研究課題/領域番号 |
02044166
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 康展 (1991) 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20159297)
鈴木 和夫 (1990) 国立環境研究所, 環境健康部, 室長 (90109918)
|
研究分担者 |
SILBERGELD E Toxicol. Program, Univ. of Maryland(U. S. A. ), Adjunct Pr
GOYER Robert Dept. of Pathology, Univ. of Western Ontari, 学部長
FOWLER Bruce School of Medicine, Univ. of Maryland(U. S., 教授
M.GEORGE Che Dept. of Pathology, Univ. of Western Ontari, 教授
平野 靖史郎 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20150162)
鈴木 和夫 千葉大学, 薬学部, 教授 (90109918)
CHERIAN M. George Univ. of Western Ontario, Dept. of Pathology
CHERIAN M.Ge Univ. Western Ontario(C, Dept. of Pathology
FOWLER B.A. メリーランド大学, 医学部(アメリカ合衆国), 教授
CHERIAN M.G. ウエスタンオンタリオ大学, 医学部(カナダ国), 教授
青木 康展 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20159297)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | ガリウム / インジウム / ヒ素 / イットリウム / ランタン / 肺 / 腎臓 / リスクアセスメント / アルシン / 超電導体 / 半導体 / 気管内投与 / 亜ヒ酸 / 尿細管上皮細胞 / ヒ-トショックタンパク質 |
研究概要 |
本研究は次世代半導体に用いられる材料であるガリウム(Ga),インジウム(In)及びヒ素化合物の毒性の研究と、超電導体の材料であるイットリウム(Y)とランタン(La)の毒性の研究の二部よりなる。 半導体の原料についてまず、Ga,In及び亜ヒ酸の腎尿細管細胞に与える影響を、青木とFowlerが共同研究を行った。コラゲナ-ゼ消化したラット腎臓より尿細管の断片を分離した後、腎尿細管上皮細胞を初代培養した。培養開始後、5日間で細胞はコンフレントな状態となった。この細胞に300μMのGaCl_3及びInCl_3を暴露したが、細胞からの乳酸脱水素酵素(LDH)の遊離は観察されず、これらの濃度のGa,Inは直接的な細胞毒性を有しないことが明らかとなった。それに対して10μMの亜ヒ酸はLDHの遊離を引き起こし、細胞毒性を有していた。次いで300μM Ga、10μM亜ヒ酸、及び300μM Inに細胞を24時間暴露したのち、新生タンパク質を ^<35>Sメチオニンで放射標識した。これらの金属によるタンパク質の合成の変化をフロログラフィ-により調べた。その結果、Gaと亜ヒ素酸により、分子量30,000のタンパク質が特異的に誘導されていた。また、同時にヒ-トショックタンパク質の合成の増加がみとめられた。これらのタンパク質の合成の変化は、Ga、亜ヒ素酸暴露のよい指標となると思われる。 また、Fowlerはアルシンガス(AsH_3)のマウス、ラット等への暴露実験を行い、毒性学的な指標の変化を調べた。米国の作業環境規準の10倍の濃度である0.5ppm AsH_3をラットへ6時間暴露しても顕著な変化は認められなかったが、規準の半分の0.025ppmを80日間暴露するとメスラットでは貧血状態が認められた。しかし、より高濃度の2,5ppmのAsH_3を暴露してもラット、及びマウスで発生学的な毒性は引き起こされないことが明らかにされた。 超電導体に用いられる原料について経気道投与の影響を鈴木と平野が中心となって調べた。塩化イットリウムをラットに気管内投与し、肺組織と肺胞内洗浄液(BALF)の間のYの濃度と時間に依存した変化と、肺の炎症反応を調べた。Yの肺からの消失は非常に遅く、半減期は168日であった。200μg/ratのYを投与しても、BALFの上清のY量は5μg/1ungを超えず、これより肺胞表面液は最大5μgのYを保持することが示唆された。一方、BALF沈澱中のY量は、BALF中に回収されたマクロファ-ジの数とともに時間的、濃度依存的に変化した。透過型電子顕微鏡とX線マイクロ分析の結果はYは肺胞と細胞間組織のマクロファ-ジのリソゾ-ムと基底膜に局在していることを示唆した。BALF上清のβーグルクロニダ-ゼ(βーGlu)活性とカルシウムとリンの含量は最低投与量(10μg/rat)でも増加した。BALF上清の乳酸脱水素酵素(LDH)の量ー作用関係の比較から、1モルの塩化イットリウムの急性の肺への毒性は、約3分の1モルのカドミウム化合物や3モルの酸化亜鉛と同等であることが明らかになった。 塩化ランタンを同様にラットに経気道投与すると、肺全体に保持されているLa含量は、用量の増加にともない直線的に上昇した。肺ホモジネ-ト中のLa含量は100μg/rat群から急増し、BALF上清と沈澱中のLa含量は100μg/rat群から減少し、投与したLa量が50μg/ratを越えると肺におけるLa保持の形態に変化が起きるように思われた。同時にLaの肺における半減期は244日と算定された。BALF上清のβーGlu活性、LDH活性、及びカルシウムの含量は1μg/rat投与群から、リンの含量は0,5μg/rat投与群から増加した。これらの結果から、1μg/ratの用量で肺障害が惹起されることが判明した。 本研究の成果を持ち寄り、また、他の研究者の参加を求めて、International Workshop on Toxicity Assessment on Semiーand Superconductor Materialsを平成4年3月に開催し、有益な討論を行うことができた。本ワ-クショップの記録はEnvironmental Health Perspective誌に来年度掲載される予定である。
|