研究課題/領域番号 |
02044108
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉村 哲郎 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (30035472)
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研究分担者 |
DEBS Robert カリフォルニア大学, 医学部癌研究所, 主任研究員
HONG Keelung カリフォルニア大学, 医学部癌研究所, 主任研究員
PAPAHADJOPOU デメトリオス カリフォルニア大学, 医学部癌研究所, 教授
前沢 重礼 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (70173698)
曽根 三郎 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (40145024)
PAPAHADJOPOULOS Demetrio Cancer Research Institute, University of California
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 抗腫瘍性サイトカイン / リポソ-ム / 腫瘍細胞 / マクロファ-ジ / 細胞障害作用 / 細胞内挙動 / 顕微蛍光測光法 / 膜融合 / 顕微蛍光法 |
研究概要 |
抗腫瘍性サイトカインは、腫瘍細胞に対する特異的障害作用を有し、“がん"治療制圧に向けて大きな期待を集めている。しかし、その細胞障害機序の詳細はほとんど不明であり、方法論の検討が必要である。そこで我々は、リポソ-ムシステムの導入を計画、カリフォルニア大学医学部Dr.Papahadjopoulosのグル-プと共同研究を行った。彼らは最近、蛍光プロ-ブ封入リポソ-ムシステムの細胞内導入により物質の細胞内挙動を追跡する方法を開発し、本研究においては、抗腫瘍性サイトカインの細胞内挙動の分子論的解析にこの新手法を導入すると共に、関連する研究事項に関する共同研究を通じて、これらサイトカインの細胞内膜作用機序ひいては細胞障害機序を明らかにすることを目的とした。また、本共同研究の機会を利用して、これまで進めてきた膜融合に関する共同研究をさらに推進させることをも目的とした。 研究成果は以下の通りである。 1.抗腫瘍性サイトカインの膜損傷作用と細胞障害作用との関連性及びそれに対する膜脂質ホスファチジルセリンの役割に関する研究成果、加えて従来の共同研究課題・蛋白質による膜融合誘起機構に関する研究成果について、同グル-プに討論を仰ぎ、それを参考に論文として公表した。 2.顕微蛍光測光法に基づく、リポソ-ムの細胞内導入による物質の細胞内挙動追跡法を、培養腫瘍細胞及びマクロファ-ジに導入、リポソ-ムの細胞内取り込みの判定システム及び速度論的解析システムを確立した。その過程において、蛍光プロ-ブ封入リポソ-ムが細胞内に取り込まれた後の挙動及びその時間的関係、またpH変化過程に関する新たな知見が得られた。 3.免疫グロブリン、トランスフェリン等の蛋白質を封入したリポソ-ムの腫瘍細胞及びマクロファ-ジ内取り込み並びに細胞内挙動を、上記判定システム及び速度論的解析システムを用いて予備的に検討し、免疫グロブリンはリソソ-ムに取り込まれた後分解され、トランスフェリンは細胞膜にリサイクリングされることを見い出し、蛋白質の細胞内挙動の追跡に本法が有用であると判断された。 4.抗腫瘍性サイトカインを封入したリポソ-ムの腫瘍細胞及びマクロファ-ジ内取り込みを、上記判定システムを用いて判定し、取り込み後エンドソ-ム内で膜作用性を発現する可能性が示唆され、リポソ-ム封入サイトカインによって活性化されたマクロファ-ジの腫瘍細胞障害性とよく相関することを見い出した。 5.蛋白質クラスリンによって誘起される膜融合の反応過程における種々の特異的反応、これらの反応の進行過程、クラスリン分子の膜融合活性発現部位等を明らかにし、膜融合の分子論的メカニズムを概ね解明した。 6.両親媒性ペプチドを合成し、その膜結合能、ヘリックス形成能、膜融合能の関係を調べ、膜融合活性発現には、両親媒性よりむしろ疎水性が重要な因子であることを見い出した。 これらの成果は、(1)リポソ-ムシステムを用いた抗腫瘍性サイトカイン細胞障害機序解析全般及び膜融合に関する共同研究、研究討論及び研究打ち合わせを、カリフォルニア大学において行った結果、(2)抗腫瘍性サイトカインの腫瘍細胞内挙動と腫瘍細胞障害作用測定の画一化のための研究打ち合せ及び実験条件の設定をカリフォルニア大学にて行った結果、(3)蛍光プロ-ブ封入リポソ-ム及びサイトカイン封入リポソ-ム調製法並びに蛍光プロ-ブでラベルした抗腫瘍性サイトカインの調製法の検討及び習得をカリフォルニア大学にて行った結果、(4)顕微蛍光測光法及びリポソ-ムシステムを用いた物質の細胞内挙動解析システムの設定及び測定の指導を目的に、研究分担者Dr.K.Hongを招へいした後、種々の研究を徳島大学において行った結果、得られたものである。 今後さらに共同研究を継続し、リポソ-ム封入サイトカインの細胞内挙動と細胞障害作用との関連性を把握、抗腫瘍性サイトカインの細胞障害機序を分子論的に解明してゆきたいと考えている。
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