研究課題/領域番号 |
02044124
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
成瀬 昭二 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50106407)
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研究分担者 |
上田 聖 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40094411)
WEINER Micha カリフォルニア大学, サンフランシスコ校.医学部, 教授
梅田 雅弘 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (60223608)
田中 忠蔵 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 教授 (80163541)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1991年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1990年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 磁気共鳴画像(MRI) / 磁気共鳴スペクトル(MRS) / 超高磁場 / 化学シフト画像 / 拡散強調画像 / 脳虚血 / 脳浮腫 / 乳酸 / 化学シフト画像(CSI) / ^1HーCSI |
研究概要 |
磁気共鳴スペクトルは非侵襲的で組織内の生化学的物質の測定ができるとして最近の臨床用装置でも測定が可能になってきた。しかし、現在の装置の磁場強度では測定対象核種や、感度に限界があり、必ずしも十分その能力が活かされているといえない。この解決の為には、より高い磁場の装置を用いることが必要とされるが、わが国では、いまだMRSを十分理解して活かせる施設が少なく、しかも超高磁場のような莫大な装置を導入できる研究基盤がない。我々は、この問題を鑑み、超高磁場MRI/Sの臨床応用をめざしてこの分野での先進国である米国のグル-プとの国際共同研究をおこない、その開発応用を実用化することを目的とし、平成2年度より研究を開始した。 はじめに必要であったことは、MRSの方法論の確立であった。従来の磁場強度の装置でも充分な測定方法は完成されておらず、まずその基礎技術的検討から行った。まず、動物実験機(4.7T,7.0T)にて、最適な局在スペクトル法の検討を行った。その結果、化学シフト画像(CSI)によるmultiーvoxel法が最も実用的であるとの結論に達した。はじめに ^1HーCSIを検討したが、これを実用化するには、最適パルス系列の検討、水信号の抑制、傾斜磁場に起因する渦電流の抑制、感度よいコイルの開発、処理ソフトウエアの開発などの多くの問題点があった。最適パルス系列としては、spin echo法にて領域を選択して、2方向のphase encodingを行う方法がよく、水信号の抑制は、1ー1 pulseかCHESS+dephasing gradientが良かった。渦電流の抑制は、最適のrephasing gradientの印加や、active shielded gradient coilにてある程度は可能になったが超高磁場での問題点は依然として残された。コイルはbirdーcageかcrossーpolarized typeが良かった。処理ソフトは、多くのvoxelのスペクトルを自動的に位相及び基線補正、curve fittingを行い、metabolite mapping、contuor mappingなどの画像化を簡便に行える方法を開発しつつある。この結果、動物実験機で、2x2x6mmの分解能を持つ ^1HーCSIが得られ、glutamine,glutameate,Nーacetyl aspartate(NAA)等のアミノ酸、Choline,Creatineなどの測定が可能になった。 ^<31>PーMRSでは各種のリン化合物の分布の画像化が可能となった。脳虚血巣では、直着から乳酸の増加が認められた。またmetabolite mappingにて代謝変化のある病巣が視覚化された。さらにまた、拡散強調画像にて脳浮腫、脳虚血での水分子の拡散を画像化できた。さらに、拡散強調画像とMRSとを結びついたSpectroscopic Diffusion Imageも超高磁場では可能で、病態解析に非常に有用であることが示唆された。このように、動物実験では、超高磁場MRI/SでのMRSやCSIおよび拡散強調画像が可能であることが示された。 しかし、臨床応用では、安全性の面から次のような問題点が生じてきた。(1)渦電流による信号の乱れ、特に ^1HーMRSでの水信号の影響による測定困難の問題、(2)CSI法での各voxelでのchemical shiftによる位置ずれの問題、(3)RFパルスの生体内への深達度の問題、(4)磁化率の違いによるア-チファクト、などである。(1)に対しては、shielded gradient coilによる渦電流の軽減の必要性、(2)には、ソフトウエア上での処理の必要性(現在検討中)、(3)に対しては、深部ではRF power limitationを越えない範囲での解決は困難、(4)には、根本的対策が未だなされない、という暫定的結論が得られた。 このように臨床への適用に関しては、いまだ傾斜磁場系、RF系、測定系などのハ-ドウエアに問題点が残されており、今回の研究でも完全には臨床応用に至らなかった。しかし、超高磁場では、低感度の核種( ^<31>P, ^<13>C)の測定には良い結果が得られた。また、 ^1HーMRSでも低い含有量の物質(glutamine/glutamate,taurine,inositol,etc)の測定が可能であり、その有用性が認められた。上記の問題点の解決を含め、今後も研究を続ける価値のある研究課題であることが確認できた。
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