研究分担者 |
GERHARD Fuch Forschungszentrum Juelich(独)IPP, Research A
KLAUS Hothke Forschungszentrum Juelich(独)IPP, Research A
矢野 勝喜 理化学研究所, プラズマ物理研究室, 研究員
FUCHS Gerhard Forschungszentrum/Juelich Germany, Institute fuer Plasmaphysik
HOETHKER Klaus Forschungszentrum/Juelich Germany, Institute fuer Plasmaphysik
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研究概要 |
本研究はトカマク核融合プラズマにおいてリミタ背後の領域の電子とイオンの輸送機構を調べ壁への負荷を軽減する方法を明かにする事にある.特に最近問題になっているイオン温度が電子温度を上回っている可能性を検証するため信頼性のある温度測定法,空間電位測定法を開発する事にある.以下,研究調査結果を述べる. 1.ドイツユ-リッヒ原子力機構よりホトカ-研究員を理研に招聘し理研ミラ-型電子サイクロトロン(ECR)共鳴プラズマ発生装置によりホトカ-氏の開発した回転ダブルプロ-ブ法によるイオン温度測定法の精度を調査した.ラングミュアプロ-ブによる電子温度,グリッドプロ-ブによる磁力線方向のイオン温度と比較する実験を行いその妥当性を検証出来た.結果は一部電離気体国際会議に発表予定である.この結果を基礎として近い将来原研のJT60の周辺プラズマでのイオン,電子温度測定への適用する事にした.さらに測定精度を上げた試験にはプラズマと磁場の有限寸法のために浮動系とはいえプロ-ブのプラズマへの擾乱が問題となった.測定の規準化のために広い一様磁場を有する宇宙研磁化プラズマ装置が適しているので近い将来その共同利用を提案する事にした. 一方,上記プロ-ブ法とは独立に理研で開発したダブルプロ-ブによるイオン温度測定法をドイツユ-リッヒ原子力機構プラズマ研究所におけるTextorに適用した.そのモンテカルロシミュレ-ションが同所E,ベリッツ研究員により行われ解析的な式を補充した.これにより本測定法の適用範囲が拡大された.また,そこでは以前より理研で開発された高速電子温度測定法の適用性を試験しイオン温度との比較を行った. これらプロ-ブによる荷電粒子温度測定法ではプロ-ブ表面からの電子放出とそれによって生ずるシ-スへの効果が信頼性のある計測法の確立に問題点として残り以下の研究を行った. 2.ドイツユ-リッヒ原子力機構よりフックス研究員を理研に招聘し理研カスプ型電子サイクロトロン共鳴プラズマ発生装置により同氏の提案したプロ-ブ表面から二次電子放出による特性歪とそれを応用した空間電位測定について研究調査した. ECRプラズマ中面積の異なる6種の非対称ダブルプロ-ブの特性を吟味し浮動系での空間電位推定法を考察しダブルプロ-ブとシングルプロ-ブとの限界面積比に関し理論と実験との差を明かにした.比較のため上記ECRプラズマからイオンを引出しその質量スペクトルの位置と広がりから空間電位とイオン温度の評価を行った. プロ-ブ表面からの二次電子放出効果はカスプ近辺での電子温度の最高値が16eV付近と分かり辛うじてエッジプラズマの一部をシミュレ-ト出来たが,問題の根本解決には放出率の高い材料を選定を行う事,また電子ビ-ムないしイオンビ-ムをプロ-ブや電極表面に照射した実験を行うのが好ましい事が判明した.この目的には上記理研カスプ型ECRイオン源プラズマが適用可能であるので近い将来再実験を行う事とした. 3.核融合によって生じた排気ガスであるHeが周辺プラズマ部へ導かれポンプリミタにより効率良く排気される必要がある.この排気効率をイオン散乱スペクトルコピ-の原理に基ずいた新しい検出法により調べる実験をTextorに装備されたポンプリミタALTーIIで行った.プラズマ成分ガスがD_2であるため灰であるHeを質量分析するのに,プラズマエッジから流入するD_2とHe(〜10%)をイオン化,加速した後タ-ゲットに当てD_2^+を分解,エネルギ-分析することでD_2を分離分析する工夫をした.本方法により今回の実験ではNBIのオンオフ,プラズマ密度を変えた時Heガスパフによって注入されたHeをポンプリミタ下流で検出し排気効率の測定を行い所定の成果を得た.詳細は近い将来報告する. 4.周辺プラズマでの水素原子分子イオンと電子エネルギ-分布との関係を調べる実験を上記理研カスプ型ECRイオン源プラズマで行いH_4^+からH_5^+が存在する事H^+,H_2^+,H_3^+の各々の密度が最大となる実験条件を見いだした.負イオンH^-の存在は1桁以下であるが壁付近のシ-スの振舞いに影響を及ぼすので,負イオン密度測定法としてレ-ザ-を使用する光ガルバノ法を試験した.
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