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キリスト教国と仏教国における宗教儀礼と葬祭についての比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 02044136
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関明治大学

研究代表者

圭室 文雄  明治大学, 商学部, 教授 (90061902)

研究分担者 マーチン コルカット  プリンストン大学, 東洋学部, 教授
ジャンピエール ベルトン  フランス学術研究所, 講師
ハルトムート ロッタムン  フランス国立高等研究院, 教授
根本 誠二  明治大学, 文学部, 講師
宇佐美 正利  明治大学, 文学部, 講師
孝本 貢  明治大学, 商学部, 教授 (60101333)
大濱 徹也  筑波大学, 歴史人類学系, 教授 (40065199)
COLLCUTT Martin  Professor, Asian Studies Department of Princeton University
BERTHON Jean-Pierre  Lecturer, Centre National de Recherche Scientifique.
ROTERMUND Hartmunt O  Professor, Ecole Pratique des Hautes Etudes.
研究期間 (年度) 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1990年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
キーワード宗教儀礼 / 葬祭 / 比較研究 / 治病 / 聖水 / 高僧伝承 / 巡礼教会 / 民衆の原像
研究概要

従来、ヨ-ロッパの宗教史研究については、日本人研究者であっても西洋史研究者が調査研究にあたるのが通例であった。これに対し本研究は、日本史研究者が日本宗教史研究の成果をもとに比較研究を行うことに大きな特色がある。具体的な調査研究としては、1990年7月16日から30日にかけて、フランス人研究分担者も参加し、南フランス地方に点在するクレ-ルモンフェラ大寺院・ラシェ-ズデユ教会・アルビ大寺院・ルルド洞窟などの諸巡礼地、ピレネ-山脈を越えてスペインのサンチャゴ・デ・コンポステラヘと至る聖ヤコブ伝説をともなう巡礼に関連した諸教会の実態調査を行った。いわゆる巡礼教会として点在するこれらの教会において、たとえば聖ヤコブ像の油絵の寄進、病気平癒をはじめとする諸利益への感謝を刻した額の所在を実見した。さらに、巡礼教会に通ずる街道の村境にみる多様な十字架やマリア像は、日本の道祖神に通ずる宗教現象と断ぜざるをえなかった。また、ルルド洞窟では聖母マリア崇拝にかかわる聖女ベルデナットの奇跡・聖水による「説明不能な治癒」と審査される治病の実態、さらには、これらの利益を求めて年間数百万に及ぶフランス国内はもとよりイタリア・オランダ・スぺインからの巡礼団をうけ入れる諸施設の巡見をしえた。聖水による治病は、水が治すのではなく、信仰が治すのだとされながらも、仏教における閼伽に通ずる水そのものがもつ霊力の存在を巡礼団の人々が認知している証左といえよう。聖マリアについては江戸時代のかくれキリシタンが観音像に十字架を託したことに象徴されるように、極めて観音信仰との共通性がある。こうしたルルド洞窟の宗教事情を勘案すると、あたかも坂東三十三所巡礼の第十三番札所の浅草寺、西国三十三所巡礼の第二十五番札所の清水寺を彷彿させるものがある。ルルド洞窟や聖ヤコブ伝説をともなうサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼や巡礼団の存在は、日本における西国・坂東・四国等の巡礼、さらには既成教団・新宗教を間わず行われている本山詣りや団参に相当すると言えよう。そして聖ヤコブ伝説は四国霊場の弘法大師空海や坂東霊場の行基のような高僧伝承の展開を想起させる。以上の調査を経て認識しえたのは、仏教やキリスト教という宗教の相違をこえた宗教に対する民衆の原像は同一であるということである。
実態調査に加えて、本研究テ-マにかかわる資料を研究分担者が個々に収集した。たとえば、オ-ストリアのウィ-ンの墓地は地下墓地に窺えるように骨に霊的力をもたせ、骨で十字を形どるなどの特質がみられること、遺体尊重の観念が強いこと、20世紀にはいりファミリ-墓地が急速に広まっていること、そのファミリ-墓碑に刻まれているのは家長夫婦が圧倒的に多く、子共は別の分区画に子供墓地として形作られていること、ウイ-ン市において19世紀のものである旧墓地には戦没者の墓がなく、第一次大戦より形成されることなどが、ウィ-ン市に所在する葬儀博物館の資料から知りえた。さらに、アメリカ人研究分担者を中心として、イギリス国教会・黒人霊教会における墓地形成と葬祭に関する資料の収集を行った。
すでに述ベたように本研究は、西洋史研究者が南フランスにおける巡礼教会の実態調査を行ったものではなく、日本宗教史・宗教社会学の研究者が、日本宗教史の研究業績をもって、比較研究を試みたものである。また、欧米の研究者も日本仏教史・日本文化史等の日本宗教史に通じた研究者の参画を得たものであり、両者の研究視点は相違する点もあろうが、研究対象は全く同一ものである。その意味でも本研究は、単に仏教とキリスト教における宗教儀礼と葬祭に関する共通性と相違点を儀礼様式の面から比較するだけでなく、これらを受容した民衆のレベルにおいて、如何であったかをも追求しようというのである。本研究によって得られた成果をさらに、発展させるためにも、イギリス国教会・アメリカ黒人霊教会関係等の収集資料をもとに、次回にせざるを得なかった、ドイツ・イギリス・イタリア・アメリカの事例を日・米・欧の日本宗教史研究者が、同一の研究対象とその研究業績を基盤として、共同研究の継続をはかっていきたい。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要

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公開日: 1990-04-01   更新日: 2016-04-21  

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