研究分担者 |
姜 友邦 韓国国立中央博物館, 美術部, 美術部長
郭 東錫 韓国国立慶州博物館, 学芸研究官
河田 貞 帝塚山大学, 教養学部, 教授 (90000372)
韓 炳三 韓国国立中央博物館, 館長
西川 杏太郎 東京国立文化財研究所, 所長 (70000304)
岡田 健 東京国立文化財研究所, 研究員 (40194352)
田窪 直規 奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, 研究員 (40206925)
森村 欣司 奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, 専門職員
呉 柱錫 韓国国立中央博物館, 学芸研究士
洪 潤植 韓国東国大学校, 教授
李 蘭瑛 韓国国立慶州博物館, 館長
千 惠鳳 韓国成均館大学校, 教授
鄭 良謨 韓国国立中央博物館, 学芸室長
金 誠亀 韓国国立普州博物館, 館長
朴 永福 韓国国立中央博物館, 学芸研究官
鄭 千澤 韓国観光大学校, 助教授
前島 己基 (前島 已基) 奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, 資料管理研究室長 (70150860)
井口 喜晴 奈良国立博物館, 学芸課, 考古室長 (80090372)
西山 厚 奈良国立博物館, 学芸課, 主任研究官 (10167570)
関根 俊一 奈良国立博物館, 学芸課, 研究員 (80154649)
阪田 宗彦 奈良国立博物館, 学芸課, 工芸室長 (20000375)
梶谷 亮治 奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, 主任研究官 (40152649)
中島 博 奈良国立博物館, 学芸課, 普及室長 (40198073)
河原 由雄 奈良国立博物館, 学芸課, 美術室長 (00000373)
松浦 正昭 奈良国立博物館, 仏教美術資料研究センター, 仏教美術研究室長 (80004092)
光森 正士 奈良国立博物館, 学芸課, 学芸課長 (80000371)
YAMAMOTO Nobuyoshi Director of Nara National Museum
OH Joo-seok Assistant Curator of National Museum
HAN Byong-sam Director of National Museum
KWAK Dong-seok Curator of Kyonglu National Museum
KANG Woo-bang Curator of National Museum
LEE Nan-young Director of Kyongju National Museum
HONG Yun-sik Professor of Dongguk University
CHUNG Woo-taek Assistant Professor of Han Kwang University
KIM Seong-goo Director of Chingju Museum
PARK Young-bok Curator of National Museum
CHON Hye-bong Professor of Sung Kyoun Kwan University
CHUG Yang-mo Chief Curator of National Museum
李 蘭暎 国立慶州博物館(韓国), 館長
鄭 干澤 観光大学校(韓国), 助教授
敦 東錫 韓国国立中央博物館, 美術部, 学芸研究官
鄭 于澤 韓国観光大学校, 助教授
干 恵鳳 韓国成均館大学校, 教授
李 宗碩 韓国湖巌ギャラリー, 館長
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研究概要 |
本研究の最終年度にあたり残余の渡韓,来日調査を実施するとともに関連資料の収集に努め,資料相互の検討を行ってそれぞれテーマごとに成果のとりまとめを行った。 仏教彫刻については統一新羅時代の金銅仏と慶州南山一帯の石仏群について渡韓調査を行い,中国の初唐様式と盛唐様式とを受容し,製作された新羅造像の作例において,両国の密接な文化交流の一端を明らかにした。また日本の小倉コレクション中の韓国古代金銅仏を製作技法の面から検討し,それらの編年を試みた。また古代造像における朝鮮半島と中国山東半島との作例を通して中国の南北朝,とりわけ北朝と韓国とのかかわりの関し,視点を新たにすべきいくつかの知見を得た。このほか韓国古代仏教寺院の礼拝空間について礼拝石と奉炉石を検討し,その始源形態を想定するとともに木造から石造への変遷過程をあとづけた。 仏教二芸に関しては韓国で仏舎利容器とされる重盒資料と日本独特とされる経塚出土の経筒との関連性を求めて来日調査を行った。ただし,両者は形態的に類似するものの性格については不分明な点が多く,今後の課題とされた。また収集資料については韓国所在の密教法具と舎利容器および日本に伝来する韓国梵鐘など,主に統一新羅時代の仏教工芸品の検討を行い,併せて高麗時代の螺細経箱をとりあげ.その特徴を摘出して分類,編年を行った。舎利容器では韓国の舎利殿形式のそれなどをとりあげ,源流が中国,印度まで遡り,日本古代の仏具とのかかわりにおいて法隆寺などに伝来する天蓋との関連性を指摘した。また日本所在の韓国梵鐘に関しては,韓国に利る梵鐘との比較検討を通してその様式的な特徴と変化を指摘しまた編年を試み,統一新羅梵鐘のもつ時代的な様相と流れを概観した。 仏教絵画については在日の李朝三十三観音応身図とその関連作品の収集を行うとともに,李朝後期の絵師を代表する李寅文の「葡萄図」を考察し,諸特徴から円熟期の作であることを認識した。既収集資料については高麗時代の五百羅漢図,高麗,季朝の観経変相図を検討し,これらが中国の宋・元時代の仏画,さらに日本の平安・鎌倉時代のそれと密接に関連することを確認した。また高麗・李朝の観経変相図は禅観念仏の所産である観経曼茶羅図の中から展開したものであるとの見通しを得た。このほか我国平安時代末ないし鎌倉時代初期に比定される百済河成筆の「四天王像」を検討し,これが統一新羅で独自に展開した仏教画像と密接なかかわりをもつことを指摘し,さらに韓国特有とされる李朝の甘露図をとりあげ,その多様な展開をあとづけた。 書跡分野では日韓両国に所在する高麗写経を中心に資料の収集とその検討を行った。その結果,高麗写経には国家的な事業によるものと民間写経の二種があり,それぞれ多様な展開を示すことが判明した。また装飾経について検討し,見返絵,経表装飾,書体,形態などを手掛りとする変遷に一応の見通しが立てられた。このほか日本に現存する高麗時代の典籍のうち,仏教に関する典籍ななわち仏典について印刷本である版木経典(版経)と筆写本である写本経典(写経)の概観を試みた。 仏教考古資料については百済瓦当と韓国古代の文様〓の検討を行い,併せて韓国古代の在銘遺品収集のため渡韓調査を行った。百済瓦当については漢城→熊津→泗〓と各都邑期における瓦当文様を検討し,その特性を抽出して編年を行った。文様〓に関しては扶余外里の出土品をとりあげ,鳳凰文〓と蟠竜文〓を中心に中国との関連性においてその系譜を辿った。その結果,鳳凰文〓は中国南朝と我国高松塚古墳壁画とのかかわりが想定され,また蟠竜文〓は当該時期の中国での編年に重要な位置を占め,今後は広く東アジア史的な視点に立つ検討が不可欠であることを認識した。韓国古代の在銘遺品では紀年銘を有するものに焦点をあて,銘文の内容,類品の分布などから中国,朝鮮半島,日本とのかかわりが一層明らかになった。 以上のほか韓国における文化財管理システムの実状を把握するため渡韓調査を行った。
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