研究課題/領域番号 |
02044138
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
原田 勝正 和光大学, 経済学部, 教授 (80173079)
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研究分担者 |
密 汝成 中国社会科学院, 経済研究所, 教授
DEEPAK Kumar National Institute of Science, Technology, Fellow
老川 慶喜 立教大学, 経済学部, 助教授 (10168841)
多田 博一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (80188250)
KUMAR Deepak Fellow of National Institute of Science, Technology and Development.
MI Ru-cheng Professor of Institute of Modern Economics History in China.
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 鉄道 / 近代化 / 技術移転 / インド / 中国 / 日本 / 技術導入 / 重工業化 / 鉄道技術 / 植民地化 |
研究概要 |
本研究は、19世紀中葉以降20世紀前半にかけて、インド、中国および日本における鉄道建設の過程を通観しつつ、技枝導入の推移を跡づけるとともに、それぞれの地域における技術自立の経過を明らかにする点に、その主眼をおいた。このことは、この時期のアジアにおける植民地支配の特質と、民族解放の実現までの各地域のそれぞれの動向を知る鍵を呈示すると思われる。もともと現在のアジアにおける近代化の現実を考えるとき、技術の自立は、近代化の進行を左右する決定的な要素をなしている。その意味で、技術の自立が、たんに政治的次元にとどまらない社会構造の基部にまでおよび民族の自立体制を確立するうえで大きな役割を果たすことは、容易に推測されるところである。 本研究のそもそもの動機も、アジア各地域における近代化の実現のあり方を、どのようにして把握するかという問題意識に立ってひき出された。その意味で比較的早く技術の自立を実現した日本がかかえた問題点と、インド、中国における技術自立の問題点とを比較する作業は、20世紀前半以降現在にいたるアジア各地域、とくにインド、中国、日本のそれぞれの進路の究明と、現在これら各国が、各自にまた相互にかかえる問題点の究明とに資するものと考えられる。 しかし、本研究においては、このような問題点の究明を性急に作業のなかにふくめることは極力避けることとした。むしろ、これら各地域における技術導入の実態と、技術自立の過程と、この2点に分析の的をしぼり、できるだけ具体的な事実の究明に重点をおいて作業をすすめることとした。なぜならば、このような点についての事実は、まだ体系的に分析の対象として扱われることが極めて少なく、このような視点に立つ史料の収集、整理はほとんど行われていないというのが実情であり、これら各地域における史料の収集からはじめて、これらの史料の分析を通じて、まず事実の究明、その体系化、そして各地域相互の比較という作業を当面の課題としてすすめなければならないからである。 そこで本研究においては、第1年度に中国における史料の収集、実態調査を実施し、第2年度においてはインドで同様の作業を実施することとした。その場合、現地研究者との交流をおこない、研究の現状について意見を交換をするという作業を意図した。 史料の収集については、北京の中国社会科学院経済研究所、同院図書館、瀋陽の遼寧省社会科学院、同省档案館、長春の吉林省社会科学院などで、史料の閲覧・収集を実施した。インドにおいてはボンベイのボンベイ大学図書館、デリ-の国立科学技術研究所(NISTADS)、鉄道・交通博物館などで史料の収集を実施した。同時に、中国・インドでは停車場、線路、車両などについて、現在使用中のものを中心に実地調査を行った(インドでは前記鉄道・交通博物館で、導入初期以降の線路、車両をかなり系統的に展示してあり、所期以上の成果を得た)。現地における意見、成果の交流については、必ずしも十分とはいえないきらいはあったが、今後の研究協力体制を成立させるいとぐちをつけることはできた。 中国、インドとも各機関が所蔵する報告書、図面、統計書などの史料は厖大であり、とくにインドではこれらの史料が系統的に整理されている。これらの史料のうち、今回閲覧、収集することができたものは、その極く一部に過ぎず、このテ-マの研究をすすめるためには、なお各国研究者の交流、とくにインド、中国、(さらにできれば韓国も比較対照の範囲にふくめて)各国研究者を日本に招き、日本で同様のテ-マに関心をもつ研究者(とくに鉄道史学会、社会経済史学会などに所属する)との合同研究会、シンポジウムなどを開き、共通する関心のあり方を相互に確認し、研究の国際化を実現することが緊急の課題と考えられる。
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