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都市河口域生態系の劣化と修復・保全

研究課題

研究課題/領域番号 02044127
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
研究機関奥羽大学

研究代表者

栗原 康  奥羽大学, 歯学部, 教授 (90004259)

研究分担者 KAUSH H.  ハンブルグ大学, 水園研究所, 教授
BATTAGLLIA B  パドパ大学, 理学部, 教授
GREENWOOD J.  クィーンズランド大学, 理学部, 助教授
HAILSTONE T.  クィーンズランド大学, 理学部, 助教授
KIKKAWA J.  クィーンズランジ大学, 理学部, 教授
吉田 勝一  奥羽大学, 歯学部, 教授 (50083407)
岡田 光政  東京農工大学, 工学部, 助教授 (70124336)
菊地 永祐  東北大学, 理学部, 助教授 (00004482)
KAUSCH Hartmut  Institute Hydrobiologie ung Fischeereiw., University of Humbrug
研究期間 (年度) 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
キーワード都市河口域 / 地球環境 / 渡り鳥 / 生物生息空間 / 景観構成空間 / アメニティ-空間 / 環境浄化空間 / 抽水植物
研究概要

多くの都市は河川域の下流から河口にかけて発達しているので、人間活動の影響を受け易く、土壌・水の化学汚染や治水、流通、居住圏の拡大等のために大幅に変形を受けている。一方、河口域は環境の多様性のために生物生息空間、景観構成空間、アメニティ-空間、環境浄化空間を形成し、人間に計り知れない利益をもたらしている。本研究は都市化にともなう矛盾が凝集し、陸域における人間活動の影響が象微的にあらわれる都市河口域に関して、その劣化の現実と修復・保全にかかわる知見と情報を収集するために、まづはじめに我国の研究者同志で密接な連絡恊議を持ち、ついで海外先進国の環境的かつ学問的に興味のある都市河口域と研究施設を選定し、分担者を派遣することによって、ハ-ド・ソフトの両面から有用な情報を入手し、さらに外国側分担者を招聘して研究情報を交換するとともに、国内のいくつかの河口域で共同調査を行い、調査区域の選定、調査方法について意見の調整を行った。
本年度はヨ-ロッパ(ドイツ、オランダ、イタリア)およびオ-ストラリアの都市河口域において実地の見学および研究情報交換を行ってきた。エルベ川流域での強汚染は上流国の旧東ドイツ、チェコスロバキアの汚染が原因となっており、水銀、農薬などの強汚染によって、魚がほとんどすまない区域が拡大しつつある。エルベ川の経年的モニタリングは、東・西ドイツの統合、チェコの民主化といった政治形態と環境との関係について、今後極めて重要な情報をもたらすであろう。オランダのロッテルダム湾が位置するライン川河口においては、河川水を土壌浸透で瀘過して自然浄化し、重金属は堆積物中に濃縮して除去し、浄化した水で人工湖を作ってアメニティ-、レジャ-の場として市民に開放している。また、集落毎に池を作って、抽水植物のスゲの一種(Carex)による汚水の浄化と成長したスゲをカ-ペットや椅子のカバ-としてリサイクルさせる生物浄化・再生システムが国家レベルで推進されている。イタリアのベネチアでは、海水面の上昇による建造物の腐食が大きな問題となっている。現在、自然環境を極力損なわずに、歴史的景観、建造物を保存するため、可動式の堤防の建設計画(モ-ゼ計画)が進行しているが、そのほか工場、農地、都市排水処理の不備による水界の富栄養化対策が論議の対象となった。この場合ベネチア湾は日本の蒲生潟と原理的には同類のパタ-ンを有することが論議を通して明らかとなった。すなわち、蒲生潟においては水理学的制御によって富栄養化が改善されつつあるが、ベネチア湾においてもその水質改善策としては廃水処理の改善のほかに外海との海水交換の促進の重要性が指摘された。
オ-ストラリアのモレトン湾は多様な生態系をもち、生物の種類と現存量は極めて高いことが特徴である。ブリスベン市の都市廃水は第一次処理水として直接河口のマングロ-ブ塩性湿地帯に放流され、自然浄化されている。このことはこの河口域が廃水を浄化するのに十分な生物活性を持っていることを示している。また干潟においては、日本、ニュ-ジ-ランド、シベリアを縦走している渡り鳥の観測を行った。また本年度はオ-ストラリアよりキッカワ教授、グリ-ンウッド助教授を招聘して、日本の河口域において底生動物、鳥類に関する共同調査を行い、今後の研究の進め方について討議した。河口域の中でも干潟は、その地形と豊富な底生動物の種類と現存量によって、渡り鳥の休息、採餌の場所となっているので、地球を縦走する渡り鳥をモニタリングすることによって地球環境の広域的な診断に役立てることの重要性とともに、シギ類の生態学的な研究および有機塩素化合物や重金属の体内汚染状況の研究の重要性が提案された。そして研究キイ・ステ-ションとしては、宮城県蒲生干潟をはじめとする日本のいくつかの干潟のほかに、モレトン湾のブリスベン川河口域が選定された。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 菊地 永祐: "自然の浄化機構(宗宮 功編)" 技報堂出版, 168-177 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] KURIHARA, Y., SHIKANO, S. AND TODA, M.: "Trade-Off Between Interspecific Competitive Ability and Growth Rate in Bacteria" Ecology. 71. 645-650 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] OTA, H., KURIHARA, Y., SATOH, S. AND ESASHI, Y.: "Development of Acetylene Reduction (Nitrogen-Fixation) Activity on and Around Imbibed Plant Seeds" Soil Biol. Biochem.23. 9-14 (1991)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKASAKI, M., KIM, H., SATO, A., OKADA, M. AND SUDO, R.: "The Submerged Biofilm Process as A Pre-Treatment for polluted rawwater for Tap Awater Supply." Water Sci. Tech.22. 137-148 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] YAMANE, A., NAGASHIMA, I., OKUBO, T., OKADA, M. AND MURAKAMI, A.: "Storm Water Runoff Hydrocarbons in The Tama River Basin in Tokyo and Their Fate in The River." Water Sci. Tech.22. 119-126 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要

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公開日: 1993-08-12   更新日: 2016-04-21  

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