研究課題/領域番号 |
02044098
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
御子柴 克彦 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (30051840)
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研究分担者 |
新延 道夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80135748)
池中 一裕 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (00144527)
GUENET Jeanー パスツール研究所(フランス国), 教授
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | mouse mutant / cerebellum / calcium channel / endoplasmic reticulum / InsP_3 receptor / InsP_3(inositol trisphosphate) / morphogenesis / InsP_3レセプタ- / 染色体マッピング / 小脳プルキン工細胞 / カルシウムチャネル / 小胞体 / 中枢神経系 / 発生と分化 / in situ ハイブリダイゼ-ション |
研究概要 |
P_<400>蛋白質は、小脳変性症ミュ-タントマウスの解析の結果、プルキンエ細胞に豊富に局在するP_<400>蛋白質であったがイノシト-ル3リン酸レセプタ-(InsP_3ーR)であることが明らかとなった。そこでP_<400>(InsP_3ーR)につき、脳の各部位及び各末梢組織における特異性と多様性を明らかにすることを目的として研究をすすめた。P_<400>(InsP_3ーR)の多様性を明らかにする為に、polymerase chain reaction(PCR)法を用いて、脳の各部位及び各発達時期のmRNAに多様性がみいだされるか否かにつき検討を加えた。まずInsP_3ーRのcDNAの各部位の塩基配列を参考にしてヌクレオチドプロ-ブを作製して、PCR法により解析した。これにより、各組織及び部位特異性に関する多様性を検討した。プロ-ブを作成して検討した結果、InsP_3ーR結合部位に対応する部位にS1と名づけた領域の存在するタイプと欠失するタイプがみいだされた。また、調節領域である中間部分のうちで2つのリン酸化部位の中央部に120塩基対の欠失したものと存在するタイプがみいだされた。これをS2と名づけたが、S2内にも各々3つの領域に分かれ、アイソフォ-ムが存在することが明らかとなった。また各アイソフォ-ムは大脳皮質、海馬、小脳、脊髄でユニ-クな比率を示し、小脳において発達特異的な発現パタ-ンを示した。以上のPCR法による結果より、InsP_3ーRは脳においても部位特異的並びに発達特異的発現パタ-ンを示していることが明らかとなった。 次に、in situ hybridizationにより中枢神経系に於けるサブタイプの細胞内局在を示した。小脳プルキンエ細胞にはInsP_3RSIIABC以外全て存在し、ホモテトラマ-さらにヘテロテトラマ-によりチャンネルとしての機能的な多様性が示唆された。海馬ではサブタイプにより局在に違いが見られた。これらは、イノシト-ル燐脂質代謝の関与する情報伝達系(PIーsignaling)に関連する分子及びIP_3受容体の機能を制御する分子に多様性が存在し、局在にも違いがある事を考慮すると、特に中枢神経系すなはち、ニュ-ロンに於てPIーsignalingの多様性、さらに、他の燐酸化系などの情報伝達系とのクロスト-クに伴う情報伝達系に多様性があることが示唆された。 モノクロ-ナル抗体を用いてInsP_3ーR受容体のマウス脳の発生過程ならびに成熟個体における局在を免疫組織化学的に調べた。 InsP_3ーR受容体の発生過程における発現は神経細胞の種類により異なっていた。小脳後虫部腹側部にある未成熟なプルキンエ細胞が胎仔期17日目に最初にこの受容体を発現した。プルキンエ細胞軸索中の受容体の発現を生後3日目の小脳核で初めて認めた。後板状皮質野^*、前嗅核、海馬CA1領域では脳の他の部分よりも早く発現した。成熟個体の脳では、プルキンエ細胞の他、線条体、淡蒼球、中隔側坐核、前嗅核、嗅結節、前交連海馬、海馬、黒質、大脳皮質、橋および視床下核の神経細胞がこの受容体を発現した。嗅球からの求心性線維を受ける前脳大脳皮質野が顕著な免疫反応性を示した。これらは前嗅核、嗅結節、前乗状皮質、嗅内野、および扁桃核である。一方、嗅球は殆ど染色性を示さなかった。辺縁ー視床下部経路、線条体黒質投射経路および脳梁(交連線維)の一部でも、軸索経路中に免疫反応性を認めた。ウエスタンブロット分析および〔 ^3H〕IP_3結合アッセイは免疫組織化学により明らかになった領域間の質的な相違と相入れるものであった。IP_3受容体の脳内局在は、オ-トラジオグラフィ-により明らかにされたIP_3結合部位と良い相関を示した。さてInsP_3ーRはInsP_3依存Ca^<2+>放出チャネルとして重要であるが、細胞内膜系には、Ca^<2+>依存Ca^<2+>放出チャネルも存在している。現在リアノジンレセプタ-がこのCa^<2+>チャネルの本体であることが明らかとなっている。我々は特異抗体の作製に成功したので、抗体により、各種小脳変性ミュ-タントでもリアノジンレセプタ-にどの様な障害がおきているかを解析している。今年は昨年にひきつづきヒトのInsP_3ーRの染色体上のマッピングにつきゲネ教授とも更に解析をすすめている。
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