を調節する因子の遺伝子単離を進めている。 3.免疫グロブリンのクラススイッチに関与する分子のうち、各C領域遺伝子の上流に存在するS領域に特異的にbindし組換えを引き起こす蛋白質(SーSリコンビナ-ゼ)の遺伝子の単離を、LPS+ILー4でIgMからIgGIへのクラススイッチを誘導したBalb/Cのひ臓細胞から作製したλgtll発現cDNAライブラリ-よりSouthーWestern法を用いたスクリ-ニングによって試みている。
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