研究課題/領域番号 |
02044107
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日下 達朗 山口大学, 農学部, 教授 (50038238)
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研究分担者 |
長 裕幸 佐賀大学, 農学部, 助手 (90136599)
早川 誠而 山口大学, 農学部, 助教授 (80038299)
丸本 卓哉 山口大学, 農学部, 助教授 (00035122)
鈴木 義則 山口大学, 農学部, 教授 (70081495)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1991年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1990年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | Rhizobox / Biomass / Row Cover / Soil Temperature / Mulch / Reflecting of light / Fingering / Unstable wetting front / リゾボックス / バイオマス / べたがけ / 根圏温度環境 / マルチ / 光質 / フィンガリング / 2成層土壌 / イチゴ / カナダBC州 / 根圏環境 / 気象改善 / 地中温度 / 不飽和浸透 |
研究概要 |
I.国内における研究実績 イチゴの本質的な生理・生態条件を生かしつつ、作物生育中の根圏域の土壌水分および地中温度等を物理的に制御することにより、イチゴの光合成、生育作用および果実の品質等に最も適する根圏物理環境条件の検討を試みた。1986年より4年間に亘るイチゴの栽培試験結果より、根圏環境要素とイチゴの生育との関係をまとめてみると、土壌中の栄養分として標準的な施肥栽培をした場合、(1)土壌水分を乾燥状態に制御すると収穫個数は増加するが、土壌水分を湿潤側に制御させると、果実重量は増加する。(2)総収穫重量を増加させる最適の土壌水分は、30.0%前後の含水比を示す時である。(3)果実の糖度は、地中温度を高め(28℃程度まで)に維持すると同時に、土壌中の水分として35.0%前後の含水比に制御するのが、最適のようである。 また、根圏温度環境が作物の生育にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために、べたがけ資材を用いて作物の生育量と根圏温度環境や他の気象環境との関係を調べた。べたがけによる作物の生育には、べたがけ内の気温や地温の積算値の他に日射量が大きく関係していることが明らかとなった。さらに、定量的な実測結果ならびにシュミレ-ション結果をもとに、比較解析を行った結果、べたがけ資材の物理的特性が根圏温度環境に与える諸要因の関係を明らかにすることが出来た。 一方、作物根圏の土壌微生物バイオマスを測定する場合、土壌の採取法が極めて困難なために、この測定はほとんど行われていなかったが、ステンレスメッシュを用いた根圏土壌採取器(リゾボックス)を新規に開発することにより、それらの測定が可能となった。これまでにトマトを用いてリゾボックスの効用について調査した結果、改良型リゾボックスは、指による根圏土壌の採取法に比べて1/5の時間(全操作時間5〜6分)で採取できること、また、実験誤差は2〜3%となって測定値の信頼性も高くなることが判明した。 II.外国における研究業績 カナダでは、根圏環境特性の物理的、科学的把握こそが生産の基本となるとの認識により、行政的立場から各州内の畑の栄養状況の診断を行っている。例えば、サスカッチュワン州では、同州立大学構内に土壌診断専門機関として州立研究所を設置し、多数の専任技術者、優れた分析機器を備えている。農家に対しては、個々の畑に最も適した施肥設計を行うことができるように、土壌試料の採取法などきめ細かく指導している。採取時期としては10月を、深さとしては60cmまでを4層に分けて採取することとしている。そのサンプルを研究所で分析し、硝酸態窒素、硫酸態窒素、可溶性塩類の各量を決定し、最適施肥を提示している。ただし、栽培形態が土地利用型で面積も広大であるという理由のため、根圏熱環境に関連した実地診断は未だ行われていない段階のようである。 グレ-トプレリ-の北部寄りの地帯(米国・ミネソタ州近辺)では積雪が多くあり、その自然条件の消長は畑作の栽培期間を左右している。積雪の消滅時期に関する研究が行われており、特殊なかつ簡単な積雪・凍結評価の器具ー科学薬品を使用故を開発している。さらに、その周辺の気象環境を併せて測定しつつ、熱収支の計算から、作物根圏に強い影響を与える地中熱状況の事前評価を求める努力をしている。 カナダアガシズ試験場との共同研究で実施したナスのマルチ栽培におけるマルチ(被覆)資材(厚さ0.06mm)の色の効果判定の実験は興味ある結果であった。作物の収量は緑色≧茶色≧黒色≧透明の順であった。これはマルチの影響が根圏温度環境の他に、地上部での反射光の光質にも及び、緑色面反射光は開化(花芽分化)を促進させるためと考えられた。一方、資材の価格は茶色>緑色>黒色>透明であって、投下金額と生長促進効果の間にはありまり相関は見られないようであった。
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