研究分担者 |
LEVINE RAPHA ヘブライ大学, 教授
大峰 巌 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60146719)
花崎 一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (00028250)
諸熊 奎治 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40111083)
LEVINE R.D. ヘブライ大学, フリッツ・ハーバー分子動力学研究センター, 教授
井口 洋夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 所長 (00100826)
岩井 正博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (00193714)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
下記に述べる通り,具体的共同研究の実施,合同シンポジウムの開催及び日本・イスラエル協力に関する討議において多くの成果を上げる事が出来た。詳細は別途,冊子としてまとめる予定である。 1. 共同研究の実施(1) 波動関数に対する一般化ランジュバン方程式の導出 分子研助手染田清彦氏をヘブライ大学に派遣しLevine教授と本共同研究を実施した。 多数の運動自由度を有する化学反応動力学過程を記述する理論的手法を微視的な第一原理から作り上げる事を目的とした。 量子力学的演算子に対する滅衰理論は森によって定式化されているが,これを波動関数に適用し,波動関数が満すランジュバン方程式を導出した。 これに基づいて,不可逆緩和過程を記述する波動関数の滅衰理論及び波動関数の確率過程の定式化を行った。 下記論文を執筆しJ.Chem.Phys.に投稿した。 A generalized Langevin equation for wave functions: A stochastic process of probability amplitudes.Kiyohiko Someda and Raphael D.Levine (2) 化学反応に対する一般化変分原理の応用 中村は分子研を訪れたソレク原子力研のBaer博士と共同研究を行い論文を執筆した。 Gerjuoy等によって定式化された一般化変分原理をLs-方程式に基づくT-行列に適用し,従来のSchwinger及びN-ewtonの変分公式を包含する一般公式を求めた。 更に虚数ポテンシャルを用いて全反応確率を求める手法を本一般化変分原理に基づいて定式化した。 本研究は既にJ.Chem.Phys.に発表されている Variational principles for reactive collisions based on the generalized Lagrange multiplier method.Michael Baer and Hiroki Nakamura (3) 時間依存Schrodinger方程式の解法 基礎化学研主任研究員の山下晃一氏をヘブライ大学に派遣しKos-loff教授と研究を実施した。 グリッド法,高速フーリェ変換法及びペリメトリック座標系を用いて時間発展を追跡すめ為の安定したアルゴリズムを開発しプログラム・コードを作成した。 この方法は原理的にはハミルトニアンの任意関数に対して適用出来る。 具体的にH_3^+系の種々の動力学過程への応用を進めている 近い中論文としてまとめる予定である。 (4) 光解離反応の研究 ヘブライ大学のHammerich博士が来日し諸熊グループとの共同研究を行った。 CH_3IびICNの光解離過程の量子動力学を時間依存シュレディンガー方程式を解く事によって解明した。 Ab initio 計算による精度の良いポテンシャルエネルギー曲面を用いているので信頼性の高い結果が得られている。 近い中論文としてまとめられる。 (5) 励起分子の振動モードと緩和過程に関する実験的研究 京大助教授馬場正昭氏をヘブライ大学に派遣しHaas教授と共同研究を実施した。 1-CNNとTEA及びDIPAとのコンプレックスを作りその励起状態の動的挙動に関する知見を得た。 又,アセトンのS^1状態の振動構造と前期解離についても有益な知見を得た。 2. 合同シンポジウム 平成2年に中村,諸熊,大峰が先方に赴き第一回合同シンポジウムで講演を行った。 平成4年には他財団の援助をも得て日本でシンポジウムを開催した。若手に対する刺激を含め大変有益であった。 3. 日・イスラエル協力に関する討議 分子研の井口所長,花崎教授及び中村がぞれぞれ別個に先方に赴き今後の協力態勢について討議を行った。 特に,アカデミー会長Jortner教授及びヘブライ大学のLevine教授(アカデミー会員)とHaas教授(元副学長)との討議によって,今後長期的視野で日本・イスラエル協力を推進していく事の意義が確認された。 平成6年度以降再び本国際学術研究のプロジェクトを申請し,協力関係を推進・発展させていく事で基本的に合意した。
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