研究課題/領域番号 |
02044100
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
秋本 俊一 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (50013462)
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研究分担者 |
ロバート・ヒル ヒル オーストラリア国立大学, 地球科学研究所・リサーチ, フェロー
イアン・キャンベル キヤンベル オーストラリア国立大学, 地球科学研究所・シニア, フェロー
牧嶋 昭夫 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (70219301)
中村 栄三 岡山大学, 地球内部研究センター, 助手 (80201672)
加々美 寛雄 岡山大学, 地球内部研究センター, 助教授 (20108179)
CAMPBELL Ian The Australian National University Research School of Earth Science, Senior Fell
HILL Robert The Australian National University Research School of Earth Science, Research Fe
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1990年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 初期大陸地殻 / ウラン・鉛年代測定 / 高分解能2次イオン質量分析計 / セリウム同位体比測定 / ランタン・138の壊変定数 / ストロンチウム同位体比測定 / ネオジム同位体比測定 / ホウ素同位体比測定 / 09isotope dilution mass spectrometric analysis / 10REE partitioning |
研究概要 |
地球史における初期大陸地殻と花崗岩類の成因を明らかにするために、岡山大学地球内部センタ-から3名を西オ-ストラリアのノ-スマン・カルグ-リ-地域に派遣し、オ-ストラリア国立大学地球科学研究所(ANU)の協力を得て、約27億年前に形成されたと考えられている花崗岩、グリ-ンスト-ン、及び堆積岩類の採集を行った。その後、オ-ストラリア国立大学に移動し、研究代表者の秋本を加えて、採集した岩石試料から鉱物を分離した。それらの鉱物の中のジルコンをANUの高分解能二次イオン質量分析計(SHRIMP)を用いて鉱物ごとの微小領域ウラン・鉛年代測定を行った。その結果、この地域の花崗岩類は2665±8Maと2686±9Maの二つの異なる形年代を示すグル-プからなることが明らかになった。一方、ジルコンの核の年代は30億年から35億年を示し、これらの花崗岩類が既に存在していた大陸地殻の再溶融によって形成されたことを物語っている。既にANUのグル-プによって行われていたこれらの花崗岩類の主要・微量元素組成は、形成年代によって異なり、古いタイプは若いタイプに比べてより深い地殻の溶融によって形成されたことが明らかとなった。これらの花崗岩類に隣接するグリ-ンスト-ン中のジルコンの年代測定結果は古いタイプの花崗岩類ものよりも約1500万年古い年代を示した。以上の結果と当時の予想される地温勾配から、玄武岩マグマの熱伝導によって、既に存在していた大陸地殻が溶融して二つの異なる花崗マグマが形成されたものと考えられた。 オ-ストラリアで採集された岩石試料と分離された鉱物は、表面電離型質量分析計を用いた同位体比測定と希土類元素の定量を行うために岡山大学地球内部研究センタ-に送られた。これらの試料の一部は現在分析が進められている。分離された鉱物のうちで緑簾石、チタン石、燐灰石の希土類元素含有量とセリウム及びネオジム同位体比測定は終了した。その他の試料については、微量元素の定量、セリウム、ネオジム、ストロンチウム、鉛、ホウ素同位体比測定が現在行われているところである。地球内部研究センタ-では、本研究期間中に新たに、鉛同位体比測定法、ストロンチウム及びネオジム同位体比測定法を確立し、セリウム及びホウ素同位体比測定法に関しては世界で最も精度の高い分析法を独自に開発した。 平成3年2月から3月にかけて2週間、ANUからイアン・キャンベル、ロバ-ト・ヒル両博士を岡山大学地球内部研究センタ-に招へいした。この期間中、彼らは当センタ-の分析技術を視察し、研究の現状を把握した。更に、この共同研究のANU側の研究状況を我々が理解するために以下の五つの講演を行った。(1)The fluid dynamics of magma chamber(Ian Camobell),(2)Mantle plumes and flood basalts(Ian Campbell),(3)Evolution of a Late Archean greenstone belt,Yilgarn craton,Western Australia(Robert Hill),(4)Mantle plumes and continental tectonics(Robert Hill)(5)The evolution of the Stracture of the Earth's mantle(Ian Campbell)。また、これまでの結果をもとに、今までの問題を議論・検討し、今後の研究方針として次のような同意が得られた。(1)鉱物のランタン・セリウム系のアイソクロンを求め、他の年代測定法によって求められた年代と比較することによってランタン・138の壊変定数を決定する。(2)年代測定結果より、花崗岩マグマ形成における熱収支を時間の関数として求める。(3)鉛、ホウ素、セリウム同位体比を用いて花崗岩類とグリ-ンスト-ンの起源物質を明らかにする。(4)これらの同位体を用いることにより、マントル起源と始源地殻起源の違いが明確に出来る。(5)以上の事柄をもとに、始生代における花崗岩類の成因と大陸地殻の形成過程を議論する。(6)以上で得られた地球化学的モデルに対して物理的制約を与えるために地温勾配とマントルにおける超高圧鉱物物性及び流体力学的実験によってマントル中での物質と熱の移動、それに伴われるマントル物質の溶融等を推定し、当時のマントル及び地殻のダイナミクスを議論する。
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