研究分担者 |
劉 永増 敦煌研究院, 講師
栄 新江 北京大学, 副教授
木田 知生 龍谷大学, 文学部, 助教授 (20153140)
SUNDERMANN W ドイツ科学院, 古代史考古学中央研究所, 研究員
吉田 豊 神戸外国語大学, 助教授 (30191620)
片山 章雄 (片山 良雄) 東海大学, 文学部, 講師 (10224453)
森安 孝夫 大阪大学, 文学部, 助教授 (70157931)
梅村 坦 立正大学, 教養部, 教授 (90124289)
小田 寿典 豊橋短期大学, 教授 (00160870)
耿 世民 中国, 中央民族学院, 教授
ZIENE Peter ドイツ科学院, 古代史考古学中央研究所, 研究員
入沢 崇 龍谷大学, 文学部, 講師 (10223356)
榎本 文雄 華頂短期大学, 講師 (70151991)
松田 和信 ライデン大学東洋研究所, 研究員 (20183949)
張 保勝 北京大学, 副教授
GENG Shi min Central Institute for tribes, Professor
ZHANG Bao sheng Beijing Univ., Institute of South Asia, Associate Professor
RONG Xinjiang Beijing Univ., Dept. of History, Associate Professor
LIU Yongzeng Dunhuang Institute, Lecturer
SUNDERMANN Werner Academy of Sciences (Berlin), Turfanforschung, Research fellow
ZIEME Peter ドイツ科学院, 古代史考古学中央研究所, 研究員
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研究概要 |
当研究は,世界各地に分散する中央アジア〜チベット出土仏教文献の調査研究を主目的とする。研究者を派遺した国は当該資料を保有するドイツ・フランス・イギリス・ロシア・中国・トルコ・フィンランドの7か国になる。本年度をもって終結する当研究の3年間にわたる成果の概要を,その主題とする文献の言語別に記したい。 1. 梵語仏典部門 当該部門の研究分担者の派遺招聘によって,各研究機関に所蔵される未整理・未登録の資料について調査した結果,多大な情報収集と写真収集に成功した。とりわけイスタンブール大学とヘルシンキ大学に所蔵の梵語資料は,いまだ学界に報告されたことのないものであり,今後の当該部門の研究に新なる資料を提供することになった。現在はこれらの資料の整理を終り,解読・比定の研究に主力を注いでいる。これらの資料の研究成果を公刊するには,なお数年を要するが,学界に新なる知見をもたらすものである。 2. ウイグル語仏典部門 (1) ドイツ・中国に所蔵の『白蓮社経』写本約250枚7500行の本文の解読の作業をほぼ終了した。今後は関係文献との比定作業ならびに訳注作成に入る。その成果は耿・ツィーメ・百済の3名共著で,日英語併用で日本から4巻に分けて刊行する予定であり,第1巻を1995年に出版できるよう努力している。 (2) 龍谷大学所蔵のウイグル語資料については,未整理資料の編号を行い,すべての資料のカード化を終了した。解読研究も半ば終り,目録作成への基礎作業はほぼ完了した。今後は,更に点検を加え断片の接合ならびに解読・比定に力を注ぎたい。目録と研究編(図版を含む)は全5巻を予定し,10年後には出版を完了したい。 (3) ベルリン所蔵の『阿含経』『妙法蓮華経玄賛』『華厳経』『倶舎論』などの仏教文献を主とするツィーメと百済の共同研究の成果は,ドイツ側の事情もありBerlener Turfan-Texte シリーズの一冊としてベルリンから出版される予定である(出版年次は未定)。 3. ソグド語仏典部門 (1) ドイツ所蔵『大般涅槃経』写本65点の解読・比定・翻訳の作業を終えた。今後は訳注と語彙を作成する作業を残しているが,この成果は,ズンダーマン・ウッツ・百済の3名共著でBerliner Turfan-Texteとして英語版でベルリンから刊行される(1995年の予定)。 (2) 龍谷大学所蔵のソグド語を含むイラン語関係資料約500点の整理・編号を行い,カード化を終了し,目録作成の基礎作業を1992年末に完了した。これによって,吉田・ズンダーマン共著の目録と資料選を添えた『龍谷大学所蔵大谷探検隊収集中央アジア出土 イラン語断片目録』(添付)を編集した。このイラン語断片目録の編集は,1993年度から龍谷大学仏教文化研究所の指定研究の内定を受けたので,今後3年間で現在の目録にさらに点検を加え増補加筆をはかり,図版を添え1995年に「龍谷大学善本叢書」の1冊として刊行する予定である。 (3) 吉田とズンダーマンの調査により,ソグド文字によるマニ教パルティア語の賛歌の断片が,中国新出の資料と,日独探検隊収集の資料中の存在することが判明した。この発見は,日独所蔵資料の姉妹性を証明する好事例であり,この分野での日独共同研究の重要性を示すものであるので,両氏が急ぎ学界に報告し発表した。 4. 漢文仏典部門 (1) ベルリン所蔵の漢文仏典断片に関する今回の共同研究成果は,Katlaog chinesescher buddhistischer Textfragmente の第3巻としてベルリンから刊行される(出版年次は未定)。 (2) 当研究の隊行上で得られた予想外の副産物であるイスタンブール大学とヘルシンキ大学に所蔵の漢文仏典資料について基礎的研究を開始し,その成果の一部を百済が発表し学界の注意を喚起した。
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